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経常研究


4.化学環境部


研究課題 1) 境汚染物質の測定技術および測定手法に関する研究
〔担当者〕 相馬悠子・横内陽子・久米 博・藤井敏博
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 環境を正確に把握するという立場から,環境汚染物質の測定技術および環境の質を的確に計測し評価する為の計測手法の確立を目的とする。コンピュターケミストリーを含むシーズ的,先導的研究を行う。
〔内 容〕 @Li+イオン付加反応を利用した質量分析法により,CH4/H2のマイクロ波放電で生成する化合物の検出を行った。原子状C,C2,C2H2 等の化学種を質量分析法で初めて確認した。Aab initioの分子軌道法により,PFCs(パーフルオロカーボン)類のLi+イオン親和力を求めた。B薄膜試料用のPIXE解析ソフトウェアを作成した。C塩化メチル等低沸点化合物のための吸着捕集/GC/MS分析法を検討した。
〔発 表〕 D-29〜31,43

研究課題 2) タンデム加速器分析法の環境研究への応用に関する研究
〔担当者〕 柴田康行・瀬山春彦・田中 敦・米田 穣・久米 博・植弘崇嗣*1・森田昌敏*2
(*1国際室,*2地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 平成7年度に設置されたタンデム加速器分析施設(NIES-TERRA)の環境研究への応用にあたって必要となる運転技術,試料採取,前処理技術などの習得,確立を図るとともに,適用範囲を広げるためのハード,ソフト両面の改良,新しい分析手法の開発などを行い,今後の研究の発展の基礎作りを行う。
〔内 容〕 本年度は特に微小試料中の14C測定を対象として,試料前処理方法の検討を行い,新たな前処理ラインの試作を行って性能評価を開始した。また,他核種の分析に現在の検出システムを用いる場合の問題点について,検出器ガスの材質や濃度,ガスを閉じこめるための窓材の材質と厚さ,分析磁石の後ろに2段目のストリッパフォイルを挿入したときの材質と厚さ,選択するイオンの価数を変更した場合の測定対象核種と妨害同重体との分離に関してシミュレーション計算を行い,10Beの測定を対象として,妨害成分の10Beとの分離を実際の測定結果と比較した。
〔発 表〕 CD-11,d-12

研究課題 3) 環境中/生態系での元素の存在状態並びに動態に関する基礎研究
〔担当者〕 柴田康行・瀬山春彦・田中 敦・米田 穣・堀口敏宏
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 元素・物質の環境中での循環,生態系循環の解明や毒性等の評価のためには,それぞれの元素の存在状態/化学形態や局所的な存在/蓄積部位に関する情報が必要である。一方,元素の同位体比は,元素・物質の起源を探り,環境動態を追跡し,さらに生態系における汚染物質の蓄積を解明する上で重要な手がかりを与えてくれる。本経常研究では,そのための基礎研究を実施する。
〔内 容〕 ヒ素の化学形態分析の際のCl(35Cl40Ar)による妨害を避けるため,アルゴンの代わりに窒素ガスを用いるMIP/MSを検出器として測定条件を確立した。酸性雨等による岩石,土壌の風化現象を調べるため,天然風化黒雲母の表面状態を二次イオン質量分析法とX線光電子分光法により調べた。風化反応による明瞭な表面溶脱層は形成されず,Alが黒雲母表面に集積される傾向が認められ,天然のケイ酸塩鉱物の風化は単純な酸への溶解メカニズムと異なることが明らかとなった。1999年9月に東海村で起きた臨界事故に関連して,土壌・植物等の環境試料に逐次抽出法を適用し,ウランの結合状態と同位体比との関係を調べた。土壌試料の場合,水,希硝酸,熱希硝酸の順にウラン抽出量が増し,同位体比が変化した。残渣鉱物中ウラン同位体比は天然と等しかった。土壌では熱希硝酸処理で,植物では希硝酸処理で付加したウランを抽出できることが示された。
〔発 表〕 D-20,d-10,14,31

