(7) 人工衛星による不法投棄等の監視システムに関する研究
〔区分名〕環境-委託請負
〔研究課題コード〕0105BY239
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.2.1.3 資源循環・廃棄物管理システムに対応した総合リスク制御手法の開発に関する研究
〔担当者〕大迫政浩(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・田崎智宏・森口祐一・田村正行・酒井伸一
〔期 間〕平成13〜17年度(2001〜2005年度)
〔目 的〕廃棄物の不法投棄等を未然に防止するとともに,万が一不法投棄等の不適正処理が行われた場合には,早期に発見し速やかな対応を講じることが生活環境保全上の支障を防止する観点から重要である。本研究は,不法投棄等の状況を効率的に監視できるよう,人工衛星を活用した不法投棄等監視システムを開発することを目的とする。具体的には,人工衛星による監視エリアを事前に絞り込み衛星監視の効率化を図るための地理情報システム(GIS)を用いた要監視地域のゾーニングシステム,人工衛星により撮影した画像の解析によって高精度に投棄箇所を識別・検出するための投棄箇所検知システム,および自治体の実務を効果的に支援するための衛星監視業務運用システムの詳細設計を行う。また,これらの目的を達成するために各種の基礎調査を行い,必要な情報の収集・整理も併せて行う。
〔内容および成果〕
基礎調査として,不法投棄が発生しやすい場所を明らかにする,関連要因を明らかにすることを目的として,全国から選定された5県における不法投棄現場45地点について,現地調査・GISデータによる調査・資料調査・聞き取り調査を行うとともに,対象各県の担当者に対してヒアリング調査を実施した。
次に,これらの情報をもとに,不法投棄要監視地域のゾーニングシステムの開発を行った。ゾーニングは,(1)市区町村の主に社会的・経済的因子に着目した圏域レベルの不法投棄が発生しやすい地域ゾーニング (2)投棄物の物流に着目した圏域レベルの投棄物可到達地域ゾーニング (3)25mメッシュの主に地理的・土地利用的因子に着目した現場レベルの不法投棄が発生しやすい地点ゾーニング (4)25mメッシュの現場レベルでの不法投棄規模が拡大しやすい地点ゾーニングの4つの観点から行った。関東圏域を対象にゾーニングを検討した結果,(1)については人口密度,所得,失業率,非可住地面積,第1次産業割合の5つをゾーニングに用いることが適当と考えられた。これらの因子について,相対発生確率を求め,4つのゾーニング区分に分類したところ,最も不法投棄が発生しやすい区分に該当する市区町村を監視することで不法投棄が発生した市区町村の65%程度,上位2区分に該当する区域を監視することで不法投棄が発生した地区町村の90%程度が該当することが分かった。(2)については,産業廃棄物処理業者へのアンケート等を行い廃棄物の物流データを整備し,市区町村ごとの建設系廃棄物の発生量と処理・処分能力とのバランスから「不法投棄を誘発する廃棄物が発生する地域」と「廃棄物が不法に到達しうる地域」をゾーニングする一つの方法論を提示した。時間距離や委託料金,地域の特徴,投棄に至るシナリオを考慮した方法論は,今後検討が必要である。(3)については,(1)と同様のアプローチでゾーニングを行った。現場レベルにおいては,人口密度,行政界からの距離,基本道路からの距離,森林縁からの距離,地形分類の5つをゾーニングに用いることが適当と考えられた。また,(4)については,行政界からの距離,森林縁からの距離,地形分類,土地利用形態の4因子について,不法投棄面積を目的変数とした数量化T類によりゾーニングを行った。重相関係数は0.59と必ずしも高い値ではなかったが,不法投棄の規模が大,中,小のいずれかの推算には利用できることが分かった。なお,(3)と(4)については,ゾーニング結果の検証が十分でなく,来年度は,多数の検証データを収集することが必要である。
また,人工衛星の光学センサ,熱赤外センサ,合成開口レーダセンサ,パンクロマチックステレオセンサによる投棄箇所検知システムの開発を行った。まず,光学センサを用いたスペクトル特徴の変化による検知については,投棄物と土壌の区別は困難であったが,森林や草地との区別は可能であることが判明したことから,植生指数(NDVI)に着目した検知システムを検討した。また,空間特徴の変化に着目すれば,投棄物と土壌の区別の可能性があると考えられたが,現段階では有効な検知アルゴリズムは発見できていない。次に,熱赤外センサを用いた投棄物の発熱あるいは熱伝導率の違いによる検知については,投棄物が覆土されて見えない状態であっても発熱などの条件によっては,投棄物を検知できることが分かった。しかし,分解能が低く,かなり大規模の不法投棄現場にしか適用できないことが分かった。合成開口レーダセンサを用いた投棄物の反射波強度による検知については,廃プラスチックなどを検知することは困難であったが,廃家電のような金属系の投棄物については検知できることが分かった。しかし,分解能が低く,大規模の不法投棄現場にしか適用できないことが分かった。パンクロマチックステレオセンサを用いた投棄現場の高さの変化による検知については,高分解能センサを用いれば可能性があることが分かった。また,以上の検討で可能性があったセンサであっても,不法投棄ではない現場を同時に検出してしまうため,異なる複数のセンサを統合利用する,衛星画像とGISデータとの統合利用を行う必要があることが分かった。
最後に,衛星監視業務運用システムの詳細設計を行った。まず,自治体の不法投棄実務担当者にヒアリングを行い,不法投棄監視・対応の現状実務フローを作成した上で,実務に適合する衛星監視システム化の方針を定めるとともに,衛星監視の実務フローを定めた。また,システムの実現可能性の検討として画像注文条件,役割分担などの各方法を比較し,より実現可能性が高い方法を選定した。さらに,衛星監視によって回避できる不法投棄対策費用を求めるために,不法投棄現場の原状回復費用データを解析し,原状回復費用に関わる因子を整理した。
〔備 考〕
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