(9) 内分泌攪乱化学物質等の管理と評価のための統合情報システムに関する研究
〔区分名〕重点特別
〔研究課題コード〕0105AA169
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.3.1 内分泌かく乱化学物質の総合的対策に関する研究
〔担当者〕鈴木規之(内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクトグループ)・桜井健郎・田邊 潔(化学環境研究領域)・森口祐一・松橋啓介・中杉修身
〔期 間〕平成13年〜17年(2001〜2005年度)
〔目 的〕内分泌かく乱化学物質等の評価・管理・影響等について考えられる事象についての情報システムを整備し,環境リスクの総合的な管理に役立つツールを作成することである。
〔内 容〕
本課題は,多様な環境リスクの管理に関して,さまざまな主体の参加のもとでの科学的知見に基づく透明な意思決定を支援するための@環境リスク要因物質の環境排出推計モデルの開発 A環境中動態モデル<CODE
NUM=00A5>暴露評価モデルの開発 B環境リスク評価<CODE
NUM=00A5>管理のための統合データベースの構築 C多様な環境リスク管理のためのコミュニケーション手法に関する研究を研究構想全体として実施する。このうち,特に本年度の本課題では,A環境中動態モデル・曝露評価モデルの開発,を主に化学物質環境リスク研究センターとの共同により,@排出推計モデル開発の一部を,主にPM2.5DEP研究プロジェクトとの共同により,実施している。
なお,環境ホルモン・ダイオキシン研究プロジェクトのほか,標記のように,化学物質環境リスク研究センター,化学環境研究領域,社会環境システム研究領域,PM2.5DEPプロジェクト等多くの領域の研究者による共同研究であり,各領域からの実質的に分担代表者的活動を行っている研究者のみを担当者として記載した。特に,本テーマの多くは化学物質環境リスク研究センターとの共同担当プロジェクトである。
〔研究および成果〕
内分泌かく乱化学物質等のリスク評価と管理のための統合情報システムとして,最終的に一体のシステム開発を行うことを目標として,このうちの幾つかの部分を本年度継続ないし着手するとともに,統合情報システムの共通システム開発についても3)のように継続して開発している。
1)ダイオキシンに関するケーススタディとして,前年度までに実施した,発生源情報および環境濃度情報の整備を利用し,地理統計解析手法による検討を行った。厚生労働省および経済産業省による排出量調査等の資料,また,環境濃度については,環境省が実施した一斉調査から昨年度までに作成した大気,土壌,水質等についてのデータを利用し,GISによる異性体組成表示,地理統計解析を用いて統計補間等の検討を行い,モニタリングデータに基づく環境状況把握の新たな方法論を模索している。こうして整備した情報を用いて,発生源の分布と,大気中および土壌中濃度分布との地理的関係の解析を実行している。観測点から一定距離範囲内にある発生源の排出量を集計することににより,排出量と環境中濃度の相関を求める解析などを引き続き実施してきたが,地理統計手法と合わせ,GISと一般的統計解析連携のための技術的検討を完了し,新たに地理統計および空間集計統計に基づく統計的解析を試みる予定である。
2)曝露評価の観点から,既存の多くの環境挙動モデルに加え,一定の地理的分解能を持つ多媒体モデルの必要性があると理解される。このことから,流域−グリッド複合型の地理的分解能を持つ多媒体環境動態モデルの設計を行い,また,流通経路を考慮した曝露評価に関する予備的検討を開始した。上記の多媒体環境動態モデルは,化学物質環境リスク研究センターとの共同により開発中の河川水質モデルと密接な構造的関係を持って設計され,基本的に共通のデータ基盤上に複数のモデルを構築する実例の一つであり,新たな技術的試みであると考えている。今後,当初ダイオキシン類について,次いでPRTR対象物質のうち情報の整備が完了したものについて順次ケーススタディーを実施する予定である。
3)統合情報システムを用いた解析およびシステム開発として,河川関係のデータの収集および解析ツールの整備として,国土交通省および環境省が河川について行った水質調査,魚類調査などの調査データをGISに入力・表示し,プラスチック添加剤,人畜由来の物質などによる汚染の地理的分布状況把握を継続するとともに,これと流域の状況との関連の基礎的解析を継続して実施した。
排出推計モデルとして,47地域間産業連関表と地理情報システムを用いた分析による経済指標からの排出インベントリーモデルの構築を検討した。
内分泌撹乱物質の生態系への影響を考える上で河川水は重要な媒体であることから,河川水中濃度と流域の発生源との関係を解析するため,GIS上で河川流域ごとに発生源を集計し,観測地点を指定することによりその上流域の発生源負荷を積算する機能の開発をほぼ完了した。
また,河川水質予測モデルをGIS上に構築するため,単位流域に基づき,河川水質モデルの構築基盤となる河川構造データベースおよび3種類の河川水質予測モデル基本設計を行い,GIS上への組み込み手法を検討した。設計完了後のデータベース・システムの実際の構築等は主に化学物質環境リスク研究センターのW.3.4(5)としているが,本課題によって技術的開発の行われた河川モデルを全国に統一的かつGIS上の操作によって実行可能なモデルの最初の実例としてのシステム開発であり,化学物質環境リスク研究センターにおける行政対応型課題に貢献するための基盤技術開発としての役割を果たしたと考えている。
これらすべての機能を統合情報システムとして集積しするためのシステム開発を継続して実施している。これも主に化学物質環境リスク研究センターの課題としているが,本課題で実施した基盤技術開発,および内分泌かく乱化学物質に関する固有の成果が有効に機能し,本課題としての開発成果を十分に反映するよう,主にリスクセンターにおいて本課題と一体として共同研究を実施している。
〔備 考〕
当課題は重点研究分野W.3.4(5)と密接に関連
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