1.16 環境研究基盤技術ラボラトリー
環境研究基盤技術ラボラトリー(基盤ラボ)が業務とするのは(1)環境標準試料の作製と分譲 (2)環境試料の作成と長期保存 (3)共通機器の管理 (4)環境微生物の収集・保存と分譲 (5)絶滅危惧生物の保存,および(6)生物資源情報の整備などである。本年度は(1)環境試料の作成では,茶葉から重金属および難分解性有機塩素化合物を対象とした標準試料を作製した。また,本年度より環境試料を所外の希望者に対して有償分譲を開始した。(2)環境試料の長期保存では,今後の環境試料の収集・保存のあり方を検討し,長期的将来計画を策定した。(3)共通機器の管理では,共通機器を有償使用とし,器機ごとの使用料を設定した。(4)環境微生物の収集・保存と分譲では微細藻類とくに藍藻類を中心に収集・保存と分類学的同定を行った。また,分譲可能な株のリストはホームページから検索・分譲依頼ができるように整備された。(5)絶滅危惧生物の保存では,シャジクモの保護栽培を開始し,その培養条件を確立した。(6)生物資源情報の整備では,生物資源にかかわる情報・分類・保存に関する国際的協力活動を展開し,国内外の生物資源ネットワーク体制の構築に向けた準備が進められている。
環境研究として,地球環境研究総合推進費2課題,科学技術振興調整費1課題,経常研究4課題を行った。
有毒シアノバクテリアの毒素ミクロシスチンの中で最も頻繁に検出されるノーマルミクロシスチンを選択的に定量する方法を開発した。この方法は簡便な比色定量や薄層クロマトグラフィーから,HPLC/UVやHPLC/MSによる高感度分析まで可能であることを明らかにした。また,シアノバクテリアPlanktothrix
sppから単離された新規環状ペプチドOscillamide
BおよびCを同定した。これらのペプチドはureidoユニットを含み,プロテインホスファターゼPP1およびPP2Aを阻害した。PP1およびPP2Aに対する阻害は環状ペプチドを構成するアルギニンとN-メチルホモチロシン残基の存在と密接に関係することを明らかにし,PP1とPP2Aに対する活性の比較から,構造−活性相関を明らかにした。
現在,世界的な広がりを見せている有毒シアノバクテリアCylindrospermopsis
raciborskiiがタイのバンコック近郊の数カ所の水源で大量発生していることを明らかにし,グアニジルアルカロイドに属する肝臓毒シリンドロスパモプシン(cylindrospermopsin)と毒性のないデオキシシリンドロスパモプシン(deoxycylindrosper-mopsin)を同定した。
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