| 研究課題 |
16) 多波長衛星データを用いたエアロゾル種別分類に関する研究(奨励研究A) |
| 〔担当者〕 |
日暮明子 |
| 〔期 間〕 |
平成11年度(1999年度) |
| 〔目 的〕 |
エアロゾルの気候影響の重要性が広く認識されてきているが,現在のエアロゾルの気候影響の見積もりにはまだ大きな不確定性が含まれており,全球規模のエアロゾル特性の把握が求められている。
エアロゾルは時空間変動が非常に大きいため,短時間で全球を網羅する衛星データの活用が有効である。近年,エアロゾルリモートセンシングが急速に発展し,これまでの研究で,エアロゾルの光学的厚さとともに,粒径の指標となるオングストローム指数の推定が行われるようになっているが,エアロゾル種別の分布を得るには至っていない。
エアロゾルの放射効果は,種別に大きく異なるため,その分布を得ることは,エアロゾルの気候影響評価,さらは今後の気候変動予測の精度を向上させる上でも非常に重要である。
そこで,本研究では波長別輝度データから硫酸塩・土壌性等エアロゾルの種別分類を全球規模で行う種別分類手法の開発を行うことを目的とする。 |
| 〔内 容〕 |
代表的なエアロゾルとして,土壌性・炭素系・硫酸塩・海塩エアロゾルがあげられるが,これらのエアロゾルは,粒径の大小及び光吸収性の有無により,ほぼ大別できる。そこで,従来の可視・近赤外アルゴリズムに,吸収・非吸収エアロゾルの光学モデルと短波可視波長を導入し,エアロゾルの光学的厚さ・粒径分布に加え,光吸収性の有無も同時に推定するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムでは,可視・近赤外波長からそれぞれのモデルで光学的厚さ及び粒径の推定を行い,その結果に基づき計算された両モデルの短波可視波長での輝度増加量と観測値の比較により吸収性の有無の判別が行われる。これにより同時推定が可能となった粒径と光吸収性の有無により,全球に分布しているエアロゾルを土壌性・炭素系・硫酸塩・海塩エアロゾルの代表的な4つのタイプに分類し,それぞれの全球分布を得ることが可能となった。
開発したアルゴリズムを,実際にSeaWiFSの1997年10月,1998年1,4,7,10月のデータに適用し,全球解析を行った。1997年10月は,ちょうどインドネシアで大森林火災が発生していた時期にあたり,インドネシア周辺で非常に厚い炭素系エアロゾルの分布が認められた。北アフリカ西岸に広がるサハラ砂漠起源の土壌性粒子の分布と較べても,この森林火災の規模の大きさがわかる。火災から放出されたエアロゾルは,主に「炭素系」として分類されているが,一部には「硫酸塩」も含まれている。これは,インドネシアの火災が,植生だけでなく地表に堆積された泥炭層まで燃焼したことを反映しており,観測結果と一致するものである。
さらに,これらの解析結果とエアロゾル輸送モデルから得られた結果との比較も行い,時空間上で特徴的な分布特性のよい一致をみた。 |
| 〔発 表〕 |
f-100 |