研究課題 4) バイカル湖の湖底泥を用いる長期環境変動の解析に関する国際共同研究
〔担当者〕 大河合崇欣・柴田康行・田中 敦・相馬悠子・高松武次郎*1・功刀正行*2・森田昌敏*3
(*1水土壌圏環境部,*2地球環境研究グループ,*3地域環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境の変化が生物種の保存,絶滅や進化に与える影響を検討・評価するために,約3000万年と言われるバイカル湖の環境変化及びその地域で生存した生物層の変化を,バイカル湖底質柱状試料の古陸水学的解析によって調べる。
〔内 容〕 @平成10年度に採取したバイカル湖底質柱状試料を一時輸入し,非破壊測定を行った。A200,600m柱状試料について国内外で分析チームを組織し,項目ごとに分担して測定を行った。500〜1000万年の気候変動を解析できる測定・分析の結果が蓄積された。国立環境研究所では他に主として無機元素の分布の測定と水位変動,光合成色素の分布,10Be/26Al年代決定法の研究,データベースの準備を分担した。B測定結果を総合し,過去1000万年の気候環境変動の特徴を明らかにした。
〔発 表〕 D-7,8,d-7,8

研究課題 5) 発光細菌を利用した簡便な環境変異原の検索手法に関する研究
〔担当者〕 白石寛明・白石不二雄
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 水中に存在する有害物質の評価を総合的に行うためには,機器分析で測定される個々の物質の濃度のみならず,水質全体を表わす総合指標が必要である。化学物質による有害性の評価においては,バイオアッセイ法が,毒性物質を総合的に把握するのに適していると考えられる。本研究は,操作に熟練を要しないバイオアッセイ法の確立を目指して,試験生物として発光バクテリアを選び,実際の環境水の毒性評価に応用できる簡便な試験法の開発を目指す。
〔内 容〕 水試料の遺伝毒性試験法(MBG)において,濃縮率50倍以下の試験液からの発光強度が対照に対して10倍以上あるときに陽性とすることで,埋立処分場由来の浸出水,処理水の試験に適用できることを示した。一廃では,−S9試験で陽性と判定された浸出水は10%以下であり,処理水は陰性であった。+S9試験では約半数の処分場で陽性を示したが,その強度は処理水では半減していた。産廃では−S9試験でも陽性と判断される浸出水が半数を超えるなど,強度,検出率ともに一廃と比較して高かった。
〔発 表〕 D-18,d-27

研究課題 6) 底質,土壌中の有機化合物の存在状態及び化学変化に関する研究
〔担当者〕 相馬悠子
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 環境汚染に関する有機化合物の底質,土壌における存在状態,化学変化の反応機構を調べ,環境汚染物質の環境における挙動を明らかにする。
〔内 容〕 バイカル湖底質のクロロフィル分解生成物中にクロロフィルaのフォルビン環にステロールがエステル結合している物質が安定に残留していることが見いだされた。ステロールは植物プランクトンのバイオマーカーであるので,結合ステロールのステロール組成を調べることにより,過去の植物プランクトン種の推定が可能であり,バイカル湖表層底質のステロール組成から湖盆による植物プランクトンの違いを調べた。
〔発 表〕 d-32

研究課題 7) 外因性内分泌撹乱物質の培養細胞を用いたバイオ・アッセイ系の基礎的研究
〔担当者〕 白石不二雄・白石寛明・佐野友春・彼谷邦光
〔期 間〕 平成11〜13年度(1999〜2001年度)
〔目 的〕 環境中に排出される化学物質は生態系への影響のみならず,ヒトへの性ホルモン作用としての影響が危惧されている。比較的簡単に性ホルモン作用を検出できる系として,酵母にレセプターを組み込んだ試験系が開発されているが,簡便性や汎用性といった面からは問題点も多く,多数の化学物質や環境試料のバイオ・アッセイ系としては改良が必要とされている。
〔内 容〕 本年度は酵母Two‐Hybrid Systemによるエストロゲンアッセイ法について,培地の改良,96ウェル・マイクロプレートの使用,レポーター遺伝子発現によるβ-ガラクトシダーゼ活性の化学発光測定法の導入により,従来の試験法に比べて高感度で,かつ操作性にすぐれたアッセイシステムを構築し,多数の化学物質及び環境試料のエストロゲン活性の迅速な測定が可能となった。
〔発 表〕 D-19,d-29

研究課題 8) 環境分析の精度管理に関する研究
〔担当者〕 白石寛明・伊藤裕康・中杉修身
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境の状況の正確な把握のためには,適切なサンプリング計画と高精度の計測法が必要である。本研究では有効な精度管理を実現するために,検討すべき各種要因を明らかにし,環境分析におけるサンプリング法,計測法の高精度化を実現する。
〔内 容〕 各種分析法における精度管理の現状を整理し,問題点を明らかにするために,JISの環境分析法,食品および作物残留分析法,米国EPAの環境分析法などのデータベース化を行った。作成したデータベースの一部を本研究所の化学物質データベースでインターネット上に公開した。ダイオキシンの分析法の標準化を行うために,本研究所で作成した標準試料を用いて他機関とのクロスチェック及び地方自治体の研究所と分析法の共同開発を実施し,精度管理上の問題点を解析した。

