(8) ダイオキシン類の毒性発現に関わる酸化ストレスの発生とその生体防御反応の制御メカニズムに関する研究
〔区分名〕奨励
〔研究課題コード〕0101AF064
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕松本 理(化学物質環境リスク研究センター)
〔期 間〕平成13年度(2001年度)
〔目 的〕ダイオキシン類は発がん性,催奇形性,環境ホルモン作用などのさまざまな毒性を示すと考えられているが,その毒性発現機構は未だに明らかにはなっていない。近年,生体内に摂取されたダイオキシン類は酸化ストレスを引き起こし,この酸化ストレスが毒性発現の一つの要因であることを示唆する結果が得られている。
生体に摂取されたダイオキシン類はアリルハイドロカーボン(Ah)受容体と結合し,第1相の薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)を誘導する。このシトクロムP450のあるものは代謝過程で活性酸素種を生じることがわかっている。一方,ダイオキシン類によりグルタチオンS-トランスフェラーゼPなどの第2相薬物代謝酵素も誘導される。この遺伝子は肝がんのマーカーであるが,その発現は酸化ストレスに対する防御反応であると考えられる。そこでダイオキシン類による酸化ストレスの発生と第2相薬物代謝酵素などの抗酸化ストレス遺伝子の発現制御機構について解明を進める。
〔内容および成果〕
ダイオキシン類による第2相薬物代謝酵素グルタチオンS-トランスフェラーゼP(GSTP1)の遺伝子発現の制御には抗酸化剤応答配列(ARE)とよばれるいくつかの薬物代謝酵素や抗酸化ストレスタンパク質に共通の遺伝子配列が関与している。この配列が仲介するGSTP1の発現制御に関する以下の実験を行った。
(1)AREに結合する転写因子のノックアウトマウスを用いてGSTP1の発現制御を調べ,この現象に関する転写因子の関与を明らかにした。
(2)転写因子が遺伝子の制御領域に作用するためには,細胞質から核に移行する必要がある。ダイオキシン類による転写因子の核移行を培養肝細胞を用いて免疫化学的方法により調べた。
(3)AhR-CYP1A1のシグナル伝達経路のAREを介するGSTP1の発現への関与を調べるために,AhR欠損細胞を用いてGSTP1の発現制御について検討した。GSTP1の発現へのAhR-CYP1A1の経路と酸化ストレスの関与が予想された。
〔備 考〕
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