| 研究課題 |
12) スペシメンバンキングによる環境の時系列変化の保存並びに復元に関する研究(特別経常研究) |
| 〔担当者〕 |
柴田康行・田中 敦・米田 穣・森田昌敏*1・田辺 潔*1・吉永 淳*2・堀口敏宏・向井人史*3
(*1地域環境研究グループ,*2東京大学,*3地球環境研究グループ) |
| 〔期 間〕 |
平成7〜11年度(1995〜1999年度) |
| 〔目 的〕 |
人間活動によって環境中に放出される物質は膨大な数にのぼり,そのすべてを分析,監視し続けることは不可能である。また副生成物の混入や流通・処理過程での有害汚染物質の発生など,予見できないような汚染事例も増えている。こうした化学物質汚染の監視体制をより効果的なものにし,なるべく早期に適切な対応をとれるようにするための一つの手段として,モニタリングで集めた試料の一部を低温で長期保存し,新たな汚染がみつかった段階で過去にさかのぼった分析を行ってその歴史的経緯の把握や起源の早期発見を可能にするスペシメンバンキング(環境試料保存プログラム)が有効と考えられる。本研究では,特にバックグラウンド地域の監視と試料保存に着目しながら,分析試料の収集と保存,並びに保存性試験などの基礎研究を行う。 |
| 〔内 容〕 |
本年度は引き続き環境質を代表する試料(日本沿岸各地の二枚貝,世界の外洋のイカ,大陸からの影響をモニターする島根県隠岐の大気粉塵,東京湾の二枚貝や鳥など)の収集・保存と分析作業をすすめた。また,平成9年1月に起こったナホトカ号沈没事故に伴う福井県三国から能登半島北東部にかけての重油汚染実態調査と試料収集を継続したほか,ナホトカ事故の際に漂着した海鳥死体の保存試料を譲り受けて今後の研究にいかすべく長期保存を開始した。能登北端の海岸残存重油帯は昨年あたりからハサミムシなど生物が認められるようになってきており,見かけ上かなり分解・除去が進んでいるようで本年度は試料採取に苦労する状況であった。しかしながら,各地で採取した二枚貝中にはナホトカ重油に特徴的な多環芳香族炭化水素のパターンがまだ認められるものも残っており,高かったところでも1桁半程度濃度が下がってきて正常レベルに近づきつつあるものの,まだ完全に回復したとは言えない状況が続いていることが明らかとなった。また,多環芳香族のパターンも次第に崩れてはきているものの,特徴がまだ指摘できる状態であり,3年程度の間は十分に重油の追跡調査に使えることがわかった。 |
| 〔発 表〕 |
d-15 |