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研究成果物



 

(8) 廃棄物溶融スラグの再生利用促進に関する研究


〔区分名〕環境-委託請負
〔研究課題コード〕0102BY305
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.2.1.3 資源循環・廃棄物管理システムに対応した総合リスク制御手法の開発に関する研究
〔担当者〕大迫政浩(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・酒井伸一・貴田晶子・田崎智宏
〔期 間〕平成13〜14年度(2001〜2002年度)
〔目 的〕廃棄物の処理において,焼却過程におけるダイオキシン類の低減及び最終処分場の延命化の観点から,焼却灰等の溶融処理が進みつつあるが,溶融処理により発生するスラグの土木資材等への再生利用については,4割程度の利用にとどまっており,それはJIS化による品質保証や需給構造の適正化,安全性確保などの点からの周辺環境整備が遅れていることなどが原因であるといわれている。そこで本研究ではスラグの再生利用を促進させるために必要な科学的知見等を集積し,再生利用の際の長期に亘る安全性を確認するための実験的評価手法および再生品全体についての管理手法を構築することを目的とした。具体的には,第一にスラグの品質・性状管理方法の確立とスラグ品質・性状管理技術指針策定,第二にスラグを一般環境中で利用する場合の長期的な環境影響を適切に評価するための方法の開発,及び第三に一般環境中で有効利用していく際の環境安全管理制度の枠組設計を行うための基礎資料を整理することを目的とした。
〔内容および成果〕
(1)スラグの品質・性状管理方法の確立とスラグ品質・性状管理技術指針策定
 @スラグの品質性状調査に基づく影響要因の明確化
 現在稼働中の49施設の自治体及び5施設の民間の溶融施設をもつ機関にアンケート調査を行い,スラグの品質・性状等にかかわるデータを収集した。スラグの有効利用率は約5割(平成9〜13年)であり,100%利用あるいはほとんど利用が進んでいない施設の2極化傾向がみられた。低い利用率の施設についてヒアリング等による詳細な要因解析が必要である。スラグ品質を確保するための留意点として,@溶融対象物からの金属除去 A塩基度 B炉内雰囲気温度 C安定出滓 Dスラグとメタルの分離等が重要視されているが,実際の品質管理分析は最大月1回であり,詳細な調査データを有している施設はない。溶融形式により品質管理の留意事項は異なっており,それぞれに品質・性状に影響する要因等をまとめた。
 稼動中の溶融施設及びガス化溶融施設(一部は産業廃棄物が処理対象)のうち,溶融対象物及び溶融方式の異なる12箇所の施設を選定し,溶融スラグ及び溶融対象物試料を採取し,含有量試験及び溶出試験等を実施して,品質・性状について化学的情報を整理し,各施設の各種条件との関連を検討した。
 A各種条件において製造されたスラグの特性化
12ヵ所の溶融施設で採取した試料についてpH依存性試験,アベイラビリティ試験などの特性化試験を実施し,様々な環境下での溶出挙動を類推するためにスラグの化学性状を特性化した。
 B鉛等の重金属類の溶出にかかわる要因解明と溶出防止方法に関する実験的検討
 スラグの有効利用の際に特に問題になると考えられる鉛等の重金属類の溶出にかかわる影響要因として,スラグ中の鉛等の重金属類の存在形態(分布・化合物形態など)やスラグの表面性状が考えられる。またスラグ品質が一定しているかどうかの一指標として,ガラス態のスラグとスラグ以外の物質(例えば金属)の存在割合を求めるため,走査電子顕微鏡/波長分散型分光装置を用いて表面性状の観察と表面及び粒子の化学組成を調べた。スラグは一般に表面がガラス質で滑らかであったが,表面に金属相(鉄と銅を中心とした合金と考えられる)の粒子が観察される試料があり,スラグと金属の分離が完全でないことを示していた。溶融炉形式によって,スラグとメタル相が分離される場合と溶融物がメタルも含めて水砕される場合とがあるが,後者の場合は球形の金属が混在していた。また表面にガス放出によるとみられる球形のホールの観察される試料もあった。水溶出により,微量ながら鉛,鉄,亜鉛,銅などの溶出がみられており,表面の微小な金属粒子の存在量との関係についてはさらに調査が必要である。また種々の溶出試験を行った後の試料表面観察が溶出挙動をみる上で有効と考えられた。
