(5) 都市交通の環境負荷制御システムに関する基礎的研究
〔区分名〕戦略基礎
〔研究課題コード〕9702KB032
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.5 東アジアの流域圏における生態系機能のモデル化と持続可能な環境管理プロジェクト
〔担当者〕日引 聡(社会環境システム研究領域)
〔期 間〕平成9〜14年度(1997〜2002年度)
〔目 的〕燃料種・車種別自動車選択モデルを開発し,環境税の導入が,自動車選択に及ぼす影響について分析し,低公害車普及政策評価を中心とした自動車交通外部不経済削減政策の実証的評価を行うことを目的としている。
〔内容および成果〕
日本の大都市地域における大気汚染深刻化の要因の一つとして,ディーゼル自動車のシェアの増加があり,その背景には,NOx1単位あたりの課税額はガソリンより軽油の方が軽いという税格差の存在が指摘されている。本年度は,条件付きロジットモデルを新車における車種選択問題に応用することにより,車種選択に関する計量経済モデルを構築し,燃料税の格差が車種選択に影響を及ぼしているかどうかを検証する。
本研究で推計するモデルは以下のように定式化される。すなわち,個人nの車種iの選択確率Pinは次式で表される。
ただし,
であり,Uinは,dnだけ走行する個人nが車種iを選択したときに得られる効用,einは互いに独立であり,同一のワイブル分布に従う誤差項であるである。また,ただし,Zikは車種iのk番目の物理的属性,fieは燃料e(e=レギュラーガソリン,プレミアムガソリン,軽油)を使う車種iの燃費,Peは燃料eの価格,dnは個人nの走行距離,CRiは車種iの購入費用,Dmは車種iを生産するメーカーを表すダミー変数である。
中古車市場のサンプル(1999年11月時点で中古車市場で売りに出されている車,113車種,6,604サンプル)から得られる,車体価格,物理的属性,走行距離などの車種情報および燃料価格を用いて,最尤法によりパラメータqk,qCI,qCR,qmを推計する。推計結果は,表1のとおりである。
なお,どの変数の推計結果も,有意水準1%で有意である。
推計結果から得られる本研究の結論を要約すると以下のとおりである。
(1)排気量,室内容積,馬力/重量の各変数とも符号は正であり,自動車の操作性や乗り心地,利便性を反映した値が消費者にとって重要であることが確認されている。
(2)安全性をとらえるABSダミーの符号も正で,かつ,有意である。消費者の安全志向が認められている。
(3)購入費用,走行費用のパラメータの符号はマイナスであり,それぞれ負担が増えると,効用が減少することを意味している。
(4)モデルの推計結果(走行費用のパラメータがマイナスであるということ)は,ガソリンの単位NOx排出あたりの課税額は軽油より重たいため,現在の燃料税制は,NOxについての環境負荷の相対的に軽いガソリン車の選択を抑制し,環境負荷の重たいディーゼル車の選択を促進しており,資源配分のロスを生じさせている。
〔備 考〕
研究代表者:岩田規久男(学習院大学)
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