1.7 地球温暖化の影響評価と対策効果プロジェクトグループ
地球温暖化問題は今,巨大な不確実性を抱えながらも,現象解明から対策研究へとその重点を移しつつある。京都議定書の達成が緊急の課題になり,さらに,2020年から2030年を目指した対策や今後一世紀にわたる長期的な対応のあり方が問われている。しかも,残されている現象面の色々な不確実さを解明していかなければならない。
本プロジェクトは,過去10年以上にわたって蓄積された研究成果を基礎にして,これらの新しい研究ニーズに体系的に応えることを目的とする。このため,経済発展・気候変動及びそれらの影響を統合的に評価するモデルを開発・適用して,京都議定書及びそれ以降の温暖化対策が地球規模の気候変動及びその地域的影響を緩和する効果を推計する。そして,中・長期的な対応方策のあり方を経済社会の発展の道筋との関係で明らかにし,これらの対応方策をアジア地域の持続可能な発展に融合させる総合戦略について検討する。また,フィールド観測,遠隔計測,統計データ等をもとに,陸域と海洋の吸収比,森林の二酸化炭素吸収/放出量・貯留量,二酸化炭素の海洋吸収とその気候変動に対する応答等を推計し,炭素循環とその変動要因を解明する。
本研究は,「炭素循環研究」と「統合モデル研究」の二つの分野に分けて,5つの研究チームによって実施している。平成13年度は,「炭素循環研究」では,炭素循環解明のための観測技術の開発方針を検討するとともに,炭素吸収源の計測技術の検討及びその評価のための制度設計調査を行なった。また,海洋吸収鉄散布実験を成功裏に終了し,苫小牧での土壌呼吸装置及びシベリアでの観測サイトの設置も完了した。一方,「統合モデル研究」では,主要モデル及び戦略的データベースの基本部分の改良・開発に着手するとともに,これらを適用して排出シナリオ,気候変動シナリオ,及びアジアの将来環境の変化シナリオを概括的に予測した。特に,気候モデル入力用の排出シナリオ(対策シナリオ)をIPCCの要請に応じて作成するとともに,気候モデルの改良に着手して,過去100年の検証用データの収集を開始した。また,アジア太平洋地域の国別簡略モデルを完成させるとともに,アジア太平洋一般均衡モデルの開発に着手した。また,エネルギー・マテリアル統合モデルの途上国移転を開始し,温暖化影響モデルの改良・開発と,IPCC気候変化シナリオに基づく影響評価を開始した。
先頭へ