(9) 残留性有機汚染物質(POPs)を含む廃棄物処理に関する調査研究
〔区分名〕環境-委託請負
〔研究課題コード〕0103BY306
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.2.1.3 資源循環・廃棄物管理システムに対応した総合リスク制御手法の開発に関する研究
〔担当者〕酒井伸一(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・野馬幸生・滝上英孝
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約や我が国のPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法など,最新の国際,国内動向を踏まえながら,POPs廃棄物の排出実態の把握や処理基準の策定等を進めるために必要となる科学的知見の収集整理や調査検討を行うことにより,POPs廃棄物の適正処理の推進に資することを目的とする。研究目標としては以下を設定している。
13年度 POPs発生源の把握に取り組む。HCBを中心に非意図的生成POPs等の排出実態の把握を行う。POPs廃棄物の収集運搬,保管に関する技術的事項の整理を行う。
14年度 物質循環・廃棄過程におけるPOPs存在状況の把握に取り組む。非意図的生成POPs等の排出実態の把握及び現存量の推定を行う。POPs廃棄物の処理処分基準に関する技術的事項の整理を行う。
15年度 POPs廃棄物の処理基準策定に資する技術的事項の整理を行う。現時点ではPOPs条約の対象となっていない重要な残留性汚染物質への対応方針について検討する。
〔内容および成果〕
本年度の研究内容としては次の通りである。
(1)POPs発生源に関する文献調査を行う。POPs条約が規定している12物質(アルドリン,ディルドリン,エンドリン,クロルデン,ヘプタクロル,ヘキサクロロベンゼン,トキサフェン,マイレックス,DDT,PCB,ダイオキシン類,フラン類)を調査対象物質とし,POPsの排出インベントリ,およびPOPs廃棄物の適正分解処理技術等の整理・検討を行う。
(2)非意図的生成POPs等の存在に関する実態調査を行う。非意図的生成POPs等(主にHCBを対象とする)について,POPsのインプット,施設内での物質挙動,排出量を測定,調査する。
(3)POPs廃棄物(埋設農薬を中心とする)について把握した物理化学特性,環境挙動物性を踏まえ,その廃棄物としての収集,運搬,保管にあたり留意すべき技術事項について,情報収集,整理を行う。
本年度の調査研究を実施し,下記のような成果を得た。
(1)POPs発生源に関する文献調査:
POPs条約規定物質12種に関し,文献検索を実施し,約400件の文献抄録を抽出し,そのうち200編は原報を取り寄せて調査に用いた。まず,環境放出量について推定するために,情報収集を行った。POPs農薬類については過去の生産,使用量データを,非意図的に生成するPOPsについては,特定されている各排出源からの排出量データ(排出原単位,排出インベントリ)を取りまとめた。
POPsの分解・制御技術に関しても既往報告をまとめた。多塩素化有機塩素化合物の処理方法として熱分解法,化学的処理法,物理的処理法,生物分解法別に概要総括を行い,各POPs物質別に報告例を示した。特に,廃POPs農薬類は,その廃棄形態が様々なこともあり,農薬成分単体に近いものから土壌や容器に他の種類の農薬と一緒に含まれる混合系のものなど,対象に応じて適切な処理技術を選択する必要性が考えられた。
(2)非意図的生成POPs等の存在に関する実態調査:
本調査は,物質循環,廃棄過程における非意図的POPsの存在量把握,対策のための基礎資料を提供することを目的に,廃棄物処理施設やその他の再生資源処理加工施設等を主体に施設選定を進め,POPsの投入,発生量および,施設内での物質挙動,排出量について測定,調査を行った。
本年度の調査対象施設については,ヘキサクロロベンゼン(HCB)の現在の主要な産業発生源と考えられている製造事業所2種について施設を選定し,それらの製造工程及び,廃棄物処理工程で適当なサンプリング点を設定し,HCBをはじめとし,PCB,ダイオキシン類等の非意図的POPs物質等の調査を行い,施設内の物質収支フローについて明らかにした。対象事業所としては,現在も国内で出荷されており,HCBを不純物として含有するとみられる農薬の製造工場の協力を得て,また,もう1種の事業所としては製造過程での蒸留残渣中にHCBを含むとみられる塩素系有機溶剤の製造工場の協力を得て調査を行った。
調査結果より,事業所ごとにHCBの排出量,排出原単位について推定を行い,国内,世界スケールのHCBの排出量推定インベントリと比較を行った。
(3)POPs廃棄物の収集,運搬,保管方法についての技術的な留意事項
POPs廃棄物の収集,運搬,保管時の安全性の確保及び効率的な輸送の実現のために,POPs廃棄物の収集,運搬,保管方法について,関係法令,文献等の情報を収集整理し,技術的な留意事項についてとりまとめた。
対象としたPOPs廃棄物は,ストックホルム条約(POPs条約)の規制対象となる物質のうち,アルドリン,ディルドリン,エンドリン,クロルデン,ヘプタクロル,ヘキサクロロベンゼン,トキサフェン,マイレックス,DDTの9種類の物質を含む廃棄物であって,主として保管農薬と埋設農薬を対象とした。
関係法令等については,「危険物の輸送に関する国連勧告(国連勧告)」,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法),毒物及び劇物取締法(毒劇物取締法),消防法等を中心に取りまとめを行い,各輸送モードに関しては,道路法,航空法,鉄道営業法,船舶安全法等の国内法規を基本に,ヨーロッパ危険物国際道路輸送協定(ADR),ヨーロッパ危険物国際鉄道輸送規則(RID),ICAO危険物安全空輸技術指針(ICAO-TI)の国際規則等も参考にした。
POPs廃棄物として特に留意すべき事項として取扱時の暴露により急性中毒等が考えられること,また混合積載等により,急激な発熱,毒性ガスの発生,爆発等の危険性も考えられるため,特に重要と考えられる容器の基準等については詳細に調査を行い整理した。
〔備 考〕
環境省廃棄物・リサイクル対策部からの受託調査研究として実施
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