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研究成果物



2.2 経常研究


3.社会環境システム部


研究課題 1)環境の認識構造にかかわる基礎的研究
〔担当者〕大井 紘・須賀伸介
〔期 間〕平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕環境認識のあり方の問題として,意味論的な環境観の立場の理論的、実証的な整備を行う。また,このような立場から、環境の評価のあり方を検討し,さらには,その評価の根拠としての意味論的な環境観の重要性を実証しようとする。一方,環境を社会的にどう認識するかと,社会的な環境問題への意識の求心力の強さとによって、環境学の構築の可能性が生じうることを,環境学構築の論争を批判的に検討しつつ明らかにする。
〔内 容〕(1)通勤者に対するアンケート調査から,通勤の負担を軸とした住居と勤務先との関係性において自宅の環境の評価が成り立ち,住居の周辺状況による環境指標では居住の環境は評価できないことを示した。(2)勤務先・通勤時・自宅での気になる音・不快な音についての通勤者の意識が,音のレベルよりもそのイメージに強く規定されていることを示した。(3)環境学の構成のための要件を検討し,環境問題の求心力に基づくことを示した。
〔発 表〕K-9,C-10,c-7


研究課題 2)環境政策が経済に及ぼす影響の分析
〔担当者〕日引 聡・森田恒幸
〔期 間〕平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕企業の汚染物質の排出を抑制する手段として,自主協定の締結がある。これは,企業と住民との間,あるいは,企業と政府の間で結ばれる汚染物質削減のための,法的拘束力を有しない自主的な協定である。本研究では,環境保全のための自主協定は,企業の環境保全行動にどのようなインセンティブを与えるかについて分析し,自主協定の有効性について検討することを目的としている。
〔内 容〕従来の研究は,規制的手段導入というThreatがある場合,企業は協定の締結・遵守のインセンティブを有することを理論的に明らかにしている。
 本研究では,従来の理論が日本にあてはまるかを検証するために,北九州市の事例を取り上げ,協定の締結の要因を分析した。その結果,協定を結ばないことは,企業の評判を下げ,その将来的な立地や生産にマイナスの影響を及ぼすため,大きな企業ほど,協定の締結・遵守のインセンティブを持つことが明らかになった。
〔発 表〕C-29,30,c-36


研究課題 3)持続可能な発展を目的とした国際制度の構築に関する研究
〔担当者〕川島康子
〔期 間〕平成12〜14年度(2000〜2002年度)
〔目 的〕持続可能な発展という概念が注目され始めた1980年代後半以来,地球環境関連の国際条約の採択,新たな国際組織の設立,企業や環境保護団体等「国」以外の主体の参加等,国際社会では急速な変化が見られてきた。この一連の変遷は,基本的な国家関係を「対立」から「協調」として見直す等,国際関係そのものの変化としてとらえられている。本研究では,持続可能な発展の実現に向けた国際制度の構築を分析し,今後の課題を挙げる。
〔内 容〕気候変動問題に関する京都議定書交渉中に各国から提案された排出量削減目標案を数量化し,その中に見られる公平性の扱いを分析し,持続可能な発展に必要な負担分配を検討した。また,国連環境計画(UNEP)の第3回地球環境見通し(GEO-3)作成作業に参加し,アジア・太平洋地域における環境の現状と今後の見通しに関するデータを収集し,将来シナリオを作成した。
〔発 表〕C-15


研究課題 4)物質循環社会に向けた環境負荷の評価と施策に関する研究
〔担当者〕森口祐一・森 保文・寺園 淳・乙間末広
〔期 間〕平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕廃棄物の増加に伴う様々な影響が顕在化しつつある中で,廃棄物の排出抑制,再使用・再利用,リサイクルによる物質循環型社会への転換が求められている。本研究では,環境負荷低減のためにモノの流れがどうあるべきかを,ライフサイクル・アセスメントを含む評価手法によって探り,施策に生かすことを目的とする。
〔内 容〕環境負荷低減のためにモノの流れがどうあるべきかを,ライフサイクル・アセスメント等の評価手法によって探る事例研究を実施した。事例として材料リサイクルおよびエネルギーシステムを取り上げ,生産,使用,廃棄にかかわる環境負荷を解析,検討した。またライフサイクル・アセスメント手法の簡略化インベントリデータの整備及びインパクトアセスメントについて検討した。
〔発 表〕C-33〜37,41,43,c-42,43,45〜47,50,51


研究課題 5)地理・画像情報の処理解析システムに関する研究
〔担当者〕田村正行・須賀伸介・清水 明・山野博哉
〔期 間〕平成11〜15年度(1999〜2003年度)
〔目 的〕地球温暖化や森林減少のように広域化,多様化している環境問題に対処するためには,観測点において得られる物理,化学,生物等に関する数値情報に加えて,人工衛星データ,地形データ,地図データなどの地理・画像情報を有効に活用して面的分布情報を得ることが重要である。本研究では,様々な地理・画像情報を利用して,環境を解析し評価するための手法及びシステムを開発することを目的とする。
〔内 容〕本年度は以下のように地理・画像情報を用いた環境解析手法の開発を行った。(1)衛星トラッキングと衛星画像解析を組み合わせた渡り鳥生息地の環境解析(2)NOAA衛星データを用いた東アジアの植生生産量の推定と検証(3)衛星データによるサンゴ礁白化の検出可能性の検討。
〔発 表〕C-19,c-16


