1.10 生物多様性の減少機構の解明と保全プロジェクトグループ
生物多様性減少の多くの原因のなかで,生息地の破壊・分断化と侵入生物・遺伝子組換え生物に着目し,生物多様性減少の防止策並びに適切な生態系管理方策を講じるための科学的知見を得ることを目的にする。このプロジェクトでは,ある地域内の生物種数や種多様性だけを生物多様性と呼ぶのではなく,地域固有の生物が存在することが生物多様性の重要な側面であると考える。また,生物多様性には遺伝子,種,生態系の3つのレベルが存在する。各レベルの生物多様性を空間的な広がりの中で捉え,それに対する人間活動の影響を評価する。
生物個体群研究チームは,那珂川と霞ヶ浦・利根川流域の景観分布のデジタル地図化を1960・1990年代について完了した。この地図を活用して生息場所好適性の評価の手法をカワトンボとオオヨシキリについて開発した。また,鳥類・蝶類の分布情報を地図区画別に整理し,それをもとに保全区域設定手法の開発を行っている。
多様性機能研究チームは,流域を構成する様々なランドスケープを客観的に定義し,その質,量,およびその配置と生物多様性との関係を導き出すことによって,ランドスケープの分断・縮小などの人為的改変が,生物多様性に及ぼす影響を評価している。そして生態系保全を流域レベルの空間スケールで行うための生物多様性予測モデルの開発を行っている。
群集動態研究チームは,多種生物共存のメカニズムを分析することを目的として,生物群集のシミュレーションモデルを開発して研究を進めている。特に(1)に森林生態系の個体ベースモデルおよび(2)進化的な時間スケールでの群集の動態を表現するモデルを用いた研究に重点をおいて,現実の生態系との対応関係を検討しながら多様性のダイナミクスについて理論的な解析を進めている。
侵入生物研究チームは,侵入生物が在来生物種および生態系に及ぼす影響を調べるために,侵入生物の生態学的特性,起源,分布拡大状況などの情報を収集するとともに,野外調査および実験系によって侵入生物と在来生物の間の生物間相互作用について生態学的・集団遺伝学的・生化学的に分析を進めている。
分子生態影響評価研究チームは,遺伝子組換え植物・微生物の挙動を調査する為のマーカー遺伝子を検索し,有用性を検討している。また,遺伝子組換えダイズとその近縁野生種であるツルマメの開花時期を調査している。さらに,遺伝子組換え微生物の環境中における生残性に関する基礎的研究を行っている。
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