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研究成果物



 

(9) ダイオキシン類と多環芳香族炭化水素類の複合毒性の評価に関する研究


〔区分名〕文科-振興調整
〔研究課題コード〕9902CB069
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕宮原裕一(環境健康研究領域)・小野雅司・高野裕久・遠山千春
〔期 間〕平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕ダイオキシン類はゴミ焼却等により日常的に発生し,そのヒト健康影響が懸念されている。しかし,我が国のダイオキシン類に関する疫学調査は始まったばかりであり,両者の因果関係が明らかになっていない。さらに,ダイオキシン類同様,燃焼により生じる多環芳香族炭化水素類については,その発生量の多さにもかかわらず,その曝露評価と複合作用の解明が遅れているのが実状である。一方,我々は既にディーゼル排気ガス中にダイオキシン類及び多環芳香族炭化水素類が存在することを明らかにするとともに,ディーゼル排気ガス曝露により実験動物に多様な生体影響が生じることを明らかにしている。しかし,これら化合物群と生体影響との因果関係は明らかではない。本研究では,ディーゼル排気曝露によるダイオキシン類および多環芳香族炭化水素類含量とDNAの酸化的傷害量との因果関係の解明を目的とする。一方,ヒトのダイオキシン類および多環芳香族炭化水素類の経気道曝露量を評価するため,大気試料中のダイオキシン類および多環芳香族炭化水素類の簡易モニタリング手法の開発を試みる。最終的には,それらの結果から,ディーゼル排気のヒト健康影響に関し有用な知見を得ることを目的とする。
〔内容および成果〕
 本年度は,実験動物にディーゼル排気ガスの6ヵ月間曝露を行い,その酸化ストレスを観察する予定でいたが,曝露途中で装置が暴走し故障したため動物曝露の続行が不可能となった。一方,我々は,毛糸に大気中のダイオキシン類や多環芳香族炭化水素類が吸着することを明らかにしており,ヒトのそれら化合物の曝露実態を知る手段として,毛糸を用いた大気中のダイオキシン類および多環芳香族炭化水素類のモニタリングを試みた。実験的に毛糸にディーゼル排気を曝露したところ,毛糸のダイオキシン類吸着量は,対照群も含め曝露期間に応じ,ほぼ直線的に増加した。しかし,同時期に実験室内に放置した毛糸に吸着したダイオキシン類量はディーゼル排気を曝露したものよりも高く,ディーゼル排気ガス中のダイオキシン類濃度は室内空気に比べて低いことが示唆された。一方,毛糸に吸着した多環芳香族炭化水素類の量は,1,2または4週間の曝露期間いずれも,ディーゼル排気粒子濃度に応じ増加していた。しかし,個々の多環芳香族炭化水素類について見ると,蒸気圧が高く主にガス態で存在するPhenanthreneは,比較的短時間でその吸着が平衡に達するためか,曝露期間の増加に伴う吸着量の増加は見られなかった。一方,ディーゼル排気粒子に吸着し存在するBenzo〔k〕fluorantheneは, 曝露期間に応じ,その吸着量が徐々に増加する傾向が見られた。以上より,化合物の蒸気圧あるいは存在形態によって毛糸への吸着特性が異なることが明らかとなった。
 さらに,大気中ダイオキシン類のモニタリングのため,国立環境研究所屋上で毛糸を外気に曝露したところ,曝露期間に応じ, そのダイオキシン類吸着量は増加した。特に,2000年3月から4月の吸着量は他の時期に比べ多く,この間の大気中ダイオキシン類濃度が高かったことが示唆された。以上より,毛糸がダイオキシン類および多環芳香族炭化水素類を大気中濃度に応じ吸着することが明らかとなったが,その吸着特性から毛糸を用いた多環芳香族炭化水素類のモニタリングには2週間,ダイオキシン類に関しては1ヵ月間の曝露期間が最適であった。
〔備 考〕


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