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研究成果物



 

(14) 熱帯域において植物から大気中に放出される極性有機化合物の分布と変動に関する研究


〔区分名〕文科-科研費
〔研究課題コード〕0002CD056
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕横内陽子(化学環境研究領域)・奥田敏統
〔期 間〕平成12〜14年度(2000〜2002年度)
〔目 的〕植物から放出される揮発性有機化合物(VOCs)の年間発生量は地球全体で1000 Tg以上に上ると推定されている。これらの化合物の多くは大気中における反応性が高く,オゾン生成あるいはエーロゾル生成を介して大気化学に重要な影響を与えている。この植物起源VOCsの約3分の1はカルボニルなどの極性化合物であると考えられているが,分析の困難さなどの理由から大気中の観測例は非常に少ない。本研究では,アジアの熱帯林・亜熱帯林において,極性有機化合物を中心に大気中植物起源VOCsの分布と変動を調べ,その大気化学的影響を解明するための基礎データとする。
〔内容および成果〕
 前年度に引き続き,国立科学博物館筑波実験植物園の熱帯雨林温室内において熱帯植物(Shorea guiso他6種)から放出されるVOC成分を吸着管によって採取し,GC/MS測定を行った。その結果,新たに2-buten-1-ol他20種類の含酸素化合物が熱帯植物からの放出ガス成分として同定された。また,比較的低沸点成分を対象として熱帯植物からの放出ガスをキャニスターで採取して調べた実験では,塩化メチル,臭化メチル,ヨウ化メチル,ブロモジクロロメタン,クロロジブロモメタンが検出された。塩化メチルと臭化メチルの放出は特にフタバガキ科と数種のシダ植物で目立った。このように多様な熱帯植物から放出される多くのVOCの中で,熱帯林全体への寄与が大きいものを抽出するために,熱帯植物温室全体を放出ガス蓄積チャンバーと見立てて,その大気組成を外気と比較した。その結果,熱帯植物からの放出ガスの大半はイソプレンで,アセトン,アセトアルデヒド,塩化メチル,C4〜C10のアルデヒド,モノテルペン類,メタクロレイン,メチルビニルケトン,2-ブタノンが続き,アルコール,エステル類の寄与は小さいことがわかった。なお,ここで検出されたアルデヒド,ケトン類については,反応によって二次生成したものも一部含まれていると考えられる。今後,これら主要なVOCについて実際の森林大気中の分布,および発生量の支配要因について調べる。
〔備 考〕
共同研究者:遊川知久(国立科学博物館筑波実験植物園)


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