〔期 間〕
平成12年度(2000年度)
〔目 的〕
低用量のダイオキシン類曝露によって,CYP酵素の発現や子宮内膜症の発症が実験動物で認められている。しかし,ヒトに関するこれらの情報は乏しく,ヒトにおいてダイオキシン類曝露量とその健康影響(CYP酵素の発現,子宮内膜症)との関係を明らかにする必要がある。我が国においてはダイオキシン汚染が想定される地域における住民のダイオキシン曝露量と健康影響との関係の調査が行われてきたが,廃棄物焼却場と血液中ダイオキシン濃度との間には明確な関係は報告されていない。一方,イタリアでは1976年に発生した事故により多量のダイオキシン類の曝露を受けた集団が存在し,継続した疫学調査が行われている。しかし,イタリアではCYP酵素の発現や子宮内膜症に関する情報は得られていない。本研究においては,ダイオキシン曝露形態の異なる日伊両国において,ダイオキシン類曝露量を相互に比較検討すること,また健康影響のうち特に子宮内膜症に焦点をあてて,日伊における発生状況や診断基準についての情報交換を行うことを目的とする。
〔内 容〕
日伊両国のダイオキシン類曝露量を標準化するため,ダイオキシン類の分析法を比較し,ダイオキシンの高濃度曝露を受けた住民の血清サンプルについて,GC/MS法によるクロスチェックを行った。ダイオキシン類曝露に関する疫学調査に用いる生体影響指標として,ダイオキシン曝露により鋭敏に動くと考えられる薬物代謝酵素,CYP1A1,CYP1A2,CYP1B1をとりあげ,血液サンプル中のこれらのCYP類のmRNA発現の微量・高感度定量法を確立した。一方,子宮内膜症とダイオキシン類曝露量との因果関係を解明するため,日伊において,子宮内膜症患者のデータの収集を行い,子宮内膜症発症に関与する因子の両国における差異についての情報交換を行った。
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