研究課題 9) 水生生物の内分泌撹乱並びに生殖機能障害に関する研究
〔担当者〕 堀口敏宏
〔期 間〕 平成10〜14年度(1998〜2002年度)
〔目 的〕 いくつかの化学物質により生物の内分泌及び生殖の撹乱が引き起こされることが知られており,一部の野生生物においてはすでに異常が顕在化している。しかし,国内の生物における内分泌撹乱や生殖機能障害及びそれに起因する個体数減少については不明な部分が多い。ここでは外因性内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の影響を最も受けやすい生物群と考えられる水生生物を対象に内分泌撹乱の実態把握と原因究明及び機構解明を行う。
〔内 容〕 イボニシのインポセックスや産卵生態,体内有機スズ濃度に関する全国調査を行った。瀬戸内海(広島,岡山及び兵庫)ではインポセックスが依然高率で観察され,相対ペニス指数(RPL Index)は1996年及び1998年調査に比べて低減したが,輸精管順位(VDS)は低減していなかった。また体内有機スズ濃度は概して減少したが,局所的にトリブチルスズ(TBT)濃度が高い,もしくは経年的に上昇する地点が見られた。
〔発 表〕

D-32〜34,36〜40,d-45〜54


研究課題 10) イオン計数方式のほう素安定同位体比測定と水系試料への適用(奨励研究A)
〔担当者〕 田中 敦
〔期 間〕 平成11年度(1999年度)
〔目 的〕 ホウ素は,水環境の環境基準項目へ格上げされ,指針値の0.2mg/lから1mg/lの基準値へ数値が引き上げらた。その背景には,ホウ素の毒性や摂取形態の評価が見直された面もあるが,0.2mg/lの指針値を超えるケースが多々見られたことも無視できない。海水起源,人為起源を含めて,水試料に検出される高濃度ホウ素の起源についての情報が不足している。安定同位体比は物質の動態,起源に関する優れたトレーサーであり,濃度からでは得られない情報を与える。新らしい方式の同位体測定法であるイオンカウンティング方式のマルチコレクター型ICP質量分析法を利用し,水系試料中のホウ素の安定同位体比を高精度,高頻度測定する手法の技術的な評価とホウ素の起源推定に利用するために,大河川系でのホウ素同安定位体比の実測を行うことを目的とする。
〔内 容〕 マルチコレクター型ICP質量分析計による同位体比測定をする最適条件を検討した。装置性能を検証する目的で行った鉛測定(Pb-207/Pb-206)では,同位体比の定まったTlを同時測定する外部補正法が適用できるため,0.001%の内部精度,0.002%の正確さで測定できた。この値は,環境試料を測定する要求精度を満たしている。イオン計数型検出器(チャンネルトロン,デーリー検出器)による低濃度測定では,計数の統計誤差と検出器の個体差,安定性が制限因子となっていた。ホウ素ではマトリックス効果とメモリー効果は大きく,マトリックス分離と酸濃度の調節が要求された。洗浄によって実用的なレベルまでメモリー効果は低減できた。マルチコレクター型ICP質量分析計に付属しているガス衝突セルの影響により,ホウ素の感度はモル濃度換算でPbの10分の1以下であり,質量差別効果はPbに比べて格段に大きくなっていた。また,装置の質量分散の制約により外部補正法が適用できないため,標準溶液を利用した質量差別効果の補正を行った。ファラデー測定では,ホウ素1000ng/gで0.02%程度の内部精度,0.1%の外部精度で測定可能であった。イオン計数測定では10ng/g程度の測定が可能であるが,質量軸に連続的なバックグラウンドが高く,測定精度は劣っていた。河川水試料の場合,マトリックス効果を除くためキレート樹脂でホウ素を分離後,マンニトールを添加して濃縮した試料により同位体比を測定した。
〔発 表〕 d-37

