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研究成果物



 

(3) 廃棄物の熱的処理における臭素化ダイオキシン類の長期的管理方策に関する研究


〔区分名〕環境-公害一括
〔研究課題コード〕0104BC240
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.2.1.3 資源循環・廃棄物管理システムに対応した総合リスク制御手法の開発に関する研究
〔担当者〕酒井伸一(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・橋本俊次・大迫政浩・鈴木規之
〔期 間〕平成13〜16年度(2001〜2004年度)
〔目 的〕臭素化ダイオキシン類及びその他の有機臭素化合物の廃棄物の熱的処理・再資源化工程からの発生及びマテリアルリサイクル製品への残留に対して,環境中での消長などに関する知見も踏まえてリスクを把握し,臭素化ダイオキシン類及び有機臭素系難燃剤に対する適正かつ長期的な管理方策を提示することを目的とする。具体的には,高分解能ガスクロマトグラフ/高分解能質量分析計(HRGC/HRMS)による臭素化ダイオキシン類の分析を確立するために,分解性等の安定性を考慮した前処理法及び最適な分析操作条件を検討する。また,LC/MSを応用した新たな測定分析法の可能性についても検討する。臭素系難燃剤等の使用実態に関する統計調査及びヒアリング等による使用実態把握を行い,臭素系難燃剤を含む廃棄物・循環資源の発生量を予測する。含有可能性のある廃棄物について知見の少ないものについては実測調査を実施し,廃棄物処理・再資源化施設等において,挙動調査を実施する。
〔内容および成果〕
 有機臭素系難燃剤が使用されているプラスチックの例として,テレビのケーシング材を取り上げ,廃テレビの年代別の有機臭素系難燃剤およびその副生成物の含有実態を把握するとともに,廃テレビの寿命分布を用いて,臭素ベースでの時系列的な廃棄予測モデルを作成した。ケーシング材の全臭素含有量は,1987頃までは0%であり,1987年頃から1990年頃にかけて増加し,その後約10%であった。そこで,収集された廃テレビを1987〜1990年,1990〜1993年,1995〜1998年の3つに分けて,ケーシング材中の臭素化ダイオキシン類(PBDDs/DFs),臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs),テトラブロモビスフェノールA(TBBP-A)の含有量を測定した。その結果,含有量は,臭素重量換算でそれぞれ81〜410ppm,29,000〜74,000ppm,380〜1,100ppmであることが分かった。また,ケーシング材の重量は,サイズによらずテレビ全体重量の約15%を占めることが分かった。以上のデータと廃テレビの寿命分布を用いて,2つのシナリオについて,臭素ベースでの時系列的な廃棄量の概算予測を行った。その結果,臭素ベースではPBDEの重量割合が約2/3を占めること,すぐにPBDEの使用を中止しても2006年度前後で廃棄量がピークを示し,2000年度の約1.5倍が廃棄されることが分かった。
 次に,テレビに使用される難燃加工プラスチックの製造から処理過程までを対象としたライフサイクルアセスメントを行うために,SimonsonらのFire-LCA Modelを日本の条件を基に改良し,家電リサイクル法施行後の処理・リサイクルシステムの変化に関して把握した実態から,溶融などによるスラグ製造や非鉄精錬プロセスにおける基盤からの金属回収,ガス化などによる化学原料化,バックカバーからバックカバーへのマテリアルリサイクルなど,処理・リサイクル過程における想定シナリオを充実させた新たな評価の枠組みを提示した。次に,シナリオ検討の第一段階として,テレビ使用時の火災リスクを推定した。難燃剤使用が開始された前後および米国,欧州との比較検討を行った結果,難燃剤使用後に火災リスクが低減したことや,米国並みの厳しい難燃規格を適用している日本が難燃剤使用以前から火災リスクが極めて低いことが,統計上のデータから見いだされた。しかし,火災リスクの定義の同一性など今後十分確認する必要性がある。
 さらに,焼却や溶融過程における有機臭素系難燃剤の分解挙動および臭素化ダイオキシン類などの生成挙動に関するフィールド研究を行い,基礎的な知見を収集できた。つまり,都市ごみ焼却プラントにおいてPBDDs/DFs濃度とマテリアルフローの測定結果から,臭素化ダイオキシン類の消長を解析した。破砕ごみの混焼割合を増加させることにより,排出されるPBDDs/DFsの濃度は増加する傾向がみられた。一方,破砕ごみの混焼割合が低いところではPBDDs/DFsの排出濃度は比較的低レベルであった。各施設で測定されたPBDDs/DFs濃度から,ごみ1トンあたりのPBDDs/DFsの流入量と流出量を求めたところ,破砕ごみとの混焼によりPBDDs/DFsの流入量は増大する。適正なシステムで処理を施せば,システムとして90%程度の分解率が得られる一方,流入量に応じて流出量が増える傾向も見られた。したがって,破砕ごみを混焼したときに発生する焼却灰については,溶融処理などを含めた積極的な分解処理を検討していくことも有効であることが示唆された。
 今後は,有機臭素系難燃剤を含む廃テレビ等の処理・リサイクルの実態を家電リサイクル法施行前後で把握し,可能性のある難燃剤の環境進入経路を洗い出すとともに,時系列的なフロー予測モデル設計に関する基礎的な検討を行う。埋立処分場などからの水系への環境侵入の実態や様々な再資源化プロセスにおける実態を把握するためのフィールド研究に取り組むとともに,ラボスケールの溶出試験や難燃加工プラスチックに含まれる難燃剤の熱分解および臭化ダイオキシン類などの生成挙動実験を併せて行うことにより,挙動メカニズムに関する研究にも着手する。GC/MSによる難燃剤成分と臭素化ダイオキシン類の分析方法の検討を進め,さらに,LC/MSの高感度化を検討し,有機臭素系難燃剤としてTBBP-Aおよびその関連物質であるブロモフェノールの分析方法を確立する。
〔備 考〕


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