ヘッダーユーティリティメニュー

イベント情報、交通案内、サイトマップ、関連リンク、お問い合わせ・ご意見

グローバルナビゲーション


ホーム > 刊行物 > 国立環境研究所年報 > 平成11年度 > 経常研究  6.大気圏環境部

ここからページ本文です

経常研究


6.大気圏環境部


研究課題 1) 極渦の変動に関する基礎的研究
〔担当者〕 中根英昭
〔期 間〕 平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕 モントリオール議定書とその改訂を中心とした国際的な取り決めに基づく協力によって,フロン等から放出される塩素の成層圏濃度は2000年頃をピークとして徐々に減少することが見込まれるに至った。成層圏オゾン層が成層圏塩素濃度に追随して回復するか否かを決定する大きな要因の一つに極渦の強度がある。この数十年間の極渦の変動を解明することが本研究の目的である。
〔内 容〕 NCEP等の三次元気象データなどから,極渦の強度を記述する手法を開発し,極渦の強度がこの数十年間に系統的に変化するか,どのような年々変動が見られるかについて検討する。本年度は,NCEP再解析データから渦位を計算するとともに,年ごとの極渦の特徴を抽出する手法の開発を行った。
〔発 表〕 f-72,79

研究課題 2) 大気中における物質輸送・循環の研究
〔担当者〕 神沢 博
〔期 間〕 平成10〜19年度(1998〜2007年度)
〔目 的〕 地球大気中における物質の輸送および物質循環の研究を行う。温室効果気体,オゾンおよびオゾン破壊関連気体,エアロゾル等の大気微量成分の物質循環は,気候変動,地球環境にとって重要な要素である。
〔内 容〕 温室効果気体であり,かつ,オゾンおよびオゾン破壊関連気体である亜酸化窒素,メタン,水蒸気等の長寿命の大気微量成分につき,主に極域成層圏を対象として,人工衛星,地上観測等によって得られたデータを解析し,また,全球気象データを解析し,これらの物質循環の様相を明らかにしうるデータ質をそれらのデータが備えているかどうかの検討を行いつつ物質循環の解析を行った。
〔発 表〕 F-6,7,10,11,14,f-18,20,24

研究課題 3) 熱帯積雲対流活動の地球規模効果についての基礎的研究
〔担当者〕 高薮 縁
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 熱帯域積雲対流活動は,エネルギー・水の輸送過程を介して地球規模の大気循環及び放射過程に影響を及ぼす。本研究では,個々には小スケールである積雲対流活動と,グローバルスケールの現象とが,いかなる機構で結合するかを解明することを目的とする。
〔内 容〕 熱帯降雨観測衛星(TRMM)搭載降雨レーダーデータを処理し,熱帯域全域における降雨特性の解析を行うことができるようになった。1998年1年分のデータを解析した。陸域においては,大規模の擾乱の通過に比較的影響されない対流性の日変化降雨が卓越する。海洋上では,数千km・数日〜数十日のスケールの大規模降雨システムに伴う降水が圧倒的に多く,対流性降雨と層状性降雨とがほぼ同等の割合を占めることが示された。
〔発 表〕 F-42,43,f-61〜70

研究課題 4) 低気圧性渦におけるラグランジュ的流体運動の数値的研究
〔担当者〕 菅田誠治
〔期 間〕 平成8〜11年度(1996〜1999年度)
〔目 的〕 対流圏中緯度における大気塊の南北運動を調べると,多くの南北運動は数日以下の短い時間スケールを持つ単振動的運動であり,より長い時間スケールで見て実質的な南北物質輸送が活発に起きるのは限られた経度帯であり,かつその位置は大陸性気団の位置と強い関係があることがわかっている。本研究では,低気圧のライフサイクルおよび大陸性気団と活発な経度帯との関係を調べることを目的とする。
〔内 容〕 日本周辺域での高低気圧周辺でのトレーサー輸送を調べた。日本域冬季の南北輸送と東西輸送の関係について調べたところ,冬型の気圧配置が強い時期は実質的南北輸送が強いが東西輸送は弱い。一方移動性高低気圧が活発な時期には東西輸送が強いが南北輸送が弱い。実際のトレーサーはこの東西南北の両者の輸送を交互に受けて,蛇行しつつ輸送されていることがわかった。
〔発 表〕 f-25,35

