(7) 社会的受容性獲得のための情報伝達技術の開発
〔区分名〕戦略基礎
〔研究課題コード〕9903KB033
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕寺園 淳(社会環境システム研究領域)・森口祐一・松橋啓介・吉田早苗
〔期 間〕平成11〜15年度(1999〜2003年度)
〔目 的〕環境問題の多様化,複雑化に伴い,環境低負荷型社会を各主体が協力して築くためには,様々な環境問題の重要性をバランスよく評価し,意思決定につなげる必要性がますます高まっている。本研究では,各種環境問題に対する定量的・科学的情報を提供しながら,いくつかの事例に関する市民との討論などを通じて,彼らの環境観(価値観)を把握する。得られた環境観を用いて従来のライフサイクルアセスメント手法を改良し,様々な意思決定に適用可能な環境影響の総合評価手法を開発することを本研究の目的とする。同時に,市民の行動に影響する因子を把握し,環境低負荷型社会構築のための情報提供や政策への評価手法適用のあり方を探る。
〔内容および成果〕
ごみ問題については代替案ごとに環境負荷のトレードオフが存在する場合も多く,望ましいシステムを市民が選択することが容易ではない。本研究では,環境情報が市民の意思決定に与える影響を把握し,望ましい総合評価と情報提供のあり方を探るために,ごみ問題に関するワークショップを開催した。ワークショップのテーマはプラスチックごみの処理システムの比較評価であり,参加者は東京都のA区の住民ら21名である。焼却と埋立という2つの代替案について,「二酸化炭素排出による地球温暖化」「大気中のダイオキシン類などによる健康影響」「東京湾の埋立処分場の逼迫」という3つの環境問題に関して予想される影響の情報を参加者に提示した。参加者がこのような情報や議論をもとにして,環境影響の観点から代替案の比較評価を行った。その結果,重視された環境問題は「健康影響」と「処分場」の2つであった。また,代替案については,情報提供後に焼却を評価する参加者が増えるなど,提供された環境情報に応じて,参加者が下す判断に変化が認められた。さらに,焼却技術のような不確実性を有する情報について,個別の参加者による受け止め方の違いが大きいことが明らかになった。今後の課題として,リサイクルのような他の代替案の評価や,情報の質の向上などが挙げられる。
〔備 考〕
研究代表者:安井 至(東京大学)
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