1.3 環境健康研究領域
環境健康研究領域においては,環境有害因子(窒素酸化物・ディーゼル排気ガス等の大気汚染物質,ダイオキシンや環境ホルモンなどの有害化学物質,重金属,花粉,紫外線等)がいかにヒトの健康に影響を及ぼすかに関する実験的・疫学的研究を行っている。これらの研究は,健康リスクアセスメントを行うために必要な情報を提供することを意図している。重点特別研究プロジェクト,および化学物質環境リスク研究センターの関連研究員と連携をとりながら,研究を進めている。さらに,環境リスク評価のために,重金属,大気汚染物質,紫外線,ダイオキシン・環境ホルモンなどの文献レビューや国際動向のとりまとめも行った。
分子細胞毒性研究室においては,ダイオキシン類の影響による酸化的ストレスの発生について研究を進めた。特に,ダイオキシンの投与により抗酸化ストレスタンパク質であるヘムオキシゲナーゼ-1とメタロチオネイン遺伝子が早期に発現されることを見いだした。また,Ahレセプター・ノックアウトマウス,Nrf2・ノックアウトマウスなどを用いて,ダイオキシン類や多環芳香族化合物の毒性発現への酸化ストレスの関与の解明を進めている。
生体防御研究室においては,大気汚染物質(ディーゼル排ガス粒子,オゾン,花粉など)が免疫系など生体防御機能に与える影響を解明するために,マウスをディーゼル排気暴露環境下で育て,炎症性細胞の集積に及ぼす影響について検討を行った。また,大気汚染物質の影響評価のための培養細胞を用いた新たな人工肺胞組織の形成について研究した。
健康指標研究室では,メタロチオネイン欠損マウスを用いて重金属の健康影響に及ぼす生体防御タンパク質の機能を解明する研究が行われた。また,ヒ素化合物の癌関連遺伝子の発現に及ぼす実験的研究,代謝動態に関する速度論的研究,感受性要因に関する文献調査研究などが行われた。
疫学・国際保健研究室においては,人間集団を対象とした環境保健指標の開発のため,人口動態死亡統を用いた浮遊粒子状物質濃度と循環器疾患,呼吸器疾患による死亡との関連解析,ならびにゴミ焼却施設等のデーターベース作成と各種健康影響との関連性について解析を開始した。中国における都市大気汚染による健康影響と予防対策に関する国際共同研究では,瀋陽市において二酸化硫黄,粒子状物質濃度の環境測定と住民の個人暴露調査を開始し,小学生を対象にした肺機能検査,質問票調査などによる呼吸器影響の調査を実施した。
先頭へ