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研究成果物



 

(3) 産業廃棄物の焼却に伴うダイオキシン類の発生挙動解明と抑制技術の開発に関する研究


〔区分名〕環境-廃棄物処理
〔研究課題コード〕0002BE277
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕安原昭夫(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・橋本俊次・中宮邦近
〔期 間〕平成12〜14年度(2000〜2002年度)
〔目 的〕固形産業廃棄物を対象に,焼却処理における焼却物の種類,燃焼条件とダイオキシン類生成量の関係を明らかにし,ダイオキシン類発生量の低減化方策を調べる。焼却処理でダイオキシン類の発生が避けられない廃棄物については,微生物分解を用いたダイオキシン類フリーの処理技術を開発する。
〔内容および成果〕
 産業廃棄物として,木材系廃棄物を中心に,一部プラスチック系廃棄物を加えて,次に示す20回の焼却実験を行った。@防炎カーテン(アクリル系100%)A防炎カーテン(ポリエステル100%)Bビニル電線(シース及び絶縁体のみ)Cビニル電線(銅線も含めた全体)DルームエアコンプラスチックカバーA EルームエアコンプラスチックカバーB F発泡ポリスチレン G段ボール箱 Hパルプモールド I塩化ビニリデン加工紙 J廃木材(クロルデン汚染物)K廃木材(PCP汚染物)Lブナ製材くず M松製材くず(高温燃焼)N松製材くず(低温燃焼)O海水貯木松の樹皮製材くず P海水貯木松の木部製材くず Q杉製材くず R海水貯木杉の樹皮製材くず S海水貯木杉の木部製材くず。燃焼条件と生成するダイオキシン量の関係を調べた。
 今回使用した防炎カーテンには塩素系化合物が難燃剤として含まれており,焼却でダイオキシン類が発生した。ダイオキシン類の同族体別組成では,2種類の防炎カーテンの間で大きな違いが観察されたが,原因は現在調査中である。ビニル電線では,銅の触媒作用によるダイオキシン類の増加は観察されなかった。
 ルームエアコンプラスチックカバーには塩素系難燃剤や臭素系難燃剤が含まれており,高温焼却をした。一塩素化体から四塩素化体までのダイオキシン類が比較的多く生成したが,毒性を有する異性体はわずかしか生成しなかった。
 発泡ポリスチレン,段ボール箱,パルプモールドなどの梱包用資材からのダイオキシン類生成量はひじょうに少なかった。
 塩化ビニリデン加工紙の焼却ではかなり高濃度のダイオキシン類が生成した。毒性等量での発生原単位は0.64TEQ-ng/gであり,ジベンゾフラン類の比率が高いという特徴が観察された。
 薬剤処理された木材を焼却した際のダイオキシン類の発生量は大きな関心事であるため,今回の実験ではクロルデンで処理された木材(塩素含量 0.02%)とペンタクロロフェノールで処理された木材(塩素含量 0.34%)を焼却実験した。ダイオキシン類発生総量は共に,3.5ng/g であった。焼却前の木材から検出されたダイオキシン類の同族体別組成は,焼却排ガスから検出されたパターンとはまったく異なっており,燃焼で新たに生成したダイオキシン類であることが確認された。
 新たに伐採,製材された木を高温で焼却する場合のダイオキシン類生成量はわずかであったが,低温焼却の場合は多量のダイオキシン類生成が起こった。また,海水中で貯留した木材を500〜600℃で焼却した場合では,かなりの量のダイオキシン類が発生した。焼却炉での燃焼では排ガス処理装置で生成ダイオキシン類の9割以上が除去されるが,たき火や木材の野焼きではそのような除去装置はないので,なるべく避けるべきと判断される。
 ダイオキシン発生の基本的条件は塩素含量が1%以上存在すること及び炉床温度が800℃以下で焼却されることであった。炉床温度が800℃以上の場合には,焼却物に塩素がある程度含まれていても,ダイオキシン類の生成量は微量であることが判明した。一方,炉床温度が800℃以下の場合は,焼却物中の塩素含量とダイオキシン類の生成量の間に比例関係が成立した。排ガス中の塩化水素濃度や一酸化炭素濃度とダイオキシン類生成量の間には,相関関係はまったく見られなかった。
 塩素濃度が高い木材やプラスチック類を,焼却以外の方法で処理できれば,ダイオキシン類の生成を削減することができる。本研究では,100℃以上で活動する好熱菌で塩素濃度が高い木材やプラスチック類を分解する試みに着手した。本年度は好熱菌の分離と培養条件を調べた。
〔備 考〕
分担研究者:形見武男(岐阜県保健環境研究所)


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