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研究成果物



 

(7) 内分泌かく乱化学物質の脳・神経,免疫系への影響評価に関する研究


〔区分名〕重点特別
〔研究課題コード〕0105AA167
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.3.1 内分泌かく乱化学物質の総合的対策に関する研究
〔担当者〕森田昌敏(統括研究官)・三森文行・梅津豊司・山根一祐・今井秀樹・黒河佳香
〔期 間〕平成13〜17年度(2001〜2005年度)
〔目 的〕環境ホルモン化学物質がヒトの脳・神経系に影響を与えるのではないかとの懸念がある。本研究はこれらの化学物質の脳・神経系への影響を評価するための測定・解析手法の開発を目的とする。このため,ヒトや実験動物を対象とする超高磁場MRI測定法の研究,実験動物を用いる行動試験,神経生化学的試験法の評価と体系化を行い,環境ホルモン化学物質が脳・神経の機能や代謝に及ぼす影響の評価法を整備することを目標とする。
〔内容および成果〕
 MRIを用いる研究においては,環境ホルモン等の化学物質が脳の代謝機能に及ぼす影響を1H NMRスペクトルを用いて定量的に評価するための実験動物評価系の構築を行った。本法ではラット片脳の血液脳関門を開き,頚動脈経由で対象とする化学物質を脳内に直接投与し,その代謝物への影響を1H NMR法で評価するものである。脳の矢状断,冠状断画像に基づいて右ないし左脳内に5×5×6mm(150μl)の領域設定を行い,1H NMRスペクトルを測定する方法を確立した。この方法を用いてグルタミン酸,カイニン酸,ドーパミン等の神経伝達物質を頚動脈経由で脳内に直接投与を行い,その脳代謝への影響を調べた。グルタミン酸,カイニン酸では,脳内代謝物の変動は見られなかったが,ドーパミン投与では,メチル基領域で新ピークが出現することを観測した。また,人体用MRI装置の基盤整備,性能向上をはかった。
 行動試験法の研究においては,胎児期及び乳児期に甲状腺ホルモン合成阻害薬であるプロピルチオウラシル(PTU)を与えたマウスを作製し,この動物を甲状腺ホルモン欠乏モデルとして各種の行動試験法を適用した。運動活性試験において,このマウスは成長後運動活性の亢進を示した。ドーパミン再取り込み阻害薬であるブプロピオンを投与するとマウスの運動活性は増加するが,PTU処置動物では,その感受性が増大していた。そこで脳内ドーパミン及びセロトニンとその代謝物を測定したところ,脳の様々な部位で変化がみられた。運動活性亢進との関係を調べたところ,線状体におけるドーパミンの代謝回転と運動活性との間に強い関連性があることが示唆された。
 神経生化学的試験法を用いる研究においては,成熟動物の生体に有機錫化合物を投与して海馬傷害を引き起こし,同領域のアポトーシスと神経再生の関連およびこれらに対するグルココルチコイドの役割の検討を実施した。 この結果,副腎切除術より内因性のグルココルチコイド産生を抑制した動物については 海馬歯状回の上部顆粒細胞層に優位にアポトーシスが観察され,有機錫化合物投与の場合にその数は下部顆粒細胞層の方が優位であった。副腎切除術および有機錫化合物 投与双方の処置を行った動物の脳おいてはその数は相乗効果的に増加した。細胞新生はアポトーシスが生じている部位を取り囲むような分布を呈することを免疫染色法により明らかにした。
〔備 考〕


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