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経常研究


7.水土壌圏環境部


研究課題 1) 環境汚濁物質の水土壌環境中における挙動に関する基礎的研究
〔担当者〕 内山裕夫・冨岡典子・徐 開欽・越川 海
〔期 間〕 平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕 水土壌環境中において環境汚染物質の挙動および生態影響を明らかにするために,これらの生成および分解にかかわる生物を検索し,また汚染物質の代謝・変換量等を計測・予測することを目的とする。本年度の研究では,富栄養化原因物質による汚濁が微生物生態系に与える影響の解明を目的として,分子生物学的手法を用いた富栄養湖沼霞ヶ浦における微生物群集構造の解析を行った。
〔内 容〕 1999年2月および7月の霞ヶ浦湖水の微生物群集について,16S rRNA遺伝子に基づくクローン解析を行い系統樹を作成した。それぞれ60クローンの16S rRNA遺伝子のシークエンスについて比較を行った結果,2月の微生物群集には Actinobacteria,CFB group,Proteobacteria のα,β,γ,δ,Planctomycetes,および Verrucomicrobiaに属する微生物が存在していることが明らかとなった。一方,7月の微生物群集にはActinobacteria,CFB group,およびProteobacteiaのα,β,γ,δに属する微生物しか存在せず,7月の微生物群集が2月のそれに比べて多様性が低いことが明らかとなった。また,2月,7月ともにActinobacteriaに属する微生物のクローン数が最も多かったが,優占種は異なり,Actinobacteriaの中でも,季節変化が起こっていることが明らかとなった。
〔発 表〕 g-40

研究課題 2) 流域水環境管理モデルに関する研究
〔担当者〕 村上正吾・井上隆信・牧 秀明・林 誠二
〔期 間〕 平成8〜15年度(1996〜2003年度)
〔目 的〕 河川流域の持続的発展のためには治水・利水に加えて生態系を含む水環境の管理・保全が必須条件となるが,これらはトレードオフの関係にあり,その最適解を求めることは容易ではない。本研究では,流域全体,上流から下流への水と物質の輸送過程の物理・化学的モデル化を進め,治水・利水・水環境の質と量にかかわる個々の物理化学的機構の解明を行っている。次に,これらの個々の機構が全系として影響を与える水界生態系,陸上生態系を含む形で,流域の水環境の理解を進め,水・物質・エネルギーの効率的な配分と生態系機能の適切な管理を可能にする流域環境手法の開発を目的としている。
〔内 容〕 日本の場合,河道沖積地に人間の生産社会活動が集中し,特に底平地における水と物質の輸送現象の理解が重要である。本年度は,局所的には保全されつつも,流域を通じた形で人間活動の影響が上流域から徐々に累積され,微地形にその影響が現れてきている釧路湿原に流入するの久著呂川流域を対象に,水環境管理モデルの構成要素である水文流出モデルと土砂動態モデルの適用性を検討した。

研究課題 3) 衛星リモートセンシング,地上実測及び地理情報による蒸発等の水文・環境解析に関する研究
〔担当者〕 宇都宮陽二朗・藤沼康実*1
(*1地球環境研究センター)
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 水文・熱環境解析システムの構築のため,地表温度と植被の関係解明,画像と地理情報とのリンクに関する研究を実施する。さらに,地理情報を分析し空間概念や地球観の変遷の解明を試みる。
〔内 容〕 衛星情報と地上実測,地理情報のリンクによる環境・防災関連情報ベースとGIS構築に関する調査研究の成果をとりまとめた。さらに,画像中に表示されている地理情報の考察結果を報告した。

研究課題 4) 衛星,地上実測及び地理情報による東アジア地域における水文等の環境解析に関する研究
〔担当者〕 宇都宮陽二朗・藤沼康実*1
(*1地球環境研究センター)
〔期 間〕 平成11〜14年度(1999〜2002年度)
〔目 的〕 中国東北部を中心とした東アジア地域の衛星,地上観測及び地理空間情報による熱及び水文環境の広域解析を行う。
〔内 容〕 中国東北部を中心とした熱及び水文解析を,NOAA等の衛星情報,地上におけるモニタリング及び地理空間情報により進めるため,中国側研究者と情報交換を継続した。

研究課題 5) 土壌中における無機汚染物質の挙動に関する研究
〔担当者〕 高松武次郎・越川昌美
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 湖沼堆積物は流域から流入する天然及び汚染物質の量的・質的変動を記録しているので,その分析から流域の環境変化を知ることができる。また,堆積物中の物質分布を堆積環境(酸化還元,pH,鉄・マンガン酸化物量,有機物量など)との関連で解析することにより,環境での物質動態に関する基礎的知見を得ることができる。この観点から,バイカル湖表層堆積物の分析を行った。
〔内 容〕 堆積物中のAl・Ti濃度及びその比(Al/Ti)には地域性があり,流域を特定するための有効な指標であった。Cu,Zn,及びPbの濃度は琵琶湖などに比べて低く,表層での蓄積も認められなかったので,汚染の影響は少ないと判断された。堆積物表面に生成したフェロマンガン酸化物は,他の湖沼と同レベルのFeやPを含んだが,Mn,As,及び重金属の濃度は低く,比較的生成速度が速いと推測された。
〔発 表〕 f-72,79

