(8) 将来大気における成層圏水蒸気と極成層圏雲の表面積の変動に関する研究
〔区分名〕文科-科研費
〔研究課題コード〕0104CD164
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕秋吉英治(成層圏オゾン層変動のモニタリングと機構解明プロジェクトグループ)
〔期 間〕平成13〜16年度(2001〜2004年度)
〔目 的〕1次元光化学−放射結合モデル,化学ボックスモデル,及び3次元化学GCMを用いた数値実験により,二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果気体の増加が引き起こす,地球温暖化に伴う極成層圏雲の量の変化,特に不均一反応過程に直接影響を及ぼす極成層圏雲の表面積の変化と,オゾン破壊との関連を明らかにすることを目的とする。
二酸化炭素倍増など,温暖化地球大気において,成層圏の水蒸気と気温はどの程度変化するのか,それによって,極成層圏雲の表面積はどの程度変化するのか,その表面積の変動に関して粒径分布依存性などの不確定性がどの程度あるものなのか,そして,化学過程はどう変わるかを調べ,オゾン層への影響をより確かなものとする。
〔内容および成果〕
1991年のピナツボ火山噴火によって成層圏硫酸エアロゾル量が急増後徐々に減少していった事例について,気球観測による,火山噴火後に典型的な成層圏硫酸エアロゾルの粒径分布データ,レーザレーダによるエアロゾルの鉛直分布データ,衛星によるエアロゾルの光学的厚さのデータから,鉛直1次元光化学−放射結合モデルによるオゾン破壊の計算に必要な,エアロゾルの表面積の時間空間分布を算出した。この硫酸エアロゾルの表面積の時間空間分布を,鉛直1次元光化学−放射結合モデルに入力して,オゾンなどの大気微量成分濃度と気温の変動の計算を行った。その結果,増加した硫酸エアロゾル上での不均一反応によるオゾンの減少により,火山噴火後の成層圏気温の上昇は,微量成分濃度の変動よりも短期間で解消されることがわかった。また,対流圏の気温変動に関しては,火山爆発後約半年くらいまでは,増加した硫酸エアロゾルが地表に到達する太陽光を減衰させて対流圏気温の低下が起こり,それに続く約半年間で,エアロゾルによる赤外温室効果の増大によってこの気温低下が半分以上回復し,さらにその後は,成層圏下部のオゾン減少によって引き起こされた温室効果の縮小による対流圏気温の弱い低下が2〜3年間持続するという複雑な変動パターンを示すことがわかった。また,臭素系物質の,硫酸エアロゾル上での不均一反応を通してオゾン破壊に及ぼす影響は大きく,ピナツボ級の火山爆発の場合,オゾン破壊量は臭素系物質を全く考慮しない場合に比べて約2倍程度になることがわかった。
〔備 考〕
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