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研究成果物



 

(2) オゾン層破壊物質及び代替物質の排出抑制システムに関する研究


〔区分名〕環境-地球推進 A-2
〔研究課題コード〕9901BA304
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.2.1.3 資源循環・廃棄物管理システムに対応した総合リスク制御手法の開発に関する研究
〔担当者〕浦野紘平(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・大迫政浩・中杉修身
〔期 間〕平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕家電,自動車,業務用冷凍冷蔵機器および業務用空調機器が廃棄される場合に同時に廃棄されるオゾン層破壊物質であるフロンと,消火剤として使用されてきたハロンの適正な回収・破壊処理システムを設計・評価することを目的とする。本年度は,家電および自動車に使用されているフロン類のサブスタンスライフサイクルに焦点をあて,いくつかのオゾン層破壊指数のない物質への代替・転換や回収・破壊処理シナリオを想定し,ライフサイクルアセスメントを行った。また,業務用空調機器を対象として,フロン量分布の推計を行い,フロン回収にかかわるコストと環境負荷の評価を行った。さらに,ハロンの実施設での分解条件範囲を考慮した基礎実験を行い,高温分解特性を明らかにするための検討を行った。
〔内容および成果〕
 1)家電および自動車に使用されるフロン類に関するライフサイクルアセスメント
 冷蔵庫の冷媒フロンおよび断熱材フロン,エアコンの冷媒フロン,さらに自動車エアコンの冷媒フロンを対象として,フロンの製造から充填使用,製品の廃棄に伴うフロン回収,運搬,破壊処理までをライフサイクルとして,複数のシナリオについてエネルギー消費,温暖化ガス排出およびオゾン層破壊物質排出のインベントリー分析を行った。また,インベントリー結果をもとに,特に温暖化とオゾン層破壊に関するインパクト評価を行い,シナリオ間でみられる両者のトレードオフの関係について考察した。
 その結果,エネルギー消費については,いずれのシナリオでも製造時の負荷が大きく,破壊処理シナリオでは破壊処理時の負荷も高くなった。温暖化ガスの排出では,フロンの直接的な排出に伴う負荷が圧倒的に大きく,オゾン層破壊物質についても同様であった。インパクト評価を行った結果,冷蔵庫断熱材のフロンをオゾン層破壊防止の観点からシクロペンタンに代替する効果が高いことや,フロン類を破壊処理することに伴う新たな温暖化ガスの排出はオゾン層破壊物質の抑制に比較して無視でき,回収・破壊処理を推進していくことが,オゾン層破壊抑制だけでなく温暖化対策にも有効であることが証明された。さらに,特定フロンから代替フロンやシクロペンタンへの代替・転換が進むにつれて,温暖化とオゾン層破壊抑制効果が時系列的にどのように変化するかを予測し,今後の長期的な戦略のあり方に関する示唆を与えた。
 2)業務用空調機器に使用されたフロン類の回収システムの評価
 豊橋市を対象地域として,地理情報システム(GIS)上での計算プログラムを用いて,第3次メッシュ(約1×約1km)ごとに建物床面積から業務用空調機器のフロンストック量分布の推計を行い,フロン回収にかかわる費用・環境負荷の計算及び考察を行った。
 その結果,全国フロンストック量に対する,豊橋市全体のフロンストック量推計値の比率は,全国に対する豊橋市の飲食店数と百貨店数の比率とほぼ近い値を示し,本手法による推計結果の妥当性が確かめられた。
 このフロンストック量分布の結果から,回収費用,環境負荷(エネルギー消費量,CO2発生量)の計算を行った。昨年の業務用冷凍冷蔵機器についての計算結果と比較すると,業務用空調機器の回収費用の方が高くなった。これは業務用空調機器のストック量の方が冷凍冷蔵機器ストック量よりも多かったのが原因である。フロン分布による費用の違いよりも,ストック量による違いの方が大きくなることがわかった。
 本研究で開発した業務用空調機器におけるフロンストック量分布の推計手法により,フロン分布の情報を得ることで,フロン回収における費用,環境負荷の発生などが予測可能となり,また本手法を適用して,回収対象量,収集距離を考慮した地理的な回収システム構築のための有益な情報提供が可能となった。
 3)ハロン類の高温分解特性に関する検討
 ハロン1301について,実施設での分解条件範囲を考慮した基礎実験を行い,それぞれ高温分解特性を明らかにし,分解速度に与える影響因子を考慮して分解反応速度式の決定を行った。その結果,炭化水素が共存しない場合の乾燥空気中での分解反応速度の頻度因子,活性化エネルギーを求めることができ,任意の分解速度,滞留時間,酸素濃度での分解率を予測できるようになった。以上のことから炭化水素が共存しないと,実施設での温度では十分な分解率を得られないことが分かった。また炭化水素が共存するときの分解反応速度式を推定し,その適用を確認することができた。各炭化水素における分解反応速度式の各パラメータ値が求められ,任意の反応条件での分解率が予測できるようになった。炭化水素がハロン分解に影響する因子であるεについて,炭素数の数で一般化することにより,実際の産業廃棄物焼却処理場の廃棄物を炭化水素で換算すれば,算出できるようになった。
 ハロン1301高温分解時における副生成物質の確認を行った結果,炭化水素が共存しない場合は,副生成物質としてCOの生成が認められず,またPFC-116の生成が認められ,また炭化水素が共存する条件ではPFC-116の生成が認められなかったがCOの生成が認められた。これらの副生成物発生の反応条件を明らかにし,またεを考慮して炭化水素の種類によらず,ほとんどCOの生成しない条件を推算することができるようになった。
 焼却分解装置におけるシミュレーション解析として,実際のロータリーキルンと二次燃焼室をもつ産業廃棄物処理施設を細分化した多段完全混合型のシミュレーションモデルを考え,既往研究で提案された各施設の複雑な焼却条件を一般化する手法を用いた。これにより,焼却施設の各位置でのハロン濃度と分解率を推算することができ,ハロン1301の分解挙動を明らかにすることができた。
〔備 考〕
共同研究機関:横浜国立大学・豊橋科学技術大学


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