研究課題 5) 陸面大気間の水循環的相互作用の研究
〔担当者〕 江守正多
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 陸上の降水がどのような条件により規定されているかを明らかにすることは,気候変動における降水量予測などと密接に関連しており重要である。この問題には,陸面の状態が降水により変化し,逆に降水過程が陸面の状態に依存するという相互作用が重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では,陸上の乾湿の状態と降水過程との相互作用が陸上の降水量をいかに規定しているかを解明することを目的とする。
〔内 容〕 様々な空間スケールと複雑さを持つ大気陸面システムの数値モデルを用いた実験を行い,土壌水分量とその空間分布が陸上の降水過程に及ぼす影響,降水過程による土壌水分の変動,およびその結果として形成される相互作用について解析した。これに伴い,陸面の乾湿の状態を適切に表現しうる陸面過程の数値モデルの構築,大気モデルによる降水過程の再現性の検証とモデルの改良などを行った。この結果,既存の降水スキームでは,シベリアなど高緯度大陸上の夏季の対流性降雨を非現実的に早く降らせてしまう問題があることが示された。
〔発 表〕 F-2,f-14,16

研究課題 6) 大気・海洋の大規模運動の乱流的性質に関する研究
〔担当者〕 野沢 徹
〔期 間〕 平成10〜13年度(1998〜2001年度)
〔目 的〕 大気・海洋の大規模運動は本来3次元空間内の運動であるが,地球が自転していることと流体が安定成層していることにより,近似的に水平2次元の乱流運動とみなすことができる。本研究では,大気・海洋の大規模運動が本質的に持つ2次元乱流的な特徴を調べ,それらが気候システムにおいて果たしている役割について解明する。
〔内 容〕 NCEPなどの客観解析データおよび大気海洋結合モデルによる長期積分データを処理し,大気・海洋中のエネルギースペクトルの冪やエネルギーおよびエンストロフィーフラックス等の2次元乱流的特徴の気候変動について解析する。本年度は,エネルギー,エンストロフィーのスペクトルおよびそれらの注入量,輸送量,散逸量などを計算する手法を開発した。
〔発 表〕 f-82〜84

研究課題 7) エアロゾルの気候影響評価に関する研究
〔担当者〕 日暮明子
〔期 間〕 平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕 エアロゾルの気候影響の重要性が認識されはじめてきている。しかし,その気候影響評価に十分な全球でのエアロゾル特性は明らかになっていないのが実状である。本研究では,衛星データを利用し,全球でのエアロゾル光学特性の把握を行うとともに,得られた結果からエアロゾルの気候影響評価を試みる。
〔内 容〕 衛星搭載放射計の可視・近赤外データに加え,短波可視データを用いることで,エアロゾルの光学的厚さ・粒径分布指数・光吸収性の有無を同時推定するアルゴリズムの開発を行った。これにより土壌性・炭素系・硫酸塩・海塩エアロゾルの4つの代表的なタイプに分類し,それぞれの全球分布を得ることが可能となった。また,衛星データによるエアロゾル特性の長期解析を行う上で大きな問題となっている「センサーの劣化」を調整する手法を検討した。
〔発 表〕 F-60〜63,66,100,101

研究課題 8) 反応性大気微量成分の動態に係わる生成・変換過程の研究
〔担当者〕 酒巻史郎
〔期 間〕 平成5〜11年度(1993〜1999年度)
〔目 的〕 対流圏大気中に存在する様々な微量成分のうちで炭化水素や窒素酸化物は,太陽光の作用によって一連の光化学反応を引き起こし,対流圏オゾンや酸性雨原因物質の生成に密接に関係する。本研究ではこれら反応性気体である炭化水素や窒素酸化物の動態解明の基礎的知見を得るために,これらの大気中での分布を調査し,その生成・変換過程について検討する。
〔内 容〕 バックグランド地域での炭化水素や窒素酸化物の測定を行い,それらの濃度分布とその変動についての基礎的知見を蓄積した。また,それらの濃度変動の原因を解明するために,大気の動態や発生源地域との関係について検討した。
〔発 表〕 f-26,27

研究課題 9) FTIRを用いたラジカルの反応機構に関する研究
〔担当者〕 猪俣 敏
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 大気中においてラジカルは極めて反応性が高いために様々な反応に関与しており,このラジカル反応の機構を明らかにすることは,大気中での様々な現象を理解するうえで必要となる。本研究においては,光化学チャンバーを用い,検出にFTIRを用いてラジカル反応の機構を解明することを目的とする。
〔内 容〕 アンモニアの燃焼過程で重要なNH2ラジカルと酸素原子の反応速度定数の決定を光イオン化質量分析計を用いて行った。242〜473Kでの温度領域での反応速度定数は(1.2±0.2)×10−10cm3/molecule/sと決定した。また,これまで直接測定が行われていなかった後続反応のHNOと酸素原子の反応速度定数も(3.8±1.3)×10−11cm3/molecule/sと決定した。
〔発 表〕 A-63,f-2