研究課題 6)環境評価のためのモデリングとシミュレーション手法に関する研究
〔担当者〕須賀伸介・田村正行・清水 明
〔期 間〕平成11〜15年度(1999〜2003年度)
〔目 的〕環境を定量的に評価する立場から,環境問題に対するモデルの構築及びシミュレーションに関する基礎的研究を行う。本年度は特に,環境現象のモデル解析に関連する数値シミュレーション手法,統計的データ解析手法について検討を行う。
〔内 容〕(1)複雑な形状の防音壁を想定した音場の数値シミュレーションに対して精度のよい数値計算が可能なシステムを開発した。また,(2)環境データの解析における確率解析的手法の有効性について文献調査を行った。


研究課題  7)人間社会的尺度から見た景観価値の解明
〔担当者〕青木陽二・原沢英夫・藤沼康実*1(*1地球環境研究センター)
〔期 間〕平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕景観評価という現象は,ある環境条件から得た視覚を中心とした刺激に対する,人それぞれの価値付けである。環境計画で,良好な景観を計画の対象として取り扱うには,この景観価値がどのように決まるのかを解明する必要がある。知覚によって把握される景観は,景域の気候や地形などの自然条件のほかに,社会文化的や歴史的背景にも影響される。このような性質を持つ景観価値の人間社会的側面について明らかにする。
〔内 容〕本年度は,最終年度であるので外国人の日本の風景に対する評価をまとめ,イフラの東アジア大会で発表した。風景評価の発達について人類の歴史と個人の成長プロセスの観点から分析した。そしてどちらのプロセスにおいても時間をかけて発達してきたものであることが明らかとなった。また風景評価に関する研究をより科学的なものとするための研究方法について提案した。日本における八景の景観言語に関する研究を韓国庭苑学会誌に発表した。
〔発 表〕K-8,C-1〜5


研究課題 8)リモートセンシングデータを用いたサンゴ礁白化現象のモニタリング手法の開発に関する研究(奨励研究A)
〔担当者〕山野博哉
〔期 間〕平成12年度(2000年度)
〔目 的〕サンゴ礁は,水産資源・観光資源としての重要性とともに,地形(砂浜・洲島)を形成するという重要性がある。近年,サンゴ礁が撹乱によって衰退していることが報告され,水産資源・観光資源の低下,洲島の消滅が懸念されている。撹乱のうちの大きな要素の一つとして,サンゴに共生している藻類が高水温などのストレスにより放出され,サンゴの色が白くなってしまう白化現象が挙げられる。現在のところ,白化現象の確認は主に人の目視による現地観測によってなされているため,白化現象の起こった範囲を精確に確定することは難しく,白化と水温などの環境要因との関連の議論は十分であるとは言えない。したがって,広範囲でサンゴ礁をモニタリングし,白化現象を検出する手法の開発が急務である。サンゴ礁は水深が小さく,また,サンゴ礁域の海水の透明度は大きいため,衛星によるリモートセンシングが非常に有効であると考えられる。本研究においては,サンゴ礁を広範囲・高解像度で観測できる衛星データを用いたサンゴ礁白化現象のモニタリング手法を開発し,それにより継続的な白化現象のモニタリングを行うことを目的とする。
〔内 容〕衛星リモートセンシングにより観測される輝度は,直接対象物によって反射された輝度のほかに大気や海面反射になどよる輝度を含む。また,輝度は水深の増加とともに減少する。これらの影響を評価するために,放射伝達モデルの検証と利用を行い,さらに,実際の衛星データに適用してサンゴ礁白化現象を検出した。第一に,雲のないLandsat TMデータにおけるサンゴ礁内の砂地の輝度値と,大気中と水中における放射伝達モデルにより計算された値を比較し,モデルの妥当性を検証した。第二に,これらの放射伝達モデルを用いてシミュレーションを行い,衛星リモートセンシングのサンゴ礁白化現象検出能力を検討した。その結果,サンゴ礁をはじめとする水中のリモートセンシングには青と緑の波長域が有効であること,大気と海面反射の影響が適切に除去できれば,水深の浅い礁原における大規模な白化現象は,青と緑の波長域にバンドを持つLandsat TMと,将来型センサであるALOS AVNIR-2によって検出可能であることを示した。第三に,この結果を実際の衛星データに適用した。沖縄県石垣島をテストサイトとし,現地においてサンゴや砂地など底質のスペクトル測定を行った。また,石垣島の過去15年間におけるLandsat TMデータを収集し,水中の放射伝達モデルを用いて水深の影響を除去した。さらに,サンゴ礁域の輝度値と外洋・砂地の輝度値を用いて大気と海面反射の影響を除去する方法を開発し,1998年に起きた大規模な白化現象を検出した。本研究により,衛星リモートセンシングによるサンゴ礁白化現象のモニタリングが,理論的のみならず現実的に可能であることが示された。
〔発 表〕c-69,75〜77


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