1.11 東アジアの流域圏における生態系機能のモデルと持続可能な環境管理プロジェクトグループ
21世紀の日本及びアジア・太平洋地域における均衡ある経済発展にとって,森林減少,水質汚濁,水資源枯渇,土壌流出等の自然資源の枯渇・劣化が大きな制約要因となりつつある.こうした環境問題に対処するためには,環境の基本ユニットである『流域圏(山〜河川〜海)』が持つ受容力を科学的に観測・把握し,モデル化を行うことにより環境受容力の脆弱な地域を予測した上で,環境負荷の減少,環境保全計画の作定,開発計画の見直し,環境修復技術の適用等環境管理を行っていくことが最も必要である。本プロジェクトは,東アジアを対象として,流域圏が持つ生態系機能(大気との熱・物質交換,植生の保水能力と洪水・乾燥調節,水循環と淡水供給,土壌形成と侵食制御,物質循環と浄化,農業生産と土地利用,海域物質循環と生物生産など)を総合的に観測・把握し,そのモデル化と予測手法の開発を行うものである。
衛星データ解析チームでは,アジア・太平洋地域を対象として,広域の地表面を定期的に観測することのできる各種の衛星センサ(Terra/MODIS,Landsat/TMなど)を利用することにより,環境の変化を実証的に把握し,自然資源の持続的管理に資する情報を得ることを目的としている。具体的には,土地利用・土地被覆及び生態系の現状と変化の把握,重要サイトと攪乱サイトの同定,温暖化や砂漠化による影響の監視などを行っている。
沿岸域環境管理研究チームでは,原油・汚染・汚濁物質等による沿岸生態系への被害や,埋め立て・護岸工事等による環境の破壊など,人間活動の影響を大きく受けてきた沿岸域における汚染や開発による環境影響を軽減し,さらに沿岸域環境を改善するための修復方策の効果を検討するために,沿岸域環境の変動予測モデルを開発し,環境影響評価法等との関連から,沿岸域環境管理のための手法を整備している。
流域環境管理研究チームでは,中国内陸部の経済発展のため推進されている長江・黄河の内陸開発推進のための三峡ダム,長江から黄河への導水事業(南水北調)などの大規模水資源開発に伴う流域生態系,農業生産及び水資源保全に与える影響を予測し,持続可能な発展をもたらすために陸域環境統合モデルの確立を国際的連携のもとに行っている。
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