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経常研究


5.環境健康部


研究課題 1) 環境有害因子の健康影響評価に関する研究
〔担当者〕 遠山千春・小林隆弘
〔期 間〕 平成10〜15年度(1998〜2003年度)
〔目 的〕 環境有害因子の毒性の有無,毒性発現機構の解明,毒性評価および健康影響モニタリング手法に関する研究を推進する一環として健康リスクアセスメントに関する文献調査を行い,健康リスクアセスメントの現状の把握と今後の研究の方向性を探ることを目的とする。
〔内 容〕 直径が2.5μm以下の微小粒子の生体影響に関する知見が徐々に増加しつつあることから,我が国における研究の推進が早急に必要なガス状および浮遊粒子状物質の生体影響に関して文献等によるレビューを行った。また,前年度に引き続き,環境庁専門委員会等による委嘱を受け,ダイオキシン,環境ホルモン,重金属,ディーゼル排気さらに各種の有害化学物質の初期段階でのリスク評価に関する文献レビューを行った。
〔発 表〕 E-5,15,21,22,34,e-42,43,45,46

研究課題 2) 気道の抗原提示細胞に関する基礎研究
〔担当者〕 小林隆弘
〔期 間〕 平成11〜15年度(1999〜2003年度)
〔目 的〕 ぜん息,花粉症などの原因に抗原に特異的な抗体の産生がある。抗体の産生には多くの素過程がある。抗原提示の過程は抗体産生の初期の段階として重要である。大気汚染物質を暴露したときに抗原提示にかかわる細胞が気道においてどのような挙動をし,抗体産生にかかわるかについて検討を行う。
〔内 容〕 大気汚染物質としてオゾンを用い,ラットに暴露したときの気道における抗原提示細胞がどのような挙動を示すかについて免疫組織学的手法を用いて気管について検討した。抗原提示細胞は非常に早い時期に一過性に増加したのち,低下する傾向が見られた。炎症状態にある部位に素早く集まり異物を貪食し抗体を産生するべくリンパ節に移行していった可能性が示唆される。
〔発 表〕 E-11,12

研究課題 3) T細胞分化の解析法に関する基礎研究
〔担当者〕 野原恵子・藤巻秀和
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 T細胞は種々のサブセットに分化することによってそれぞれ異なった機能をもつようになり,免疫反応を調節している。近年環境中の汚染物質がT細胞サブセットの分化に影響を及ぼして免疫機能を変化させ,アレルギーの増加などに関与している可能性が示唆されている。本研究は,T細胞分化への環境汚染物質の影響を感度よくスクリーニングし評価するための方法やマーカーの開発を目的とする。
〔内 容〕 本年度はT細胞の分化をin vitroで再現する系としてマウスの胎児胸腺器官培養系(FTOC)を用い,ダイオキシン暴露が胸腺T細胞分化に及ぼす影響と関連遺伝子の検索を行った。FTOCのダイオキシン暴露によって,動物にダイオキシンを投与した時と同様の分化の偏りや胸腺細胞数の減少が確認された。この系においてT細胞分化への関与が報告されている遺伝子の発現をRT-PCR法でスクリーニングしたが,ダイオキシンによる偏りの原因となると考えられる変化は既知の遺伝子発現のレベルでは認められなかった。
〔発 表〕 E-24,e-44,52〜56

研究課題 4) 肺における細胞外基質代謝に関する基礎研究
〔担当者〕 古山昭子・持立克身
〔期 間〕 平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕 肺胞組織は肺胞上皮細胞,肺線維芽細胞,血管内皮細胞とそれらの細胞間を埋める細胞外基質から構成されており,それぞれの細胞の機能発現には正常な細胞外基質構成を保つことが重要だと考えられている。本研究ではin vitroで肺胞上皮組織を模した培養系において細胞外基質の代謝へのホルモンやサイトカインの影響を検討することを目的とする。
〔内 容〕 肺胞上皮細胞と肺線維芽細胞の共培養系に細胞外基質の代謝に影響を与えるTGFベータを暴露したところ,肺胞上皮細胞の基底膜形成を促進させる濃度のTGFベータにより,共培養系では基底膜形成が阻害された。これはTGFベータ暴露された肺線維芽細胞から間質性細胞外基質成分とTGFベータが分泌されたことによるためで,細胞間相互作用による増幅的細胞外基質代謝制御であると考えられた。
〔発 表〕 E-30,31,e-61,62

