2.14 国立機関公害防止等試験研究
6.廃棄物の熱処理に伴う未規制有害物質の抑制・管理に関する研究
〔担当者〕
〔期 間〕
平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕
我が国の廃棄物処理は衛生的な処理に重点をおいた従来の焼却処理を中心とした処理から,廃棄物の減量化・再利用を積極的に推進する方向に変わりつつある。廃棄物処理・リサイクルシステムは循環型社会を支える上でなくてはならないものであるが,廃棄物の中には多種多様の有害化学物質や様々な化学物質が含まれている可能性があるため,処理の過程でこれらの物質が排出したり,あるいは他の種類の化学物質が二次生成される恐れがある。しかしながら,このような知見は非常に限られており,発生メカニズムの解明とともに,低減化技術の開発が必要となっている。
本研究では各種の廃棄物処理・リサイクル施設における熱処理に伴い発生する有害物質のうち,従来型の規制化学物質以外の物質,すなわち,ダイオキシン類等の有機塩素系化合物や多環芳香族炭化水素(PAHs),重金属などについて,その排出実態や発生メカニズムの解明及び排出制御技術の検討等を行うことを目的としており,その成果は,環境リスク低減型の廃棄物処理・資源化システムや技術の開発の一助となるものと考えている。
〔内 容〕
(1)ガス化溶融ごみ処理プラントにおけるダイオキシ ン類,多環芳香族炭化水素類の挙動
1)ダイオキシン類濃度は排ガスの流れ方向,すなわち二次燃焼室出口,バグフィルター出口,触媒塔出口で段階的に減少した。また,ガス化炉不燃物や溶融スラグ中のダイオキシン類レベルは極めて低くかった。
2)多環芳香族炭化水素類ではベンゼン環の数が少ないものが高濃度に検出された。排ガスの流れ方向に減少していた。
3)多環芳香族炭化水素類のバグフィルター,触媒塔での除去は顕著ではなかった。また,ガス化炉不燃物,ガス冷ダスト,溶融飛灰で比較的高いナフタレンが検出された。
(2)一般廃棄物焼却施設周辺の大気拡散シミュレーション
1)有効煙突高推算式の種類による影響は,粒径が小さいときは比較的小さいが,粒径が大きいときは選択する有効煙突高推算式により降下流量の分布形状と大きさにかなり差が出た。
2)等価平均排出条件での計算結果と運転パターンごとの計算結果を合成する方法とでは,シミュレーション結果にはほとんど差がなかった。
3)ダウンウォッシュを考慮するだけでは,煙源のごく近傍で高濃度となる降下流量分布をシミュレーションで再現することはできなかった。しかし,降下じんの粒径を大粒径とすれば,あるいはフューミゲーションを仮定すれば,煙源近傍で高くなる降下流量分布をある程度再現することができた。
(3)焼却炉排ガス中クロロフェノール類の凝縮水型/全自動連続分析計の試作と現地試験
1)LCに濃縮・夾雑物除去用と分離用の2本をカラムスイッチングシステムで接続して,試料液中の置換塩素数が2および3のCPsをほぼ完全に分離して長期に運転できる方式を確立した。
2)排ガス中のCPsはほぼ5mlの凝縮水で捕集が可能で,あらかじめ一定量の蒸留水を加える方式で,連続分析が可能となった。
(4)毒性評価手法の確立に関する研究
1)焼却飛灰など計10種類の試料の変異原性をTrp+復帰変異試験で調べた結果,S5(調温塔下灰)のS9mix無添加条件下において変異原性を認めた。
2)変異原性の認められた試料について,Lac+復帰変異試験で変異塩基対の特性を調べた結果,S5(調温塔下灰)ではAT→GC変異が誘発されていることを認めた。
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