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研究成果物


2.12 ダイオキシン類対策高度化研究


1.ダイオキシン類の新たな計測手法に関する開発研究(初年度)


〔担当者〕
地域環境研究グループ 森田昌敏・橋本俊次・安原昭夫
化学環境部 伊藤裕康・白石不二雄
     下線は研究代表者を示す


〔期 間〕
平成12〜14年度(2000〜2002年度)


〔目 的〕
 ダイオキシン対策関係閣僚会議は,平成11年3月24日にダイオキシン対策推進基本方針をとりまとめた。その中でダイオキシン類に関する検査体制の整備や,調査研究及び技術開発の推進がうたわれている。対策を講ずる上で,簡易測定分析など,新たなダイオキシンの分析法の果たす役割は大きいと考えられ,そのような分析法の開発の需要は,非常に大きいといえる。ダイオキシン類は毒性が高く,また存在量の極めて少ない汚染物質であり,その分析は最も難しい超微量分析である。圧倒的に多量の共存物質を除き,かつ極めて微量を測定しなければならない。1970年代より発達してきたダイオキシン微量分析は,電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフ,パックドカラム/ガスクロマトグラフ/低分解能質量分析法,キャピラリカラムガスクロマトグラフ/低分解能質量分析法を経て現在のキャピラリカラムガスクロマトグラフ/高分解能質量分析法に到達し,環境試料の微量測定ができるに至っている。また,高分解能質量分析法をもってしても,その選択性は十分ではなく,試料の分析にあたっては装置にかける前に,多段階のクリーンアップ操作によって夾雑物を除去しなければならない。これは,分析にかかる時間と人手を必要としており,結果として分析コストの1/3以上を占めていると推定される。ダイオキシン分析を複雑にしているもう一つの要因はダイオキシン類の異性体は多数あり,有毒なダイオキシンはその一部であるが,その各異性体を測定しなければ正確な毒性評価が定まらないことである。
 このように,現状の分析法は多くの試行の上で研究されてきたものであり,今後も基準的な公定分析法として残るものと考えられる。新しい分析法は,現行分析法の欠点を補って,ダイオキシン対策をすすめる上での実践的な分析法として期待される。


〔内 容〕
 ダイオキシン類の微量分析技術の開発とダイオキシン類を迅速に計測する手法の開発を,産官学の協力のもとで行うことにより,ダイオキシン類問題の全体像及び詳細な分布(汚染)状況を明らかにし,それらの対策を促進する。
 次のサブテーマに分けて研究を推進する。
サブテーマI ダイオキシン類分析に関わる標準物質に関する研究
I−1 標準物質の調整と評価に関する研究
 ダイオキシン類の標準物質の調整と種々の濃度評価を行う。産官学の分析機関の協力のもと,濃度検定を行い,分析法の評価を行い,その確立に貢献する。
I−2 標準物質の安定性に関する研究
 ダイオキシン類の標準試料の安定性について,様々な媒体(試料)について調査・検討を行う。
サブテーマII ダイオキシン類の簡易計測法の開発に関する研究
II−1 低分解能GC/MSを用いたダイオキシン類の同定手法に関する研究
 低分解能GC/MSによる計測法と高分解能GC/MSと比較し,適用可能な試料の種類及び範囲,必要な前処理方法等を検討し,必要に応じて装置及び計測法を改良する。
II−2 バイオアッセイ法の分析手法に関する研究
 新規開発及び既存の手法の前処理を含めた最適化を通じて,迅速・簡便なダイオキシン類の検出に有効なバイオアッセイ法について検討する。
II−3 前処理の簡易化に関する研究
 分析前処理の簡易化を行い,における問題点,改良点などを明確にし,その実用性,適用範囲等について検討する。
サブテーマIII ダイオキシン類のオンサイト測定法に関する研究
III−1 排ガスのリアルタイムモニタリング手法の開発に関する研究
 焼却施設などの排ガスのリアルタイムモニタリング手法の開発・改良を行い,現場での応用を目指す。
III−2 移動型ダイオキシン類測定手法の開発に関する研究
 移動型ダイオキシン分析手法の開発。改良を行い,現場での応用を目指す。


〔成 果〕

 ダイオキシン類分析の信頼性向上と測定の効率化を図るために以下の内容で研究を行った。
・ダイオキシン類標準物質の作成と濃度検定の実施
・ダイオキシン類の新たなスクリーニング手法の設計と前処理の簡易化の検討
・ダイオキシン類のリアルタイムモニタリング機器の概念設計
 測定標準物質による測定誤差の解決,簡易測定法及びオンサイト測定法の開発に向けた問題点の洗い出し,及びその解決の方途について検討を行った。
○サブテーマI ダイオキシン類分析に関わる標準物質に関する研究
 測定標準物質により測定値が異なる原因の検討を行うとともに,ダイオキシン類の構成の異なる種々の標準物質を作製し,これが測定値に与える影響について検討を行った。ダイオキシン類の各異性体の濃度が1pg以下になるとその精度は30%以上となり,妨害成分の影響を受けることがわかった。また,簡易測定法の標準物質は,各異性体を加えた試料であるべきか現在検討中である。
○サブテーマII ダイオキシン類の迅速分析法の開発に関する研究
 試料の前処理方法,検出器のグレードが測定値に与える影響について検討を行い,簡易化できる部分について検討を行った。検出器については,小型のGC/MSを用いその適用範囲と限界について調べ,その改良とソフト関係の自動化が必要であることがわかった。また,バイオアッセイによるスクリーニング手法についても検討を行った。
○サブテーマIII ダイオキシン類のオンサイト測定法に関する研究
 移動測定車に搭載可能な測定機を試作し,その適用可能性について検討し,感度,精度等問題が多く再検討を要することがわかった。

〔発 表〕d-2,3


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