研究課題 5) 環境因子の生体影響を評価するための遺伝子導入動物を用いたバイオアッセイ手法の開発
〔担当者〕 青木康展・松本 理・佐藤雅彦・大迫誠一郎・石塚真由美
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 化学物質等の環境因子より被る環境リスクへの対策を講ずるためには,環境中における化学物質等の現存量を明らかにすることが必要である。特に,人の健康への影響の対策を考えたときには,環境中に存在する化学物質等が全体としてどれだけ生体に影響を与えうるかを明らかにすることが必要である。そのために,生体中で化学物質等が引き起こす応答反応を容易に検出することができる遺伝子導入動物を開発し,バイオアッセイを行う。
〔内 容〕 重金属結合タンパク質であり抗酸化作用を持つメタロチオネイン(MT)の遺伝子欠損マウスに種々の薬剤を投与しその影響を調べた。その結果,エタノールの急性中毒や蒸気水銀の肺毒性が増悪し,これらの毒性軽減にMTが関与していることが明らかになった。また,IL-6遺伝子欠損マウス,Ah-R遺伝子欠損マウスの利用についても検討を進めた。また,変異原物質を検出するためのゼブラフィッシュ系統を確立し,ニトロソ化合物やベンゾ(a)ピレン等の変異性が検出できることを確認した。
〔発 表〕 E-2,4,5,13〜15,18〜20,23,e-2,3,5,7,8,17,18,20〜30,32〜40,47〜51

研究課題 6) NMRによる生体の無侵襲診断手法の研究
〔担当者〕 三森文行・山根一祐
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 In vivo NMRの手法を用いて,従来の諸方法ではアプローチできない,生きている生体内臓器の代謝機能等を無侵襲的に解析する方法の開発を行うことを目的とする。生体内の臓器の機能を評価するためのNMR分光法,イメージング法の開発を行い,それを応用して,各種化学物質や,物理的環境要因が臓器の代謝機能に及ぼす影響を明らかにすることを目指す。
〔内 容〕 ラット脳の基本的機能の指標としてこれまでエネルギー代謝機能や,脳内の水分子の拡散速度を測定してきたが,本年度はその本来の電気的機能に対応する画像化の検討を行った。本研究では,外因性の常磁性試薬を投与することにより神経インパルスの発生部位を画像化する試みを行った。ラットへの試薬の投与法,麻酔法等につき検討を行い,皮膚の体性感覚への刺激や,神経伝達物質による脳の活性化を画像化できることがわかった。
〔発 表〕 E-32,33,35,e-66〜70

研究課題 7) マウスにおける行動毒性試験法の確立に関する研究
〔担当者〕 梅津豊司
〔期 間〕 平成9〜12年度(1997〜2000年度)
〔目 的〕 環境化学物質の生体影響の評価を行う上で中枢神経系への影響を評価することは重要であるが,そのための方法論については現在のところ未整備の状況にある。本課題では,環境化学物質の中枢神経系への影響を個体レベルで無侵襲的に評価するために,行動科学的手法の体系をマウスで確立することを目指す。
〔内 容〕 化学物質の中枢作用のうち,抗不安作用を検定できるようにするために,Vogel法のマウスへの適用を試みた。抗不安薬であるジアゼパムを用いて,この薬物の抗コンフリクト作用を検出するための,マウスにおけるVogel法の各種実験条件について検討した。次いで,ジアゼパムの抗コンフリクト作用を検出できる実験条件において,種々の向精神薬の作用を検討した。結果,その実験条件下では,ジアゼパムとペントバルビタールという,ヒトにおいて明確な抗不安作用を発現する薬物のみが,マウスVogel法で抗コンフリクト作用を示すことが明らかとなった。従って,マウスVogel法により化学物質の抗不安作用が評価できることが明らかとなった。
〔発 表〕 E-7,8,e-9,10

研究課題 8) 環境保健指標の開発に関する研究
〔担当者〕 小野雅司・田村憲治・吉川麻衣子・宮原裕一
〔期 間〕 平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕 環境汚染による非特異的あるいは遅発的な疾病の発生に関する監視が必要となり,今日新たな環境保健指標の開発が要請されている。本研究では,利用可能な既存情報,各種の健康調査及び健康診断データ等を統合し,疫学研究のための環境保健指標の開発,疫学研究デザインの開発・検討を行い,地域健康状況監視システム,環境汚染の健康影響評価法の開発を試みる。
〔内 容〕 国保レセプトデータ,救急搬送データ,人口動態死亡統計について,引き続きデータの収集・解析を行った。救急搬送データに関しては気象変動と救急搬送者数の関連について,死亡統計に関しては微小粒子状物質等の大気汚染物質の日変動が死亡に及ぼす急性影響について検討した。さらに,ダイオキシン汚染による健康影響に関して,全国のゴミ焼却施設等ダイオキシン発生源のデータベース化をはかるとともに,死亡統計に関してより詳細な情報源の検討とデータ収集を開始した。
〔発 表〕 e-11,12

