(5) 耐久財起源の循環資源の適正管理に関する研究
〔区分名〕環境-廃棄物処理
〔研究課題コード〕0103BE278
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.2.1.1 循環型社会への転換策の支援のための評価手法開発と基盤システム整備に関する研究
〔担当者〕森口祐一(循環型社会形成推進・廃棄物研究センター)・寺園 淳・加河茂美・橋本征二・田崎智宏
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕既に建設解体廃棄物や耐久消費財は,廃棄物発生量に大きな割合を占めているが,今後,使い捨て型の廃棄物の減量化が見込まれること,社会が成熟し,過去からのストックが更新の時期を迎えることを考慮すれば,耐久財起源の循環資源は,重要度を増すと考えられる。そこで本研究は,こうした耐久財起源の循環資源に焦点をあて,今後の発生量を予測し,そこに含まれる物質の有用性・有害性などの質的側面を評価するとともに,リサイクル・適正処理処分促進のための技術や施策等の管理手法とその効果について検討することにより,循環型社会形成に資する知見を提供することを目的とする
〔内容および成果〕
本研究では,産業連関分析,マテリアルフロー分析,保有・廃棄モデル,意識調査,法制度分析などの手法と,家電・自動車などの耐久消費財や建築物といった事例研究対象とを組み合わせることで,耐久財に起因する廃棄物の発生と循環利用に関する現状分析と主要な問題点の抽出を行う。
家電,自動車を対象とした事例研究では,自動車の保有・廃棄意識をアンケート調査し,別途行った家電8品目(パソコン含む)に関する調査と比較した。自動車の廃棄行為に影響している要因を,保有時の利用状況や故障・点検時の対応方法などとの関係を中心に解析し,車の買い替えには,車の変更意志とともに車検時期が大きな理由であることが分かった。家電製品に関する調査では,台数,サイズやタイプ,置き場所,使用年数などの保有状況ならびに入手状況や今後の保有予定,過去3年間に手放した家電についての廃棄状況やその理由を調査しており,廃棄行為にかかわる要因や廃棄の将来予測のための基礎的な知見が得られた。
一方,家電・自動車とその原材料の出荷フローとリサイクル・処理過程でのフローを調査した。加えて,鉛,カドミウム,ニッケルなどの国内フローならびに利用・リサイクルの状況の基礎調査を行った。また,自動車の素材別の時系列的なマテリアルフローを概算した。これにより,部品・素材ごとの物質含有量やそのリサイクル・処理過程の関連情報を調査できた。この結果を用いて,1990〜2020年における自動車の素材別に,出荷フロー,廃棄発生フロー,解体フロー,リサイクルフロー,処理・処分フローの各フローを概算した。出荷・廃棄発生フローでは,アルミとPP,PEとABSを除くその他プラが増加していた。また,これらのフロー量の差より蓄積量が推算され,2000年には出荷フローの正味23%が蓄積分であった。また,リサイクルフローの素材数は少ない一方で処理処分フローの素材数は多く,素材分別できない分が処理・処分フローへ流れることが明示された。
さらに,家電リサイクル法施行前後における廃棄フロー等の変化を調査・解析し,法施行による影響を考察した。家電リサイクル法施行直前における冷蔵庫の駆け込み廃棄は,主に使用年数が長い製品の廃棄による影響であることが分かった。廃棄モデルを用いて解析を行った結果,家電リサイクル法の費用徴収によって廃冷蔵庫の発生抑制がすすむ可能性は,短期的には認められなかった。
建築物については,固定資産の価格等概要調書,建築統計年報等を用い,地域ブロック別,木造・非木造別,主要建材別に,建材の蓄積量,廃棄量の推計を行った。推計の結果,関東ブロックでの建材蓄積が全国の30%を占めた。非木造建築の建材蓄積が増え続け,現在では全体の75%を占める。コンクリートの蓄積が全体の90%を占める。建材廃棄も同様の傾向が見られる。今後,コンクリートのリサイクルが問題になると考えられる。また,民家の再生を実施した施主を対象にヒアリングを行い,再生の意思決定に影響を与える因子を抽出した。民家再生の意思決定に影響を与える因子として9因子が抽出された。今後もヒアリングを継続するが,現段階では,心理的な側面,情報の側面が意思決定にとって重要であると思われる。
日本と欧州主要国における建築廃棄物発生量とリサイクルの状況を新築,改築,解体ごとに現状比較した。日本は解体時,欧州では改築時の廃棄物が多く,維持保全型社会に転換するための課題と必要性が示された。
〔備 考〕
共同研究者:柳下正治(名古屋大学)・谷川寛樹(和歌山大学)
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