1.6 生物圏環境研究領域
生物圏環境研究領域では,分子レベルから生態レベルまでの生物にかかわる基礎・応用研究を推進している。本年度は奨励研究を含めて11課題の経常研究を行った。また,環境研究総合推進費による研究2課題,重点共同研究1課題,科学技術振興調整費による研究1課題,文部科学省・科学研究費補助金による研究4課題,他省庁からの委託による研究2課題が推進された。
生態系機構研究室では,湿地生態系(湿原・湖沼・河川・干潟)及び高山生態系の構造と機能を解明する研究を行った。尾瀬沼の帰化・在来の水生植物の分布と底質調査を実施し,さらに尾瀬ヶ原の赤雪現象の解明研究を行った。島嶼地域の河川底生動物群集の調査を行った。河川渓流や河口の汽水域における自然環境保全のための評価手法の検討した。また,干潟における海草類の各個体群形成種のバイオマスや分布の変動を追跡した。
系統・多様性研究室では,微生物(バクテリア,菌類,微細藻類)や底生動物の多様性に関する研究を,セルロース分解細菌の機能測定,微細藻類の種組成や種内の遺伝的変異の解析,ユスリカ幼虫頭部の微細形態による種の検索表の作成,亜熱帯島嶼の水生昆虫相の解析という方法で行った。また,円石藻を用いた地球環境モニタリングのため基盤情報の蓄積や絶滅の危機に瀕する淡水産紅藻の系統保存方法の検討も行った。
熱帯生態系保全研究室では,熱帯林地域の森林伐採や土地利用転換の結果,発生している生態系変化の現況を把握し,森林を含む地域全体の生態系管理へむけた手法を開発することを目的として,マレーシア半島部において,1)森林の荒廃が生物生産機能及び物質循環系に及ぼす影響 2)森林の荒廃が多様性の維持機能に及ぼす影響 3)森林の公益機能の環境経済的評価手法開発に関する研究を行った。また,高山草原における炭素動態と温暖化影響を明らかにするため,青海・チベットの青海高山草原定位ステーションで生物気象環境・CO2とH2Oフラックスの観測,光合成蒸散及び土壌呼吸の測定を行い,当該草原生態系の炭素動態の短期変化を検討した。
分子生態毒性研究室では,様々な環境要因が原因となって植物に生じるストレスとそれに対する植物の耐性機構を分子レベルで明らかにすることを目的に,シロイヌナズナの環境ストレス感受性変異体の単離とその解析を行っている。これまでに単離した約50系統のオゾン感受性変異体のうち9系統について,種々の異なるストレスに対する感受性を調べた結果,これらの系統は少なくとも8種類のグループに分けられることがわかった。
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