(2) 自動車車種選択に関する計量経済モデルの構築と環境税導入が車種選択および環境負荷に及ぼす影響の分析
〔区分名〕奨励
〔研究課題コード〕0101AF021
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.1.2 統合評価モデルを用いた地球温暖化のシナリオ分析とアジアを中心とした総合対策研究
〔担当者〕日引 聡(社会環境システム研究領域)
〔期 間〕平成13年度(2001年度)
〔目 的〕日本の大都市地域における二酸化窒素(NO2),浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染深刻化の要因の一つとして,ディーゼル自動車のシェアの増加があり,その背景には,自動車燃料課税が関連しているといわれている。1キロリットル当たりの燃料への課税額をみると,ガソリンでは5万3800円,軽油では3万2100円となっており,NOx1単位当たりの課税額はガソリンより軽油の方が軽くなっている。このような税格差が新車購入時において相対的に燃料費用の安いディーゼル車の選択を促進している可能性がある。
本研究は,車種選択に関する計量経済モデルを用いて,燃料税の格差の解消が車種選択及びNOxの排出に及ぼす影響について分析することを目的としている。
〔内容および成果〕
本研究では,条件付きロジットモデルを新車における車種選択問題に応用した計量経済モデルを用いて,燃料税格差の是正が車種選択の変化を通して,NOx排出量に及ぼす影響について分析した。
本研究のシミュレーションに用いられるモデルは以下のとおりである。すなわち,個人nの車種iの選択確率Pinは次式で表される。
ここで,Vinは,dnだけ走行する個人nが車種iを選択したときに得られる効用を表しており,
である。ただし,Zikは車種iのk番目の物理的属性,fieは燃料e(e=レギュラーガソリン,プレミアムガソリン,軽油)を使う車種iの燃費,Peは燃料eの価格,dnは個人nの走行距離,CRiは車種iの購入費用,Dmは車種iを生産するメーカーを表すダミー変数である。また,qk,qCI,qCR,qmは中古車市場のサンプルを使って推定されたパラメータであり,モデルで使われている変数と,そのパラメータは表1に示すとおりである。
このモデルを用いて燃料税格差是正に関する政策シミュレーションを行い,モデル構築に使われたサンプル(1999年11月時点で中古車市場で売りに出されている車,113車種,6,604サンプル)に関して,車種選択がどのように変化し,その結果NOx排出量がどの程度減少するかについて分析した。主要な結論を要約すると以下のとおりである。
(1)軽油課税をガソリン課税並みに引き上げることにより,ディーゼル車からガソリン車への車種選択を促進させるだけでなく,より環境負荷の大きい高排気車から低排気車への選択を促進させる結果,NOxは8%減少した。
(2)このとき,この燃料税の変更によって,長い走行距離を走る人ほど走行費用の変化が大きくなるため,環境低負荷型車(ディゼール車よりもガソリン車,高排気車よりも低排気車)の選択のインセンティブが大きくなることが明らかになった。
(3)本研究により,燃料税制の改正により外部費用を内部化することは,走行距離の違いにより,選択的に環境負荷の大きい人にはそれに応じた負担を課すことができ,資源配分のロスを生じさせないという意味で優れている。したがって,効率的な資源配分を達成するためには,現在実施されている自動車税制のグリーン化のような,自動車の保有や取得に対する課税ではなく,自動車の使用,すなわち,消費燃料に応じた課税へ税制改正を修正すべきである。
〔備 考〕
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