研究課題 11) 化学形態分析のための環境標準試料の作成と評価に関する研究(特別経常研究)
〔担当者〕 伊藤裕康・白石寛明・柴田康行・中杉修身・田辺 潔*1・安原昭夫*1・山本貴士*1・堀口敏宏・
森田昌敏*1・吉永 淳*2(*1地域環境研究グループ,*2東京大学)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 標準試料は環境分析の信頼性を支える基準となる試料であるが,環境汚染問題の多様化に伴い,さまざまな種類の環境標準試料が必要とされている。特に近年は,微量の汚染物質の化学種や化学形態別の正確な分析値を示すことが必要とされており,こうした分析値の信頼性を確保するために「化学形態分析のための環境標準試料」の作製と配布及び利用が必要不可欠となっている。本研究では,天然の環境試料等から標準試料を作製し,その中に含まれる環境汚染物質(有機金属化合物や有機化合物を対象とする)について化学形態別に保証値を定めることを目的とする。
〔内 容〕 環境標準試料NIES CRM No.17「フライアッシュ抽出物」(平成8年度作製)に含まれるダイオキシン類(ジベンゾ-p-ジオキシン類とジベンゾフラン類)の共同分析をし,保証値を検討した。NIES CRM No.18「ヒト尿」(平成8年度作製)は,予備分析として,全セレンと全ヒ素の分析を共同分析機関で行い,トリメチルセレノニウムイオン,ジメチルヒ素,アルセノベタインについて保証値を検討した。NIES CRM No.19「フライアッシュ粉末」(平成9年度作製)に含まれるダイオキシン類の共同分析をし,保証値を検討した。また,NIES CRM No.20「湖沼底質試料」(平成10年度作製)に含まれるダイオキシン類の共同分析をし,保証値を検討した。
 本年度の環境標準試料は,ダイオキシン類汚染が社会問題となっているため,社会ニーズにこたえることを考え,NIES CRM No.21は,「土壌試料」を作製した。大学,公的機関とダイオキシン類の共同分析をし,保証値を検討している。
 平成12年度に作製予定のNIES CRM No.22候補として,茶葉,水質,生体試料,廃棄物関係試料等が上げられ,分析対象物質は,特に要望の多いダイオキシン類,PCB,クロルデン等の有機化合物が考えられている。

研究課題 12) スペシメンバンキングによる環境の時系列変化の保存並びに復元に関する研究(特別経常研究)
〔担当者〕 柴田康行・田中 敦・米田 穣・森田昌敏*1・田辺 潔*1・吉永 淳*2・堀口敏宏・向井人史*3
(*1地域環境研究グループ,*2東京大学,*3地球環境研究グループ)
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 人間活動によって環境中に放出される物質は膨大な数にのぼり,そのすべてを分析,監視し続けることは不可能である。また副生成物の混入や流通・処理過程での有害汚染物質の発生など,予見できないような汚染事例も増えている。こうした化学物質汚染の監視体制をより効果的なものにし,なるべく早期に適切な対応をとれるようにするための一つの手段として,モニタリングで集めた試料の一部を低温で長期保存し,新たな汚染がみつかった段階で過去にさかのぼった分析を行ってその歴史的経緯の把握や起源の早期発見を可能にするスペシメンバンキング(環境試料保存プログラム)が有効と考えられる。本研究では,特にバックグラウンド地域の監視と試料保存に着目しながら,分析試料の収集と保存,並びに保存性試験などの基礎研究を行う。
〔内 容〕 本年度は引き続き環境質を代表する試料(日本沿岸各地の二枚貝,世界の外洋のイカ,大陸からの影響をモニターする島根県隠岐の大気粉塵,東京湾の二枚貝や鳥など)の収集・保存と分析作業をすすめた。また,平成9年1月に起こったナホトカ号沈没事故に伴う福井県三国から能登半島北東部にかけての重油汚染実態調査と試料収集を継続したほか,ナホトカ事故の際に漂着した海鳥死体の保存試料を譲り受けて今後の研究にいかすべく長期保存を開始した。能登北端の海岸残存重油帯は昨年あたりからハサミムシなど生物が認められるようになってきており,見かけ上かなり分解・除去が進んでいるようで本年度は試料採取に苦労する状況であった。しかしながら,各地で採取した二枚貝中にはナホトカ重油に特徴的な多環芳香族炭化水素のパターンがまだ認められるものも残っており,高かったところでも1桁半程度濃度が下がってきて正常レベルに近づきつつあるものの,まだ完全に回復したとは言えない状況が続いていることが明らかとなった。また,多環芳香族のパターンも次第に崩れてはきているものの,特徴がまだ指摘できる状態であり,3年程度の間は十分に重油の追跡調査に使えることがわかった。
〔発 表〕 d-15

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