〔期 間〕
平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕
1)地理情報システムやエキスパートシステム等を活用した環境総合診断システムに関する研究
@流域スケールでの汚濁物質及び有害化学物質の発生量と環境中の動態に関する現状の把握と,将来予測のための数学モデルを作成する。
A地理情報システム(GIS)を,環境変化とそれによる健康影響を監視するためのシステムへ応用する。
2)東アジア地域での大気物質輸送,循環に関するモデル結果表示の高度化とネットワーク化
各研究者が地理情報データベースやサブモデルの結果をネットワークを介してオンラインで結果を見ながら意見交換するためのコンピュータネットワーキングシステムを整備する。
3)熱帯林生態系の長期変動モニタリングのための基礎的研究
マレーシア半島部パソ保護林に50ヘクタールのデータを用いて,樹木の分布と林内環境,稚樹の動態等についての解析を通じて熱帯林の動的平衡性を明らかにする。
4)東アジアにおける生物多様性インベントリーシステムの構築に関する研究
有効な種名,形態,生理,生態,分布情報を持つ高度で広範な生物多様性インベントリーシステムを構築・管理する。
〔内 容〕
1)地理情報システムやエキスパートシステム等を活用した環境総合診断システムに関する研究
@アメリカ地質調査所(USGS)が開発したWDM(Watershed Data Management)ファイルシステムを基に,統合型流域モデル構築に不可欠であった各水文素過程モデル間でのデータの入出力を行うインターフェイスの開発を行った。また,洪水氾濫モデルによる計算結果検証を目的として,衛星画像データNOAA/AVHRRやJERS-1/SARを用いた洪水氾濫域の検出手法の開発を行った。
A中国を中心に社会経済データ,健康情報統計,疾病媒介動物の分布情報,国・省間の人口移動情報,その他地域生態系に関する各種情報の収集をするとともに,収集データのクリーニング(異なる観測手法によるデータ互換作業,欠測データの補完,異常値のチェック)・データベース化の作業を担当してきた。さらに,GIS(ArcView)を活用した,各種データ表示システム,解析システムの開発を行ってきた。
2)東アジア地域での大気物質輸送,循環に関するモデル結果表示の高度化とネットワーク化
前年度に開発した都市拡大モデルと別のスタッフにより開発された地下水位変化モデルと合わせて,7つの将来の地下水揚水シナリオを境界条件として与えて,中国河北平原において都市域の拡大が地下水位の変化に関するシミュレーション実験を行った。また,土地利用(都市拡大)モデル,地下水位変化モデル及び人口・GDP変化モデル等を一つのプログラム・パッケージにするため,地下水位変化モデルとGDP変化モデルに関するプログラムの汎用性を高め,パッケージの全体機能や統合に用いるコンピュータ言語等についていろいろ検討した。
3)熱帯林生態系の長期変動モニタリングのための基礎的研究
現地で得られたデータを基にマレーシアパソ天然林における植生解析,二次林データの整理と植生解析,自然林と二次林の比較,およびスリランカシンハラジャのデータ整理を行った。その結果森林の多様性保全機能が森林伐採によってどのように影響を受けるかが明らかになった。さらにこうした機能劣化の評価の標準化を行うことができた。
4)東アジアにおける生物多様性インベントリーシステムの構築に関する研究
古木・水谷(1994)の「日本産タイ類ツノゴケ類チェックリスト, 1993」を中心として,シノニムや文献等の最新情報を加えた「日本産苔類ツノゴケ類データベース」を作成した。また,レッドデータブック・植物II(環境庁,2000)のうちの蘚苔類を中心に同様に「日本産蘚苔類絶滅危惧種データベース」を作成した。さらに,これらの相互リンクシステムについて検討した。
〔発 表〕I-7,8,g-5,15,17,i-17 |