研究課題 10) レーザー長光路吸収による大気微量分子計測のための分光手法の研究
〔担当者〕 杉本伸夫
〔期 間〕 平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕 レーザー長光路吸収法は野外の大気微量分子の遠隔計測手法として原理的に高感度が期待される手法であるが,赤外域の良好な波長可変光源が応用上の問題点となっていた。近年,周期構造を持つ非線形光学素子や半導体レーザーの開発が目覚ましく,これらを用いたレーザー長光路吸収システムの新たな展開が期待されている。本研究では,これらの新しい赤外波長可変光源を用いて,その特性を有効に利用した分光計測手法を開発することを目的とする。
〔内 容〕 周期構造を持つ非線形光学結晶PPLNを用いた光パラメトリック発振器の特性について調査を行った。3ミクロン領域でメタンを測定する場合について,パルスを用いる方法と連続波を用いる方法について検出感度を比較検討した。また,波長幅の拡いレーザーを用いた相関分光法と狭帯域レーザーを用いた差分吸収法の比較検討を行った。
〔発 表〕 F-39

研究課題 11) ミー散乱ライダーによるエアロゾルおよび雲の観測に関する研究
〔担当者〕 松井一郎
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 大気中のエアロゾルの放射特性および雲の生成にかかわる二次的な効果に関する情報を得るためのライダー(レーザーレーダー)手法,ライダー装置,および解析手法について研究する。
〔内 容〕 1ミクロンと500nmの2波長におけるライダー信号から散乱体の粒径に関する情報を求める手法について,海洋地球研究船「みらい」によるライダー観測データを用いて検討した。観測結果では,後方散乱係数の波長依存性は場所による変化が大きく,エアロゾルの光学モデルOPACによって計算されるエアロゾルタイプに依存する変化よりも大きい。後方散乱係数の波長依存性はエアロゾルタイプの推定に有効であると考えられるが,より詳細な観測によって光学特性の気候値を求めることが必要である。
〔発 表〕 f-107,109,110

研究課題 12) 大気中における微小粒子分散系の生成,時間発展および沈着に関する研究
〔担当者〕 福山 力
〔期 間〕 平成9〜14年度(1997〜2002年度)
〔目 的〕 微量大気成分から気相−凝縮相転移によりエアロゾル粒子や微小水滴が生成し,粒子−気体および粒子−粒子相互作用を経て沈着により除去される過程を調べ,多相系としての大気の物理・化学的特性を明らかにする。
〔内 容〕 前年度に引き続き,高さ430mの立坑内に人工霧を発生させ,高分子吸水材の擬似葉を付けた模型樹木への微小水滴沈着過程を観測した。樹木周囲の風速および擬似葉のサイズに基づくストークス数の考察により,水滴の慣性衝突による沈着には擬似葉表面の粗度が関与している可能性が高いこと,したがってこの観測結果を実際の葉に適用する際には注意が必要であることを見いだした。
〔発 表〕 F-65,f-5,6,104,105

研究課題 13) 多相雲化学過程に関する基礎的研究
〔担当者〕 内山政弘
〔期 間〕 平成9〜14年度(1997〜2002年度)
〔目 的〕 雲の物理・化学特性および過程は大気中の様々な過程と深くかかわっている。例えば酸性質の沈着,大気中の成分の酸化過程,大気放射過程などである。雲と大気中の他の成分(エアロゾルやガス)との相互作用を定量的に把握することを目的とする。
〔内 容〕 深度430mの立坑において上昇気流により人工雲を発生させた。坑底で化学組成の異なる凝結核を添加することにより雲の濃度および粒径分布は著しく変化する。このようにして発生させた密度の異なる雲(霧)を用いて,樹木へのオカルト沈着量の定量測定を行った。降雨強度としては0.059mm/hに相当する沈着が起きる。観測は風速0.5〜1m,温度11℃で行われたが,葉へのオカルト沈着は風向および枝の存否に依存しなかった。すなわち単位面積当たりの沈着量は葉の表,裏,風下および風上に樹幹からの距離に依存しなかった。
〔発 表〕 f-8