(2)スラグの有効利用形態に応じた長期的な環境影響評価方法の開発
 @スラグの有効利用における環境影響シナリオの設定
 スラグ中有害重金属が環境影響を引き起こすシナリオについては,土壌・地下水系への溶出による影響やスラグ微粒子の人体への直接摂取による影響など,いくつか想定されるが,ここではスラグの有効利用の用途に応じて想定される環境影響のシナリオを網羅的に整理し,長期的な環境影響評価方法を設計する際に前提となる環境影響シナリオと詳細な各種環境条件の設定を行った。
 Aタンクリーチング試験等による重金属類の長期的溶出挙動のモデル化
 スラグの有効利用の際の状態を想定して,有姿あるいは成形体のままの試料に対してタンクリーチング試験を適用し,重金属類の溶出速度等を実験的に把握することによって,長期的な溶出挙動をモデル化するために,水系溶媒とpH4硝酸系溶媒を用い,スラグを骨材としたモルタル(モルタル対照)についてタンクリーチング試験を行った。この手法は成形体を対象とした試験であるが,比表面積を測定した粒状物のスラグにも適用性を検討した。
 Bカラム試験等による土壌・地下水環境への影響評価
 有効利用時における降雨との接触や地下水との接触を想定した。小型のカラムにスラグ試料を充填した飽和及び不飽和浸透下でのカラム試験について,試験装置の設計及び試験条件等及び土壌・地下水環境への重金属類の浸出挙動のモデル化を検討した。
(3)再生材あるいは再生品の一般環境中での有効利用における環境安全管理方策に関する調査
 スラグの有効利用促進を図る上で,再生材あるいは再生品全体の一般環境中での有効利用に係る環境安全性管理方策を整備する必要があることから,以下の項目についての情報を収集・整理した。
 @再生材及び再生品の有効利用における環境安全管理方策に関する内外の情報収集・整理
スラグだけでなく,広く廃棄物由来の再生材及び再生品の環境安全性を管理するための内外の制度等(法律,ガイドライン,規格など)に関する情報を収集し,その特徴や問題点等を整理するとともに,日本における今後の方策に資するための情報整理を行った。再生材利用が進んでいるのはオランダとドイツであるが,オランダの建設資材法では対象が再生材だけでなく非再生品にも適用されていること,また両国共に安全性を1段階で決定せず,清浄な土砂とみなされなくても,管理下(隔離下)で利用可能とする方策をとっていることが分かった。また,一次資源からの製品についての調査研究は国内ではあまり行われておらず,調査の必要性があることが分かった。
 A再生材及び再生品の有効利用における環境安全性判断基準及び試験方法に関する情報収集・整理
 再生材及び再生品の有効利用における環境安全性を判断するための試験方法(各種溶出試験や含有量試験など)及びそれらの試験方法を用いた場合の基準値とその設定根拠などの情報を集積した。オランダの建設資材法では評価試験としてタンクリーチング試験を用い,基準は,100年間に再生材から溶出し土壌へ移行・蓄積する量として規定していた。また,ドイツは無条件利用・限定された場所での利用という管理体系を含有量と溶出量の組み合わせにより評価していた。無機塩類も対象項目に入っており,塩類の地下水への影響も考慮している点も特徴であった。さらに,これら収集した情報をもとに,各種試験方法の特徴や問題点を整理した。今後,日本における現行の環境基準などとの整合性などを含めて,試験方法のあり方と判断基準設定の考え方などが明確にされる必要があると考えられた。
〔備 考〕


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