2.15 国立機関原子力試験研究費による研究(原子力利用研究)
6.陸水境界域における自然浄化プロセス評価手法の開発に関する研究
〔担当者〕
| 水土壌圏環境部 |
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内山裕夫・徐 開欽・冨岡典子・ 越川 海・牧 秀明 |
〔期 間〕
平成12〜16年度(2000〜2004年度)
〔目 的〕
陸水境界域(海浜,干潟,湿地,湖沼,河川等)は人間活動における安息の場を提供するのみならず,野生生物の生息地としても重要な場である。一方,人間活動に由来する各種有機汚染物質の流入・集積が生じやすい場でもあるため,本境界域の有する自然浄化能を把握することは,場の保全及び将来予測の上で重要である。このため,本研究では海浜,ヨシ原等湿地帯,湖岸等において,自然浄化能を把握するために自然浄化プロセスを評価する手法の開発を行う。すなわち,(1)海浜における汚染有機物の分解速度把握手法の開発 (2)湿地帯における土壌への汚濁物質の浸透などの挙動の解析 (3)湿地における炭素循環プロセス評価手法に関する研究 (4)湖沼沿岸域における有機汚染物質負荷に対する微生物群集応答把握手法の開発に関する研究を行う。
〔内 容〕
有機汚濁海岸から発生するCO2量,炭素安定同位体比(δ13C)測定から汚濁物質分解速度を評価する基礎となるCO2の回収,保存,δ13C分析法について検討した。対象場直上大気中CO2の回収率は2N-NaOH溶液に最大50ml/minの通気流量条件で99%以上であった。回収CO2のδ13CはNaOH溶存のまま保存すると大気CO2の混入と考えられる影響がしばしば認められた。溶存CO2をBaCO3へ変換し固体として保存することで安定した分析値(σ<0.2‰)が得られることが明らかとなった。
炭素循環プロセス評価を行うための湿地マイクロコズムを作成するにあたり,その最適化を図るために実際の湿地において物理化学的特性を調査した。酸化還元電位の深度分布を測定した結果,表層は酸化的,深層部は還元的雰囲気であることを確認したが,ほぼ同一の酸化還元電位プロファイルを示すサイト間でも,植生によって土壌酵素活性の深度分布が著しく異なることが認められ,植物の影響が大きいことが判明した。次いで,メタン生成菌の分布を調査するための手法を検討した。メタン生成菌が特異的に有す補酵素F420の自家蛍光を利用して検出することができるが,感度が低い。このため,還元剤と蛍光退色防止剤を併用添加することにより,迅速かつ高感度に検出することが可能となった。
湖沼沿岸域における有機汚染物質負荷に対する微生物群集応答把握手法を開発するために,霞ヶ浦の湖水を用いて変性剤濃度勾配電気泳動(DGGE)解析のための条件検討を行った。実験条件を,プライマー357F-GC及び518R,変性剤濃度勾配30〜60%,35V,16時間に設定した。次に,細菌群集の捕集法について検討を行い,原生動物及び藻類による細菌群集解析への影響を防ぐために,3μmのフィルターで前ろ過を行った湖水について,0.2μmのフィルターを用いて細菌を捕集することによって,細菌群集構造の解析が可能なことが明らかとなった。
〔発 表〕g-4,6,12,13,28,33
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