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研究成果物



 

(3) 紫外線増加が生物に及ぼす影響の評価


〔区分名〕環境-地球推進 A-5
〔研究課題コード〕9801BA199
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕

〔担当者〕中嶋信美(生物多様性の減少機構の解明と保全プロジェクトグループ)・玉置雅紀・久保明弘・青野光子・佐治 光
〔期 間〕平成10〜13年度(1998〜2001年度)
〔目 的〕植物に紫外線が照射されると遺伝子損傷がおこるが,光回復やフラボノイド系色素の合成など抵抗性反応が誘導されることで,遺伝子損傷を防御・修復している。一方,修復されなかった損傷は植物体内に蓄積し次世代に突然変異として伝わることになる。太陽光紫外線によってどの程度の突然変異が起こって,そのうちどの程度が次の世代に伝わるのかは,植物の場合これまで全く研究例がなく,その方法も確立されていない。本研究では紫外線による突然変異の蓄積量をモニターするための指標植物の開発を行うことを目的とした。
 植物としてシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana L. cv. Columbia),モニター遺伝子として,大腸菌のシトシンデアミナーゼ(codA)を用いて指標植物の作製を行った。本年度は前年度の継続として,codAが導入された形質転換体に紫外線照射実験を行い,突然変異検出が検出できるか検討を行った。
〔内容および成果〕
 codAを導入した組み換え体pCRCODIの種子をロックウールに約800粒播種し春化処理したのち,400粒ずつ2つに分け紫外線照射区,対照区とした。対照区には100μE/m2の白色光を1日14時間照射しながら,温度23℃,湿度70%で生育させた。紫外線照射区は対照区と同じ条件で0.7W/m2あるいは0.2W/m2のUV-B(Toshiba FL-20にU-290ガラスフィルターでUV-Cを除去した光)を明期に連続照射した。それぞれの処理は種子が形成されるまで2ヵ月間行った。また,葉での突然変異を検出するためにそれぞれの1週間UV-B照射した植物からDNAを抽出し,codAを増幅するプライマーを用いてPCR反応を行い,得られたPCR産物をpBI221とライゲーションした。その後codA変異株である,大腸菌TKL-10へトランスフォーメーションしてアンピシリン耐性かつ5-フルオロシトシン(5-FC)耐性のコロニーを選抜した。
 100個体のシロイヌナズナにIn planta法によりpCODHm3を導入し,ハイグロマイシンによる選抜を行ったところ,1個体の形質転換体(PCRCOD1)が得られた。この形質転換体の葉からDNAを抽出してサザンハイブリダイゼーション法でcodAが導入されていることを確認した。導入遺伝子のコピー数を調べるため,PCRCOD1のT2世代から得られた種子60粒をハイグロマイシンの培地で発芽させた。その結果,ハイグロマイシン耐性のものが44個体,感受性ものが16個体得られた。この分離比はほぼ3:1であることから,PCRCOD1にcodAはhaploid当たり1コピーだけ導入されていると結論した。PCRCOD1の植物体400個体に紫外線照射を行った。2ヵ月照射した時点で種子を回収したところ,非照射区では約30,000粒,0.7W/m2の場合約5,000粒,0.2W/m2の場合約10,000粒の種子が得られた。これらの種子を5-FCを含む選抜培地で選抜した。その結果,非照射区の種子から5個体,0.7W/m2照射区から0個体,0.2W/m2照射区から2個体の5-FC抵抗性系統が選抜された。現在これらの個体のcodAの変異が入っているか検討中である。
 葉に生じた変異を検出するために紫外線照射したpCRCOD1の植物体からDNAを抽出して,PCRでcodAを増幅しベクターとライゲーション後大腸菌変異株TKL-10に導入しアンピシリンを含む培地上でコロニー形成を観察した。その結果,アンピシリン耐性耐性コロニーは1μg当たり2,000個しか出現しなかった。次に同じDNAをよく形質転換に利用されているJM109に導入したところ,アンピシリン耐性コロニーは1μg当たり200,000個出現した。これらのコロニーにcodAが導入されてているかどうかPCRで確認したところ,調べた16個のコロニーすべてにcodAの存在が確認できた。以上の結果,TKL-10への形質転換効率を上げる努力をすれば,実験系が確率できる可能性が高い。
〔備 考〕
研究代表者:田口 哲(創価大学)


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