(2) 焼却処理におけるダイオキシン類発生量予測指標に関する研究
〔区分名〕特別研究
〔研究課題コード〕0102AG237
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.2.1.2 廃棄物の循環資源化技術,適正処理・処分技術及びシステムに関する研究
〔担当者〕安原昭夫(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・橋本俊次
〔期 間〕平成13〜14年度(2001〜2002年度)
〔目 的〕廃棄物焼却におけるダイオキシン類生成は燃焼部と排ガス処理部の2ヵ所で起こっており,それぞれに対策が必要である。省エネルギー,省資源の観点から,焼却物からのダイオキシン類発生量を事前に予測できれば,より低コストでの焼却処理が可能となる。本研究では,ダイオキシン類生成の基本要素に関する基準データを計測し,ダイオキシン類の生成要因を明らかにする。さらにダイオキシン類の発生を最小限に抑制するための発生要素除去対策とダイオキシン類発生予測の簡易指標についても検討を行う。
〔内容および成果〕
(1)自然物や,塩素をほとんど含まない素材の焼却で生成するダイオキシン類を調べた。広葉樹と針葉樹を切り出し,乾燥した後,焼却して,燃焼室出口でのダイオキシン類濃度を測定した。900℃以上の高温で燃やした場合,四塩素化体〜八塩素化体の総生成原単位は,ブナで0.3ng/g,松で
2.1ng/gであった。600℃あたりで燃やした場合,四塩素化体〜八塩素化体の総生成原単位は,松で5.5ng/g,杉でも5.5ng/gであった。毒性等量に直すと,およそ数ng-TEQ/m3である。この値は燃焼室出口での値であり,排ガス処理装置を通ると,約100分の1に低下するので,実際の排出口濃度は0.1ng-TEQ/m3以下となり,規制基準より低い濃度となるので心配はない。落ち葉の焼却実験については,現在分析中である。
(2)食塩含浸新聞紙の焼却でダイオキシン類が生成する原因のひとつが新聞紙に残存しているリグニンではないか,との推測をしている。この推測を実証するため,リグニンがほとんど含まれていないクラフトパルプ紙に食塩を含浸させて乾燥したものを焼却した。燃焼室出口でのダイオキシン類生成量(1.2ng/g)は食塩含浸新聞紙の場合の約10分の1程度であった。また,食塩を含浸させないクラフトパルプ紙と新聞紙では,ダイオキシン類の発生量は約0.1ng/gと同程度であった。これらの結果から,セルロース自身の熱分解でもダイオキシン類は生成するが,リグニンと塩素源が共存する状態での加熱では,ダイオキシン類がより生成しやすいと結論した。現在,各種の自然素材物について,リグニン含量とダイオキシン類生成量の関係を焼却実験で確かめている。
(3)無機塩化物の存在下で焼却から発生するダイオキシン類と塩素含量の関係を調べた。その結果,塩素含量1%以上のデータでは,ゆるい比例関係の成立することを確認した。次に無機塩化物のうち,塩化ナトリウム,塩化カリウム,塩化カルシウムをそれぞれ塩素源とし,新聞紙を燃焼物として,同じ条件で焼却実験を行った。ダイオキシン類の生成原単位はそれぞれ,49.0ng/g,28.6ng/g,18.6ng/gであった。ダイオキシン類の生成しやすさは,無機塩化物の固体状態での塩素原子と金属原子との結合エネルギーとある種の相関をもっていることが分かった。
(4)食塩含浸新聞紙の焼却において,炉床温度を変える実験を行った。炉床温度がかわると,燃焼状態が変化し,一酸化炭素濃度が大きく変動した。一酸化炭素濃度が159ppmの時のダイオキシン類発生量は174ng/g,2ppm以下の時のダイオキシン類発生量は2.68ng/gであった。
(5)焼却排ガス中に含まれる塩素ガスそのものを測定することを考え,ある企業で試作された測定装置を使って分析を試みた。焼却排ガス中にはさまざまの反応性化学種が存在し,分析が妨害を受けることが判明したため,塩素ガスの測定を中止した。
(6)家庭の台所ごみ(生ゴミ)を焼却した場合のダイオキシン類の発生量を測定するため,モデル台所ゴミの調製を行った。焼却実験は14年度に実施する予定。
〔備 考〕
共同研究者:形見武男(岐阜県保健環境研究所)・(地方自治体研究機関との共同研究)
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