(4) 大気と森林生態系間の酸素と二酸化炭素の交換比率に関する研究
〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕0102AE099
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕遠嶋康徳(大気圏環境研究領域)
〔期 間〕平成13〜14年度(2001〜2002年度)
〔目 的〕森林生態系が光合成や呼吸をする際の酸素(O2)と二酸化炭素(CO2)の交換比率(Rb)は大気中のO2濃度の変動を解析する上で重要である。しかし,実際の生態系においてこのの交換比率を計測した例はほとんどない。本研究では森林生態系において大気中のO2とCO2の変動を測定し,その交換比率を調べることを目的とする。
〔内容および成果〕
森林内の大気中CO2濃度は,大気が安定化する夜間から明け方にかけて土壌や植物の呼吸の影響がとどまりCO2濃度は上昇するが,日中は上部大気との混合や光合成によってCO2濃度は低下する(O2濃度はその逆の変動をする)。上部大気のCO2やO2濃度の変動が森林内と比べて小さいと仮定すると,森林内で観測される濃度の日変動から求められる-△O2/△CO2比は森林生態系における平均的なRbを表していると考えられる。そこで,北海道苫小牧のカラマツ人工林内で大気試料を採取し,森林内のO2およびCO2濃度の観測を2000年7月より開始した。大気試料は観測用タワーの地上6mの高さから引き込み,ガラス製容器に毎月16〜24本(2時間間隔で1〜2日間)の割合で採取された。
観測の結果,CO2およびO2濃度の日変動の振幅は植物活動の活発な夏から初秋にかけて大きく,冬から春にかけて小さかった。日変動から求められたはRbは,初夏から初秋にかけては0.9〜1.1,冬から春(11月から4月)にかけては,1.1〜1.3であった。冬季にRbが大きな値を示す理由としては,化石燃料の燃焼の影響を受けた大気が移流してきたためと考えられる。Rbの夏季の平均値(2000年および2001年の7月から10月の平均)は0.99±0.05であった。現在,陸上植物のRbとして,植物体を構成する有機物や土壌有機物の平均的な元素組成等から推定された1.10±0.05という値が使われている。今回の観測結果はこの値よりも10%低い値であった。
〔備 考〕
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