(6) 大気汚染・温暖化関連物質監視のためのフーリエ変換赤外分光計測技術の開発に関する研究
〔区分名〕特別研究
〔研究課題コード〕0002AG078
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕中根英昭(大気圏環境研究領域)・畠山史郎・杉本伸夫・井上 元
〔期 間〕平成12〜14年度(2000〜2002年度)
〔目 的〕地域規模の大気汚染の深刻化と地球規模の大気汚染への寄与の増大という二つの側面から,大気汚染・温暖化関連物質の実態把握と対策の重要性はますます大きくなっている。多様な大気汚染物質の動態を把握するためには,これらを同時に観測することが重要である。温室効果ガスについては,ソース・シンクの情報を含む鉛直分布の連続測定が重要である。
上の要求を満たす測定手法として,フーリエ変換赤外分光(FTIR)計測が有力な候補である。特に最近操作性が良好になった高分解能FTIR装置の持つ大きな情報量を活用するならば,多成分の大気汚染物質の同時観測をオープンパスで行うこと,温暖化関連物質の高度分布の観測を行うことの可能性が開ける。本研究では,上の可能性を現実化する測定手法を提案し,これについて実際に高分解能FTIR装置を用いた実験を行い,測定手法の有効性を実証することを目的とする。
〔内容および成果〕
本研究では,オープンパスの長光路吸収測定による大気汚染物質の多成分同時観測について,水蒸気等の干渉等の問題を排除するためのハードウェア的,ソフトウェア的技術を開発する。また,赤外吸収スペクトルの幅が気圧(高度)によって変化すること等を利用して,大気汚染物質や温室効果ガスの鉛直分布を求める技術を開発する。具体的には,(1)長光路吸収法による大気汚染物質の同時多成分計測技術の開発,及び(2)太陽光源赤外吸収スペクトルを用いた温暖化関連物質の鉛直分布計測技術の開発の二つのサブテーマによって研究を行う。
(1)長光路吸収法による大気汚染物質の同時多成分計測技術の開発
本サブテーマでは,赤外光源から放出された赤外光を水平に大気中に放出した後にリトロリフレクターによって折り返し,光路中の大気中の汚染物質によって吸収させた後にFTIR装置に導入して吸収スペクトルを観測する。観測された多成分の気体の吸収スペクトルを個々の吸収スペクトルを用いて分離し,個々の気体の濃度を導出する。個々の気体の濃度を導出するプログラムの開発,水蒸気等による干渉が分解能によってどのように変化するか等に関して検討する。本年度は,リトロリフレクターの設計・製作を行うとともに,送信光源の改良を行った。
(2)太陽光源赤外吸収スペクトルを用いた温暖化関連物質の鉛直分布計測技術の開発
本サブテーマでは,太陽を追尾して太陽光をFTIR装置に取り込み,太陽と地上の間の大気による吸収スペクトルを観測する。気体濃度の鉛直分布を導出する。測定対象とする気体は,二酸化炭素,一酸化炭素等である。本年度においては,太陽光源を光源として大気の高分解能赤外吸収スペクトルを観測し,解析ソフトウェアSEASCRAPEを用いて一酸化炭素,メタン,亜酸化窒素の鉛直分布を導いた。特に,一酸化炭素においては,吸収スペクトルの飽和の程度の異なる吸収線を用いて対流圏における高度分布の情報が得られることが分かった。
〔備 考〕
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