W.重点研究分野ごとの研究課題
1. 地球温暖化を始めとする地球環境問題への取り組み
1.1 温室効果ガスの排出源・吸収源評価と個別対策の効果評価に関する研究
(1) 大気中二酸化炭素の接地境界層から自由対流圏にかけての輸送に関する基礎的研究
〔区分名〕経常
〔研究課題コード〕0104AE102
〔重点特別研究プロジェクト名,政策対応型調査・研究名〕
〔担当者〕町田敏暢(大気圏環境研究領域)・井上 元・遠嶋康徳・高橋善幸
〔期 間〕平成13〜16年度(2001〜2004年度)
〔目 的〕二酸化炭素の放出源・吸収源の強度や分布を明らかにし,将来の濃度予測を確かなものにするために大気中二酸化炭素濃度の時間的・空間的変動が世界各地で観測されている。しかしながら二酸化炭素の観測が主に行われている接地境界層内と自由対流圏との間の輸送過程に関する知識が不足しているために,二酸化炭素の放出源・吸収源の定量的な見積に障害が生じている。本研究では主に陸域において陸上生態系の影響を強く受けた大気中の二酸化炭素濃度を地上付近から自由対流圏まで高度毎に長期間の観測を行うことによって,二酸化炭素の境界層−自由対流圏間の交換過程の季節依存性や強度について知見を得ることを目的とする。
〔内容および成果〕
航空機観測で得られた二酸化炭素濃度の空間分布や気温の鉛直分布を用いて接地境界層内外の二酸化炭素濃度を比較した。
冬季の大陸内部では午後になっても逆転層が地表付近にまで達していることがあった。この場合,地表付近から放出された二酸化炭素は上層に輸送されにくいので逆転層内で非常に大きな濃度勾配が観測される。自由対流圏と地表付近の二酸化炭素濃度の差は10ppm以上に達していた。
冬季のシベリアトムスク付近は日中の混合層上端は高度500mから1000mの間に観測されることが多かった。混合層上端には100mから200mほどの厚さで逆転層が存在している。二酸化炭素濃度の鉛直勾配は逆転層内でのみ顕著であり,その上下では比較的均一であった。この場合の混合層内外の濃度差は最大でも5ppm程度で,逆転層が地表付近まで達する場合の濃度差に比べて明らかに小さかった。
混合層は日々その厚さを変えるが,その日に形成された混合層の上部に前日の混合層上端に相当する逆転層が残っている場合があった。この場合は二酸化炭素濃度も前日の分布のまま保存され,結果として3層構造の鉛直分布として観測された。
〔備 考〕
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