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研究成果物



 

(22) 水棲動物の生殖への作用メカニズムの解析


〔区分名〕戦略基礎
〔研究課題コード〕9901KB057
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕堀口敏宏(化学環境研究領域)・白石寛明
〔期 間〕平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕船底塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物がごく低濃度で巻貝類に特異的にインポセックスと呼ばれる雌の雄性化を引き起こすことが明らかにされているが,その誘導・発現機構の詳細は明らかでない<CODE NUM=00A1>これは巻貝類の生殖生理に関する基礎的な知見が不足しているためである<CODE NUM=00A1>本研究では巻貝類の生殖に関する生理・生化学的知見の集積に努め,インポセックスと呼ばれる雌の巻貝類の雄性化現象をめぐり,有機スズ化合物がどのように作用するかの解析を行うことを目的とする。
〔内容および成果〕
 筆者らは,現在までに得られた新腹足類及び中腹足類のインポセックスと雌アワビ類の雄性化現象に関する知見に基づいて,“腹足類の神経中枢である神経節に有機スズが高濃度に蓄積した結果,神経内分泌系が攪乱され,雌における雄性生殖器官の発達や付属生殖器官の構造の変化,卵巣での精子形成などの内分泌攪乱現象の顕在化に帰結する”との作業仮説を設定したが,この作業仮説の検証に際して,不足している腹足類の生殖生理に関する基礎的知見の獲得と蓄積に努めている。ここでは,特にステロイドホルモンとその受容体,及びアロマターゼに代表される性ステロイドホルモン代謝酵素に焦点を当てて研究を推進しており,本年度,以下の研究結果を得た<CODE NUM=00A1>
 1)イボニシとバイの生殖巣/消化腺混合部分からステロイドホルモン画分の抽出と精製を行い,誘導体化(シリル化)した後,高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計(R=5000)で測定した結果,雄性ホルモンとしてテストステロンとアンドロステロン,雌性ホルモンとして17β-エストラジオール,エストロン及びエチニルエストラジオールが同定されたため,イボニシやバイのステロイドホルモン代謝能に関して検討を加えた<CODE NUM=00A1>
 2)イボニシの生殖巣組織に対して,Novocastra社製やDako社製,Biogenesis社製などの種々の市販抗体とともに北野 健氏(熊本大学理学部)から分与いただいた抗体を用いて免疫組織化学染色を行った。また併せて,中和抗原による処理も行った。その結果,特異的な染色がARとERで認められたのに対し,P450Aromでは認められなかった<CODE NUM=00A1>
 3) イボニシの生殖巣/消化腺混合試料(1.5g)からTotal RNA(5.5mg)が回収され,その250μgを用いてPolyA+RNA(2.8μg)が調製された<CODE NUM=00A1>Stratagene社製cDNA Synthesis KitをベースにGubler-Hoffman法に基づいてcDNAが合成された。なお,1st Strand合成時に5-metyl dCTPを使用することにより,Directional Cloning過程でのcDNAの切断防止対策が講じられた<CODE NUM=00A1>またPrimary Libraryに対するTiter Assay,Blue/White Assay及びPCR Insert length Checkがなされた。
 4)3)で得られたイボニシのcDNAライブラリーとTotal RNAを用いて,ER及びP450Aromのクローニングに関する実験を行った<CODE NUM=00A1>
〔備 考〕
 本研究は科学技術振興事業団戦略的基礎研究における「内分泌かく乱物質の動物への発生内分泌学的研究」(研究代表者:岡崎国立共同研究機構・統合バイオサイエンスセンター教授 井口泰泉)のサブテーマの一つである。


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