研究課題 6) 土壌中における微生物の挙動に関する研究
〔担当者〕 向井 哲
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 土壌の特定孔隙(細毛管孔隙,粗毛管孔隙)に入るように接種したBHC分解菌が増殖・生残・死滅する過程と土壌孔隙サイズの関係,およびその過程に及ぼす有機質資材の添加の影響を明らかにする。
〔内 容〕 BHC分解菌(8.8×103MPN/g乾土)を,向井の方法に準じて,水田土壌試料の細毛管孔隙,粗毛管孔隙に接種し,次いで有機質資材(稲わら,堆肥,厩肥)を添加・混和した後,25℃の暗所で12週間培養した。経週的に土壌中の本菌を計数し,その生残性を調べた。その結果,@本菌の生残性を同一種類の処理区土壌の孔隙間で比較すると,厩肥区を除けば,細毛管孔隙に接種した方が粗毛管孔隙に接種した場合よりも生残性が大であるか同程度であった。また,A本菌の生残性を土壌の処理区間で比較すると,いずれのサイズの毛管孔隙に接種した場合にも,生残性は稲わら区>堆肥区>厩肥区の順に低下する傾向が認められた。
〔発 表〕 g-45,46

研究課題 7) 地盤と地下水の環境に関する物理・化学的研究
〔担当者〕 陶野郁雄・土井妙子
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 地盤と地下水に関する環境問題について,物理的・化学的な手法を用いてその実態を把握し,それを解明することを目的として研究を行うものである。
〔内 容〕 @佐賀県白石町に新たに開発した観測装置を用いた観測井を設置し,次年度から経常的な観測を続けられるようにした。また,同様な方法で新潟県上越市や六日町に設置した観測井において経常的な観測を続けた。特に,六日町では井戸の中に細い鉄管を挿入し,この管頭の抜け上がり量とアラミド繊維による地層の収縮量の変化との整合性を比較検討した結果,観測値に差が認められなかった。A非破壊ガンマ線計測による鉛-210年代測定法の堆積学的応用の問題点の検討を行うとともに,霞ヶ浦湖心の堆積物の堆積速度を算出した。鉛-210法により堆積速度を算出したものと同じ堆積物中のセシウム-137と鉛-210濃度分布より霞ヶ浦湖心は表層から6cmの層まで混合していることがわかった。
〔発 表〕 g-33,38,39,42,43

研究課題 8) 水環境中における界面活性剤の挙動の解明とその共存汚染化学物質の挙動や毒性に及ぼす影響の研究
〔担当者〕 稲葉一穂・矢木修身*1
(*1地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕 合成洗剤による水環境汚染は,排出量が大量であること,分解により環境ホルモン物質が生成する場合があること,さらには水に不溶の物質を可溶化してその挙動を変化させることなど様々な問題を含んでいる。このような諸問題点を検討するために,合成洗剤の主成分である界面活性剤の挙動を支配する吸着性や移動性,微生物分解性などを測定するとともに,水中及び底泥中の界面活性剤が共存化学物質の挙動にどのような影響を与えるかを検討する。
〔内 容〕 界面活性剤が共存する条件での共存する汚染化学物質の挙動の変化を明らかにするために,殺菌洗剤の殺菌成分として使用されているトリクロサンの水への溶解度と遊離塩素による塩素化反応及び分解反応の速度論的な検討を行った。その結果,界面活性剤ミセルの共存によりトリクロサンの水への溶解度は著しく上昇すること,塩素化及び分解反応は著しく抑えられることが明らかとなった。

研究課題 9) 生態連鎖における有機化学物質移動解析手法に関する基礎的研究(奨励研究A)
〔担当者〕 牧 秀明
〔期 間〕 平成11年度(1999年度)
〔目 的〕 食物連鎖上,最底辺に位置するプランクトン類への有機汚染物質の濃縮程度を明らかにするために,培養実験を行い,細胞に吸着・取り込まれた有機化合物の定性・定量の可能性を検討する。
〔内 容〕 主に産業用途に大量に使用されているポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤であるノニルフェノールエトキシレートは,水環境中における微生物分解により,専らその親水基である酸化エチレン鎖が短小化した脂溶性の生分解中間代謝物を残存させることが知られている。またこの中間代謝物は,比較的高濃度で普遍的に水環境中から検出されている。この一連の中間代謝物の内,市販されている付加酸化エチレン鎖の重合度が1であるNP1EOをモデル化合物として選択し,海洋沿岸域で普遍的に分布し,増殖の早いケイ藻Skeletonema costatumを用いて生物濃縮の室内実験的検討を行った。まずS. costatumに対するNP1EOの増殖阻害を検討したところ,39ppbまでの濃度では対照区との差は認められず,390ppbでは,増殖初期においてわずかに阻害がみられたが,培養後期ではほとんど差は認められなくなった。S. costatumに吸着,または取り込まれたNP1EOを定量するために,大量培養を行い,NP1EOの添加実験を行った。NP1EOをそれぞれ39ppb,390ppb添加し4日間後,遠心分離により培養液2.5l分の細胞を集め,ろ過海水により数回細胞を洗浄後,溶媒により抽出を行い,NP1EOの定量を行った。培養液に添加したNP1EOのうち,39ppb添加区では20〜30%,390ppb添加区では約50%がS. costatumの細胞へ移行していた。遠心分離後,培養液上澄中からは39ppb添加区についてはNP1EOは検出されなかったが,390ppb添加区では,初期添加量の約50%のNP1EOが培養液上澄中から検出された。以上の結果から,比較的高濃度条件下でNP1EOは,数日間中にかなりの割合でS. costatumの細胞へ吸着,もしくは取り込まれることがわかった。

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