研究課題 14) モニタリングステーションにおける大気中のメタンと亜酸化窒素,一酸化炭素の連続観測
〔担当者〕 遠嶋康徳
〔期 間〕 平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕 国立環境研究所が落石岬と波照間島のそれぞれに所有するモニタリングステーションにおいて,温室効果気体であるメタンと亜酸化窒素,さらに汚染空気の指標となる一酸化炭素の大気中濃度の連続観測を行いその変動を明らかにすることを目的とする。
〔内 容〕 1996年から1999年にかけてのメタン濃度の平均増加率は落石岬で年間5ppb,波照間島で6ppbであった。同じ期間の波照間島での亜酸化窒素濃度の平均増加率は年間0.68ppbであった。本年度は落石岬で亜酸化窒素の,波照間島で一酸化炭素の連続測定を開始した。落石岬の亜酸化窒素濃度の変動には夏から冬に増加する季節変動の存在する可能性が示された。また,一酸化炭素は春に高く夏に低い季節変動が観測された。

研究課題 15) 同位体比測定を用いた対流圏温暖化気体の動態解明に関する基礎研究
〔担当者〕 高橋善幸
〔期 間〕 平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕 近年,二酸化炭素やメタンなどの温暖化気体成分の大気中での濃度上昇の速度が一定ではないことがわかってきた。この濃度上昇速度の異常がどのような原因によって引き起こされているのかが議論されている。大気中の温暖化気体の濃度とともにその同位体比を観測することによって,濃度上昇速度の異常の原因を明らかにするための基礎研究を行う。
〔内 容〕 大気試料の二酸化炭素中の安定同位体比を高精度に測定する手法の開発を行った。開発された手法を用いて,日本およびシベリア上空で採取された大気試料の分析を行った。その結果,大気二酸化炭素の変化に対するその炭素安定同位体比の変化の比はおよそ−0.05permil/ppmであるが,その値は場所ごとにわずかながら異なることが明らかになった。

研究課題 16) 多波長衛星データを用いたエアロゾル種別分類に関する研究(奨励研究A)
〔担当者〕 日暮明子
〔期 間〕 平成11年度(1999年度)
〔目 的〕 エアロゾルの気候影響の重要性が広く認識されてきているが,現在のエアロゾルの気候影響の見積もりにはまだ大きな不確定性が含まれており,全球規模のエアロゾル特性の把握が求められている。
 エアロゾルは時空間変動が非常に大きいため,短時間で全球を網羅する衛星データの活用が有効である。近年,エアロゾルリモートセンシングが急速に発展し,これまでの研究で,エアロゾルの光学的厚さとともに,粒径の指標となるオングストローム指数の推定が行われるようになっているが,エアロゾル種別の分布を得るには至っていない。
 エアロゾルの放射効果は,種別に大きく異なるため,その分布を得ることは,エアロゾルの気候影響評価,さらは今後の気候変動予測の精度を向上させる上でも非常に重要である。
 そこで,本研究では波長別輝度データから硫酸塩・土壌性等エアロゾルの種別分類を全球規模で行う種別分類手法の開発を行うことを目的とする。
〔内 容〕 代表的なエアロゾルとして,土壌性・炭素系・硫酸塩・海塩エアロゾルがあげられるが,これらのエアロゾルは,粒径の大小及び光吸収性の有無により,ほぼ大別できる。そこで,従来の可視・近赤外アルゴリズムに,吸収・非吸収エアロゾルの光学モデルと短波可視波長を導入し,エアロゾルの光学的厚さ・粒径分布に加え,光吸収性の有無も同時に推定するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムでは,可視・近赤外波長からそれぞれのモデルで光学的厚さ及び粒径の推定を行い,その結果に基づき計算された両モデルの短波可視波長での輝度増加量と観測値の比較により吸収性の有無の判別が行われる。これにより同時推定が可能となった粒径と光吸収性の有無により,全球に分布しているエアロゾルを土壌性・炭素系・硫酸塩・海塩エアロゾルの代表的な4つのタイプに分類し,それぞれの全球分布を得ることが可能となった。
 開発したアルゴリズムを,実際にSeaWiFSの1997年10月,1998年1,4,7,10月のデータに適用し,全球解析を行った。1997年10月は,ちょうどインドネシアで大森林火災が発生していた時期にあたり,インドネシア周辺で非常に厚い炭素系エアロゾルの分布が認められた。北アフリカ西岸に広がるサハラ砂漠起源の土壌性粒子の分布と較べても,この森林火災の規模の大きさがわかる。火災から放出されたエアロゾルは,主に「炭素系」として分類されているが,一部には「硫酸塩」も含まれている。これは,インドネシアの火災が,植生だけでなく地表に堆積された泥炭層まで燃焼したことを反映しており,観測結果と一致するものである。
 さらに,これらの解析結果とエアロゾル輸送モデルから得られた結果との比較も行い,時空間上で特徴的な分布特性のよい一致をみた。
〔発 表〕 f-100

フッターユーティリティメニュー