(12) 地球温暖化の総合解析を目指した気候モデルと影響・対策評価モデルの統合に関する研究
〔区分名〕環境-地球推進 IR-3
〔研究課題コード〕0103BA341
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
V.1.1.2 統合評価モデルを用いた地球温暖化のシナリオ分析とアジアを中心とした総合対策研究
〔担当者〕井上 元(地球環境研究センター)・神沢 博・野沢 徹・日暮明子・菅田誠治・森田恒幸・原沢英夫・甲斐沼美紀子・増井利彦・高橋 潔
〔期 間〕平成13〜15年度(2001〜2003年度)
〔目 的〕本研究は,温暖化の影響,各種温暖化対策の必要性と効果を政策担当者,国民等に対して具体的に提供することを目的とし,対策評価,温暖化の見通しの評価,影響評価の3つのモデル間の相互作用を解析するアジア太平洋地域向けの統合モデルを開発して,温室効果気体及びエアロゾルの排出が地域の気候変化を通して農業の収量変化や水資源の変化へ及ぼす影響に対する基礎的情報を得ることを目標とする。
現在,地球温暖化研究において解決すべき大きな課題として,(1)地球温暖化をもたらす温室効果気体及び地球温暖化を基本的には抑制する対流圏エアロゾルの2つの大気微量成分について,人為的発生量を対策モデル数値計算により定量的に評価し,その評価に基づいて,気候の将来の見通しを得るための空間3次元気候モデル数値計算を行い,地球温暖化の時空間分布を定量的に推定すること (2)その推定結果に基づいて,影響評価モデル数値計算を行い,地球温暖化の影響を定量的に推定することの2つが挙げられる。本研究では,最終的にこの2点を遂行することを目指す。具体的には,開発済みの全球気候モデルを,影響および対策評価と結びつけるために,対策研究の成果を気候モデルに組み込む手法を開発して,その開発した手法を組み込んだ気候モデルを利用し,影響研究に資する成果を得る。このように,排出シナリオに対する気候シナリオ,その気候シナリオに対する影響シナリオについて一貫したモデルを作成し,それらのシナリオの評価を実施する。また,開発したモデルを,20世紀の過去100年間の地球温暖化研究に適用することを試みる。
〔内容および成果〕
本課題は,以下の3つのサブテーマで構成される。
(1)排出シナリオと気候モデルとのインターフェース開発に関する研究
(2)気候モデルと影響評価モデルとのインターフェース開発に関する研究
(3)気候モデルと影響・対策評価モデルとを統合したモデルによる総合評価実験に関する研究
排出シナリオと気候モデルとのインターフェース開発に関する研究として,気候モデルで利用可能な各種温室効果気体(二酸化炭素,メタン,亜酸化窒素,オゾン,フロンガス,等)および各種エアロゾル源(硫酸塩,炭素性,土壌性,海塩,等)の排出シナリオに関する検討を行う。気候モデル(ここでのモデルは主に全球気候モデル)が外部パラメータとして必要とする各種温室効果気体の濃度の年々変化,および,各種エアロゾル,オゾンの空間分布の時間変化を,それらのソース排出データから導出する方法を検討し,実験を行う。排出シナリオのパラメータの不確実性が気候シナリオにどれくらいの誤差を与えるのかを調べる感度実験を行い,総合評価実験の結果の解釈に用いる。また,気候モデルと影響評価モデルとのインターフェース開発に関する研究として,全球気候モデルと影響モデルを繋ぐインターフェースモデルとしてのアジア太平洋地域向けの地域気候モデルの開発を行う。全球および地域気候モデルの系統誤差やパラメータの不確実性が影響モデルにどれくらいの誤差を与えるのかを調べる感度実験を行う。水資源,農業活動に対する影響評価を行うモデルにとって必要なパラメータを必要な時間分解能で地域気候モデルから出力する方法を検討し,実験を行う。さらに,気候モデルと影響・対策評価モデルとを統合したモデルによる総合評価実験に関する研究として,総合評価実験の検証に必要な各種の気候および地球環境のモニタリングデータの内容を検討し,収集を行う。過去の排出シナリオデータを与えて全球気候モデルによる過去100年の気候再現実験を行い,全球気候シナリオデータを得る。地域気候モデルを用いてアジア太平洋地域を対象とした過去100年の地域気候シナリオ(気温,降水量,雲分布,日射,等)を求め,気候シナリオの排出シナリオに対する応答を調べるとともに,農業の収量変化や水資源の変化が,どの程度再現できるかを調べる。
本年度の研究成果は以下のとおりである。各種温室効果気体および各種エアロゾル源の排出シナリオに関する検討を行った。地域気候モデルの開発を行った。各種の気候および地球環境のモニタリングデータの内容を検討し,収集を行った。IPCCへ報告した将来100年にわたる気候変化の見通し実験(いくつかの温室効果ガス・エアロゾルの排出シナリオを開発済みの気候モデルに与えて実施)の結果を解析し,総合評価モデル実験実施上の問題点を考察した。
〔備 考〕
共同研究機関:東京大学
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