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研究成果物


2.13 廃棄物対策研究


1.廃棄物対策を中心とした循環型経済社会に向けての展望と政策効果に関する定量的分析(初年度)


〔担当者〕
地域環境研究グループ 増井利彦・甲斐沼美紀子
社会環境システム部 森田恒幸
廃棄物研究部 井上雄三・山田正人
     下線は研究代表者を示す


〔期 間〕
平成12〜13年度(2000〜2001年度)


〔目 的〕
 本研究の目的は,1990年より中国,インド等のアジアの主要国と共同して,地球温暖化対策の効果分析のために開発してきた大規模な計算機シミュレーションモデル(AIM2.0)を用いて我が国の循環型経済社会に向けての展望を,廃棄物対策や温暖化対策への効果を中心に定量的に解析するとともに,循環型社会への転換を進めるいくつかの政策や取り組みをデザインし,その効果を定量的に明らかにすることである。特に,廃棄物の最終処分場の減少や二酸化炭素排出量の削減,さらには廃棄物ライフサイクルだけでなくプロダクトサイクルをも含めた有害化学物質の環境への排出の削減等の環境制約がもたらす経済構造の変化や財及び物質のフローを定量的にとらえることにある。さらには経済的な視点からとらえた循環型社会の枠組みの評価とともに,人の健康,環境へのリスク評価・管理を行うモデルを構築・統合し,経済活動や廃棄物管理事業から生じるリスクを総合的に評価することによって作り上げることができるリスク削減のための施策が経済活動及び経済構造,マテリアルフローに対してどのような影響を与えるかを定量的にとらえることも本研究の目的とする。


〔内 容〕
 本研究課題では,(1)廃棄物処理業の経済評価とそのマクロ経済への影響に関する定量的分析(2)マテリアルフロー及びサブスタンスフローからみた廃棄物のリスク評価・管理モデルの開発 (3)政策デザインとその実施のための定量的分析の3つのサブ課題からなる。サブ課題(1)では,将来の経済発展とともに廃棄物処理がどのように行われ,財の循環がどのように変化するかをマクロ的視点から評価するために,AIM日本モジュール拡張版である応用一般均衡モデルを改良する。サブ課題(2)では,材料や製品の流れ(マテリアルフロー)やそれらに含まれる化学物質の流れ(サブスタンスフロー)を統合的にとらえ,生産段階をも含めた廃棄物処理ライフサイクルにおいて重要な有害化学物質を対象に,人及び生態系への作用量の調査・解明,環境への漏出量などの評価を行い,リスクを考慮した循環型経済社会の評価を行う。また,リスク評価の視点をAIM日本モジュール拡張版に反映させたシミュレーションを行う。サブ課題(3)では,循環型社会の構築に向けた政策をデザインし,これらの政策をAIM日本モジュール拡張版に反映させ,それぞれの政策の効果を経済発展及びリスク評価の視点から定量的に評価する。


〔成 果〕

 サブ課題(1)では,1995年産業連関表を再現できるように経済活動及び廃棄物の排出・処理をはじめとする環境負荷のデータベースを更新するとともに,経済的な収支とともに物質収支も再現できるようなモデル構造への改良,各種税制の再現,投資と資本ストックの関係の改善,効率改善過程における新規設備と既存設備の関係の評価等のモデルの改良作業を実施した。こうして改良された応用一般均衡モデルを用いた予備的シミュレーションを行い,廃棄物最終処分制約や二酸化炭素排出制約下における環境政策の実施は,環境制約を緩和させることによる経済活動の回復とともに,環境関連産業の活性化から,経済活動を回復させることを明らかにした。また,廃棄物処理に関するデータの収集作業を行い,応用一般均衡モデルにおいて用いる技術・経済データの整備を行った。このほか,技術進歩や環境政策による経済活動への影響をよりリアルに表現することができるように,応用一般均衡モデルと個別分野での技術動向を再現させたボトムアップモデルを統合したモデルの開発について検討を開始した。本年度にはボトムアップモデルとして下水処理汚泥処理を対象にした技術選択モデルを開発し,予備的なシミュレーションを行った。
 サブ課題(2)では,本年度において以下の研究を実施した。
 プロトタタイプの化学物質優先順位リスト策定手法の開発に向けて,有害化学物質の優先順位決定のための要件として,慢性毒性の有無及び暴露(蓄積性・残留性)の可能性,廃棄物処理・処分過程での環境への放出可能性及び環境中の存在程度,廃棄物処理・処分に関する行政の関心の3項目を設定した。優先順位策定のための対象化学物質としてPRTRパイロット事業対象物質である178物質を採用し,優先順位を策定したところ,フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)を筆頭に,ベンゼン,鉛及びその化合物,カドミウム及びその化合物,テトラクロロエチレンと優先して管理されるべき化学物質の順位を示した。
 鉛を中心として昨年開発したサブスタンスフローモデルの検証のために産業廃棄物焼却施設の重金属のフロー調査を行い,産業廃棄物焼却施設における鉛のフローを推定した。この分析から産業廃棄物焼却施設から排出される鉛は高々1万トン/年であり,その他の産業廃棄物中間処理施設の調査も必要となることを明らかにした。
 最終処分場のリスク管理のための早期警戒システム開発のための基礎作業として,バイオアッセイによる毒性総合評価手法のプロトコルを進めた。
 サブ課題(3)では経済モデルで評価する政策デザインの検討を開始した。本年度では,循環型社会の構築に有効と思われる政策を取り上げる作業を行うとともに,それらをモデルで評価するために必要なデータ収集を行った。政策として取り上げたものは,グリーン購入,課税政策,廃棄物発生抑制等の技術進歩,環境投資の拡大,環境産業の育成,情報技術の進展,脱物質化,環境政策統合などである。また,情報技術の進展による環境への影響を評価するために各種文献からデータを収集し,将来の情報技術に関するシナリオを作成し,それを応用一般均衡モデルに組み入れ,主として二酸化炭素排出削減への効果を定量的に評価するシミュレーションを行った。

〔発 表〕A-52,a-109


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