1.3 内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価の管理
1.3.1 内分泌かく乱化学物質の総合的対策に関する研究
〔研究課題コード〕0105SP031
〔代表者〕森田昌敏(内分泌かく乱化学物質及びダイオキシン類のリスク評価と管理プロジェクトグループプロジェクトリーダー)
〔期 間〕平成13〜17年度(2001〜2005年度)
〔目 的〕内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の環境汚染の状況を理解し,環境生物への影響及び人への影響を明らかにするとともに汚染の影響を未然に防止するための手法の開発を行う。
〔内容および成果〕
以下の6つの研究課題を中心として展開した。@内分泌撹乱化学物質の新たな計測・評価試験手法の開発と環境動態の解明A野生生物の生殖に及ぼす内分泌撹乱化学物質の影響評価B内分泌撹乱化学物質の脳・神経系への影響評価C内分泌撹乱化学物質の生殖系・免疫系への影響評価D内分泌撹乱化学物質の分解処理技術E内分泌撹乱化学物質等の管理と評価のための統合情報システムの開発。
環境ホルモンの微量計測法の開発に関する研究として自動濃縮装置の開発及び,
Molecular Imprinting 法を用いたビスフェノールAの選択的吸着高分子を合成した。
GC/イオントラップMS/MS法による分析法及びLC/MS/MS法を用いた天然の女性ホルモンである17β-エストラジオール(E2)・エストリオール・エストロン及びその抱合体の一斉分析法の開発を行った。負イオンESI-LC/MS/MS法により実際の都市河川でE2とその代謝産物を測定した。エストロンはE2の約10倍程度(10一数10ng/L)存在した。
環境測定用として開発されたE2およびエストロゲンのELISA法とNCI-GC/MS法,LC/MS/MS法の比較を行った。ELISA法とNCI-GC/MS法,LC/MS/MS法とはよい相関性を示し,注意深く設計されたELISA法を用いれば環境水中のエストロゲンの測定がELISA法で可能であることを示した。
環境ホルモンの新たな生物検出法に関する研究として2種の新たに樹立したモノクローナル抗体を用いてメダカビテロゲニンのELISA法による全自動分析法およびプレート法を確立した。イーストを用いたTWO-Hybrid
Systemによるエストロゲンアッセイでは,その簡便化,高感度化のための改良を行い,96ウェルマイクロプレートと化学発光法を組み合わせることにより,多試料を迅速かつ高感度に測定できる手法(YMCEtest)を開発した。またメダカを試験生物とする試験案の確立を行った。
野生生物の生殖に及ぼす内分泌かく乱化学物質の影響に関する研究において,アワビ類の卵巣での精子形成や性成熟盛の不一致が野外調査及び移植実験で明らかとなり,これが有機スズによるものであることを明らかとした。
内分泌かく乱化学物質の脳・神経,免疫系への影響評価に関する研究として,MRlを用いる研究においては,環境ホルモン等の化学物質が脳の代謝機能に及ぼす影響を1HNMRスペクトルを用いて定量的に評価するための実験動物評価系の構築を行った。
神経生化学的試験法を用いる研究においては,成熟動物の生体に有機錫化合物を投与して海馬傷害を引き起こし,同領域のアポトーシスと神経再生の関連およびこれらに対するグルココルチコイドの役割の検討を実施した。また内分泌撹乱化学物質を幼弱ラットの脳内に直接投与した場合に生じる脳の発達障害を行動学的に探索するスクリーニングの系を開発することを研究目的として生後5日齢の雄性ラットに内分泌撹乱化学物質を大槽内投与し,4-5週齢における自発運動量を測定した。
内分泌かく乱化学物質の分解処理技術に関する研究として,高温・高圧の熱水による抽出・分解により土壌中のダイオキシン類を効率よく除去できることが証明された。除去されるダイオキシン類は,単に水に抽出されるだけでなく,容器中で一部が分解することが確認された。超音波照射による分解については,画期的な分解には至らなかった。植物や微生物による分解ではビスフェノールAを基質として培養を行ったところ,分解および不活性化が進行した。
内分泌かく乱化学物質等の管理と評価のための統合情報システムに関する研究として,最終的に一体のシステム開発を行うことを目標として,このうちの幾つかの部分を本年度継続ないし着手するとともに,統合情報システムの共通システム開発についても継続して開発している。
発生源情報および環境濃度情報の整備を利用し,地理統計解析手法による検討を行った。GISによる異性体組成表示,地理統計解析を用いて統計補間等の検討を行い,モニタリングデータに基づく環境状況把握の新たな方法論を模索した。流域一グリッド複合型の地理的分解能を持つ多媒体環境動態モデルの設計を行い,また,流通経路を考慮した曝露評価に関する予備的検討を開始した。また,河川水質予測モデルをGIS上に構築するため,単位流域に基づき,河川水質モデルの構築基盤となる河川構造データベースおよび3種類の河川水質予測モデル基本設計を行い,GIS上への組み込み手法を検討した。
〔関連研究課題〕
0105AA165 内分泌かく乱化学物質の新たな計測手法と環境動態に関する開発 114p.
0105AA166 野生生物の生殖に及ぼす内分泌かく乱化学物質の影響に関する研究 117p.
0105AA167 内分泌かく乱化学物質の脳・神経、免疫系への影響評価に関する研究 118p.
0105AA168 内分泌かく乱化学物質の分解処理技術に関する研究 119p.
0105AA169 内分泌撹乱化学物質等の管理と評価のための統合情報システムに関する研究 120p.
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