(2) ダイオキシン類の体内負荷量および生体影響評価に関する研究
〔区分名〕重点特別
〔研究課題コード〕0005AA171
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.3.2 ダイオキシン類の総合的対策の高度化に関する研究
〔担当者〕米元純三(内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクトグループ)・森田昌敏・兜真徳・曽根秀子・遠山千春・青木康展・大迫誠一郎・宮原裕一・石村隆太・西村典子
〔期 間〕平成12〜17年度(2000〜2005年度)
〔目 的〕ダイオキシン類のヒトの健康への影響,ことに生殖・発生への影響が懸念されている。ヒトがダイオキシン類にどの程度曝露されており,またそれによってどの程度影響が起きているかについてはほとんど分かっていないのが現状である。特に生殖・発生への影響については,それを評価する適切なバイオマーカーがないことが大きな原因である。
本研究では1)ダイオキシン類の曝露量,体内負荷量を評価し,2)生体影響指標(バイオマーカー)の検索・開発を行い,3)体内負荷量との関係を検討し,その中で感受性の決定要因を明らかにする。これらにより,ダイオキシン類の生体影響,特に生殖・発生影響にかかわるリスク評価のための基礎資料を得ることを目的とする。
〔内容および成果〕
課題1 ダイオキシン類の曝露量,体内負荷量の評価に関する研究。
ヒトにおけるダイオキシン類の曝露量,体内負荷量を評価する一環として,本年度は食習慣の異なると考えられる2地域において母乳中のダイオキシン類を測定した。A地域(n=25)のTotal
PCDD/Fの中央値は8.52(1.59-21.84)pg
TEQ/g-fat,Total Co-PCBの中央値は5.99(0.38-28.66)pg
TEQ/g-fat,Total PCDD/F+Co-PCBの中央値は14.4(2.1-45.7)pg
TEQ/g-fatであった。一方,B地域(n=10)のTotal
PCDD/Fの中央値は3.49(1.17-5.6)pg
TEQ/g-fat,Total Co-PCBの中央値は2.75(1.5-4.6)pg
TEQ/g-fat,Total PCDD/F+Co-PCBの中央値は6.5(2.6-10)pg
TEQ/g-fatであった。母乳中のダイオキシン類濃度に明らかな地域差が認められた。
課題2 生体影響指標の適用可能性の検討および新規指標の検索・開発に関する研究。
ダイオキシン類の曝露によって鋭敏に動くと考えられる薬物代謝酵素CYP1A1,CYP1B1
mRNAのリアルタイムPCRによる定量を,埼玉(n=41)と大阪(n=36)の血液サンプルに対して行った。ダイオキシン類の曝露量(TEQ)とCYP発現量には埼玉で弱い負の相関が得られた以外は,有意な相関は得られなかった。埼玉においてCYP1A1とCYP1B1発現量との間に相関が見られた。年齢,性差とCYP1A1ならびにCYP1B1発現量との間に相関はなかった。
ダイオキシン曝露の新たな生体指標の検索・開発を目的として,DNAマイクロアレイを用いてTCDD応答遺伝子の探索を行った。具体的には,MCF7(ヒト乳がん)細胞あるいはRL95-2(ヒト子宮内膜がん)細胞に,0.1,1,10nMのTCDDを24時間曝露し,発現量の変化するエストロゲン応答遺伝子を調べた。その結果,スポットしてある203遺伝子のうち,MCF7細胞で75個,RL95-2細胞で68個のエストロゲン応答遺伝子の発現パターンが変化した。これらのうち10遺伝子に絞り込み,それらについて公表されている情報の検索・収集を行った。また,実際の細胞での遺伝子の発現を定量的に測定する作業を開始した。
課題3 ダイオキシン類に対する感受性の決定要因に関する研究。
ダイオキシン曝露で鋭敏に動くと考えられているCYP1A1遺伝子には日本人の集団において数カ所の多型が知られ,発がんとの関連が分子疫学研究により示唆されている。ダイオキシンの毒性発現における感受性に,このCYP1A1遺伝子の多型が関与している可能性が考えられる。そこで日本人の集団におけるCYP1A1遺伝子の代表的な多型,Ileu462ValおよびMspI多型を迅速にかつ精度高く検出する方法を検討し,凍結全血からのゲノム抽出方法ならびにallele
specific PCR法およびPCR-RFLP法による検出系を確立した。
〔備 考〕
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