〔期 間〕
平成11〜14年度(1999〜2002年度)
〔目 的〕
ダイオキシン類はゴミ焼却等により日常的に発生し,そのヒト健康影響が懸念されている。しかし,我が国のダイオキシン類に関する疫学調査は始まったばかりであり,両者の因果関係は明らかにはなっていない。さらに,ダイオキシン類同様,燃焼により生じる他の化合物については,その発生量の多さにもかかわらず,その曝露評価と複合作用の解明が遅れているのが実状である。一方,我々は既にディーゼル排気ガス中にダイオキシン類及び多環芳香族炭化水素類が存在することを明らかにするとともに,ディーゼル排気ガス曝露により実験動物に多様な生体影響が生じることを明らかにしている。しかし,これら化合物群と生体影響との因果関係は明らかではない。本研究では,実験動物にディーゼル排気ガスを曝露し,その生体内でのダイオキシン類と多環芳香族炭化水素類の動態と両化合物の複合作用を解明し,ヒト疫学調査に有用となる知見を得ることを目的とする。
〔内 容〕
本年度は,実験動物に0.3〜3mg-粒子/m3ディーゼル排気ガスを2または6ヵ月間曝露し,ダイオキシン類と多環芳香族炭化水素類の生体内での挙動を観察した。一方,排気ガス曝露チャンバー内のガスを採取し,ガス中のダイオキシン類と多環芳香族炭化水素類含量の測定を行った。
ディーゼル排気中のダイオキシン類濃度は,10pgTEQ/g-粒子と低く,また,脂肪および肝臓中のダイオキシン類濃度は曝露群に比べ対照群の方が高く,ディーゼル排気曝露によるダイオキシン類の体内蓄積は認められなかった。一方,ディーゼル排気中の主要な多環芳香族炭化水素は,ナフタレン,フルオレン,フェナンスレンであり,その大部分はガス態であった。多環芳香族炭化水素類のうち蒸気圧の低いものが粒子とともに肺に沈着していたが,内蔵脂肪や肝臓ではそれらの顕著な蓄積傾向は認められなかった。以上の結果から,肝臓では多環芳香族炭化水素類により代謝酵素が誘導され,多環芳香族炭化水素類とともにダイオキシン類の排泄が促進されていると考えた。
〔発 表〕e-68
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