(4) 環境勘定・環境指標を用いた企業・産業・国民経済レベルでの持続可能性評価手法の開発に関する研究
〔区分名〕環境-地球推進 H-9
〔研究課題コード〕0103BA038
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕森口祐一(社会環境システム研究領域)・寺園 淳・近藤美則
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕「持続可能な発展」や「環境政策と経済・産業政策の統合」は概念としては広まったものの,その具体的意味の共通理解は不十分なままであり,その実現への具体的道筋は未だに明らかではない。従来の国レベルの経済指標や生産性指標,企業の経営指標は,地球環境保全を考慮した意思決定には不十分であり,各経済主体の活動が,持続可能な方向に向けられているかを判断するための尺度が必要である。リオ+10に向けて「持続可能な発展」の進捗を計測する指標開発が重要課題とされ,OECDの「環境情報勧告(1998年)」においても,指標開発と意思決定への利用促進を求めている。また,1993年の国民経済計算体系(SNA)の国際標準改訂の際に試行的に導入された環境経済統合勘定(SEEA)について,2000年版改訂草案が公表され,これに呼応した新たな研究の実施が早急に必要である。一方,企業レベルでも環境面からの格付けなどの社会的ニーズが手法開発に先行しており,信頼できる手法の提供が急務である。そこで,本研究は,環境勘定(環境会計)や環境指標の手法を用いて,さまざまなレベルの経済主体ごとに,その活動の環境面での持続可能性の度合いを計測するための手法を開発することにより,産業・経済活動のより持続可能な方向への転換に資することを目的とする。
〔内容および成果〕
本課題は3つのサブテーマから構成されるが,当研究所ではサブテーマ「マテリアルフロー勘定を用いた環境・資源効率指標の開発に関する研究」を担当した。また,課題全体の代表者として,他の共同研究機関が担当するサブテーマ「SEEAの改訂等に伴う環境経済勘定の再構築に関する研究」によるマクロレベルの勘定・指標と,サブテーマ「産業における環境効率・資源生産性評価手法の開発と適用に関する研究」によるミクロレベルの勘定・指標とをつなぐ役割を担った。
担当サブテーマについて,本年度は,先行研究で試作した多次元物量投入産出表(MDPIOT)について,SEEA2000との整合性の向上や,「隠れたマテリアルフロー」・貿易による国際連関の明示のための枠組みの再構築,誘発分析システムの開発等を行った。
貿易による国際連関を含めた物量投入産出表を作成する際,国際産業連関表を拡張した枠組みが理想であるが,日本以外の国々についての統計の制約からこの方法はきわめて困難である。一方,日本の経済活動による地球環境への影響を記述する際,輸入資源が背負った環境負荷を含めるべきことは先行研究から明らかである。そこで,日本へ輸入される化石燃料や鉱物資源などの主要資源のフローを勘定表に明示するとともに,こうした資源の相手国での生産プロセスに関する勘定をサテライト(別表)としてリンクさせることにより,輸入資源に関連する部分を組み込んだ枠組みを試作した。また,この枠組みの中に,主要輸入資源に関する物量フローを記述するための基礎データの収集を行った。
また,二酸化炭素の排出構造分析などに従来から適用してきた,経済活動の最終需要による誘発フローの分析手法をMDPIOTに適用した。これにより,家計消費や固定資本形成などの最終需要が1単位発生した場合,主要資源が環境からどれだけ採取され,経済部門間をどのように取引されて製品となり,どの部門からCO2や廃棄物がどれだけ発生するかを,マスバランスを保持しながら分析するためのツールの原型が構築できた。一方,1995年産業連関表をベースとした,エネルギー消費量・大気環境負荷量のデータベースについて,公表に向けた修正を行った。
さらに,エコデザイン,産業エコロジー等の関連研究分野における国際集会への参加,OECDにおける環境指標,持続可能な発展の指標(デ・カップリング指標)の検討作業への参加などを通じて,指標開発・利用の動向,とくに,マテリアルフロー分析の指標開発への利用動向について情報収集した。
〔備 考〕
共同研究機関:内閣府経済社会総合研究所・独立行政法人産業技術総合研究所LCA研究センター・ヴッパータール気候・環境・エネルギー研究所(ドイツ)・ライデン大学(オランダ)・世界資源研究所(米国)・ウイーン大学(オーストリア)
共同研究者:井村秀文(名古屋大学)・有吉範敏(熊本大学)・和田喜彦(札幌大学)
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