研究課題 9) ヒトのダイオキシン類暴露と子宮内膜症に関する疫学的研究
〔担当者〕 宮原裕一
〔期 間〕 平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕 動物実験の結果から,ダイオキシン類がヒト近縁のサルに子宮内膜症を誘発することが明らかとなっている。また,近年ヒト子宮内膜症の増加が示唆されてきている。本研究では,ヒト子宮内膜症とダイオキシン類暴露との因果関係を明らかにすることを目的とし,子宮内膜症の診断とダイオキシン類濃度の測定を行った。
〔内 容〕 本年度は,前年度同様,東京大学医学部産婦人科にて子宮内膜症の診断を行った。また,同産婦人科より供与された,子宮内膜症患者の脂肪組織中のダイオキシン類含量を測定した。現在のところ,統計的な処理をするには症例数がまだ少ないが,症状の重い患者の方が軽症患者よりもダイオキシン濃度が有意に高い傾向がみられた。
〔発 表〕 b-282

研究課題 10) 毛髪中のTCDD含量を用いた疫学調査のための基礎研究(奨励研究A)
〔担当者〕 宮原裕一
〔期 間〕 平成11年度(1999年度)
〔目 的〕 近年,ダイオキシン類の発生源であるゴミ焼却場周辺でのヒト健康影響が大きな社会問題となっている。しかし,本邦においてそれを裏付ける疫学的な調査結果は得られてはいない。ヒト血液中のダイオキシン濃度がその暴露量の指標として測定されているが,採血に伴う被験者の負担や血中のダイオキシン類分析の煩雑さなど,その分析には多くの困難が伴う。一方,ヒト血中のダイオキシン類濃度は呼吸と食事による暴露を反映し,そのすべてが焼却場に直接由来している訳ではなく,経気道ダイオキシン類暴露の評価を難しくしている。先に,摂南大学のグループは,ヒト毛髪中のダイオキシン類の分析方法を開発し,焼却場労働者の毛髪中のダイオキシン類含量が対照群よりも有意に高いことを明らかにしている。しかし,対照群も含めこの毛髪中のダイオキシン類が,食事や呼吸を介し体内に取り込まれたものか,あるいは直接大気から吸着したものかどうかは明らかでない。そこで,本研究は毛髪中ダイオキシン類の由来を明らかにするとともに,その分析方法を確立し,ヒト疫学調査に適用することを目的とした。
〔内 容〕 本研究では,毛髪中のダイオキシン類について,その分析方法の検討とその由来の解明を試み,実試料への適用を行った。高速溶媒抽出装置を用いることで,ダイオキシン類の回収率は向上した。一方,有機溶媒や洗剤を用いて毛髪を洗浄すると,そのダイオキシン類含量は減少したが,いずれのクロマトも燃焼パターンのままであり,洗浄により外的要因のみを取り去ることはできなかった。次いでラットにTCDDを経口投与し,その脂肪,血清,体毛中のTCDD含量を測定したところ,用量依存的にTCDD濃度はどの部位においても増加し,良好な相関関係が観察され,生体中のダイオキシン類濃度が体毛のダイオキシン類含量に反映することが明らかとなった。一方,研究所・居室内,実験室内,屋上に4カ月間放置した毛糸のダイオキシン類含量は,未処理の毛糸よりもはるかに高く,大気中のダイオキシン類が頭髪に吸着することも示唆された。また,健常人の毛髪中のダイオキシン類を分析したところ,そのTEQ値は0.74〜1.66pg/gであり,平均値は1.12pg/gであった。毛髪中のダイオキシン類含量は,外気から吸着したものと,脂質と共に血流を介して体内から移行したものの総和である。そこで,体毛と脂肪組織のダイオキシン類含量(脂質あたり)の差を,外気より吸着したダイオキシン類と算定した。その結果,ラットでは揮発性の低い5塩素化以上の同族体の約80%以上が吸着によって体毛に取り込まれたものと推定された。一方,毛髪は試料採取が血液や脂肪組織に比べはるかに容易であり,今回用いた試料は約1〜2gと比較的少量であったことから,ヒト毛髪は焼却場近傍住民の暴露評価に有効である。今後,毛髪を用いた環境モニタリングのためには,ダイオキシン類の毛髪への吸着についてさらに調査する必要がある。

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