(12) GC-AMS:加速器による生体中,環境中微量成分の超高感度追跡手法の開発
〔区分名〕文科-原子力
〔研究課題コード〕9701CA051
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕柴田康行(化学環境研究領域)・田中 敦・米田 穣・植弘崇嗣・森田昌敏
〔期 間〕平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕14C等の放射性同位体は,生体中の様々な物質代謝経路の追跡のためのトレーサーとして,また環境中の汚染物質の起源を探る有力なパラメータとして(現生生物が14Cを一定濃度含むのに対し石油石炭起源の物質は含まない)重要な役割を演じている。しかしながら,従来の方法では,目的とする14C含有物質を手間をかけて分離・精製し,その中に含まれる14C量を液体シンチレーションカウンター等の感度の低い分析手法で測定して追跡を行っていた。本研究では,14C等の長寿命放射性同位体の先端的高感度分析手法である加速器質量分析法(AMS)と,微量成分の高度の分離手法である多次元ガスクロマトグラフ(GC)とを組み合わせて,生体中,環境中の微量化学物質中の微量放射性同位体を個別に追跡できる,新しい高感度な分析システムを開発することを目的とする。
〔内容および成果〕
分取GCシステムを用いて,北太平洋日本海溝縁辺採取コア中の有機化合物毎の年代決定の研究を継続した。前年度とは別の層準で短鎖,長鎖のそれぞれ数種類ずつの脂肪酸の抽出と精製を行い,起源生物毎の年代差についてのデータを確認するために脂肪酸とは別の種類の化合物であるn-アルカン,アルケノンの2つのグループの化合物についてもそれぞれの異なる化合物毎の単離,精製,年代決定を進めた。海洋生物起源の短鎖飽和,不飽和脂肪酸,並びにアルケノンの精製条件を検討,確立し,年代決定した結果はいずれも分析誤差範囲内でよく一致する年代を与え,起源が同じバイオマーカーとして期待される通りの結果となった。これに対して,陸上の高等植物由来の長鎖脂肪酸並びにn-アルカンについては,それぞれ分離条件などが大きく異なるにもかかわらずやはり相互によく一致する結果を与え,この分取ガスクロマトグラフによる年代決定法の信頼性を確かめることができた。同じ層準の海洋生物起源物質群と陸上植物起源物質群との間には3,4千年にも及ぶ大きな年代差が認められ,これらの物質の環境動態の違いとその時間スケールについて,貴重な新しい情報を得ることができた。
〔備 考〕
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