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経常研究


3.社会環境システム部


研究課題 1)環境の認識構造にかかわる基礎的研究
〔担当者〕 大井 紘・須賀伸介
〔期 間〕 平成10〜12年度(1998〜2000年度)
〔目 的〕 環境認識のあり方の問題として,意味論的な環境観の立場の理論的整備を行う。また,自然保護,環境教育,環境倫理にかかわって,自然の意味について検討する。さらに,生活者における環境認識の形成と構造を明らかにしようとするとともに,そのための調査法を開発しようとする。
〔内 容〕 @内海域における開発に関して,瀬戸大橋について接岸地の住民に対する自由記述式と選択肢法とを併用した意識調査結果から,回答者が橋の利便性を認めつつも料金の低減を求めていること,漁業を主とする地域では自分にとっての利便を認めるものが他地域より少ないこと,地域の通過点化への懸念を明白に指摘すること,騒音問題への関心が高いことを示した。A環境研究の認識枠組みに関するシンポジウムを総括した。
〔発 表〕 C- 9,c-12〜14

研究課題 2)環境政策が経済に及ぼす影響の分析
〔担当者〕 日引 聡・森田恒幸
〔期 間〕 平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕 これまで開発したモデルは,エネルギー部門を詳細に分割した10部門モデルであり,炭素税の導入が日本のエネルギーミックスの変化等を通して,経済に及ぼす影響,特に,産業への影響をより詳細に分析するために,これまで開発した経済モデルを改良した。
〔内 容〕 前年度において,改良した動学的応用一般均衡モデル(10部門モデルから17部門モデルへの拡張)を用いて,2010年以降,日本の二酸化炭素排出目標達成(1990年水準の6%削減)のために炭素税を導入した場合の経済への影響について,シミュレーション分析をした。この分析によって,課すべき炭素税額,実質GDPの低下,各産業の生産量の減少などを明らかにした。

研究課題 3)地球環境保全のための国際協調に向けた制度・方策の検討
〔担当者〕 川島康子・森田恒幸
〔期 間〕 平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕 地球環境問題の解決には,国際協調,とりわけ先進国・途上国間の協調が不可欠であるが,途上国では経済成長が優先的課題となっており,地球環境問題の優先度は低い。本研究では,地球温暖化問題を取り上げ,国際協調の形成過程,経済発展と環境保全の両立を可能とする方策,及び先進国と途上国の環境政策の比較や,その背景にある政治経済的状況の比較を行うことにより,地球全体の持続的発展の経路の検討を目的とする。
〔内 容〕 気候変動問題に対して1998年11月に採択されたブエノスアイレス行動計画の内容につき,その意義と残された課題を指摘した。また,京都議定書の中でも先進国と途上国の協調を促進する制度となりうるクリーン開発メカニズム(CDM)について,その検討課題と考え方についてまとめ,効果分析を行った。また,アジア諸国における環境問題と環境政策およびその背景にある社会的・制度的問題点について分析した。

研究課題 4)水資源の開発に伴う環境影響の解析
〔担当者〕 森口祐一・森 保文
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999年度)
〔目 的〕 環境資源の開発が自然・社会に与える影響についてデータを収集し,将来環境に配慮した開発を行うための予測モデルや政策支援システムの構築に資することを目的とする。また環境影響データの新しい収集法として,市民参加型の環境モニタリングを取り上げ,その利用方法などを検討する。具体的には,水資源開発と水環境の関係について調査研究を実施する。
〔内 容〕 水資源開発と水環境の関係について調査研究を実施した。富栄養化した水源から水を取水し,広域に水を分配する事業では,@用水システム内での水質の変化 A汚濁した水を受け入れる農地への影響 B地域の水環境の変化などが問題となる。これらについて調査検討した。また市民参加型の環境モニタリングにおける情報伝達ツールについて調査検討した。

研究課題 5)物質循環社会に向けた環境負荷の評価と施策に関する研究
〔担当者〕 後藤典弘・森口祐一・森 保文・寺園 淳
〔期 間〕 平成9〜13年度(1997〜2001年度)
〔目 的〕 廃棄物の増加に伴う様々な影響が顕在化しつつある中で,廃棄物の排出抑制,再使用・再利用,リサイクルによる物質循環型社会への転換が求められている。本研究では,環境負荷低減のためにモノの流れがどうあるべきかを,ライフサイクル・アセスメントを含む評価手法によって探り,施策に生かすことを目的とする。
〔内 容〕 環境負荷低減のためにモノの流れがどうあるべきかを,ライフサイクル・アセスメントを含む評価手法によって探る事例研究に着手した。事例として容器および地域冷暖房を取り上げ,生産,使用,廃棄にかかわる環境負荷を解析,検討した。またライフサイクル・アセスメント手法の簡略化及びインパクトアセスメントについて検討した。
〔発 表〕 C-37,c-30,31,37,39,40,43

研究課題 6)地域特性を考慮した環境計画の基本モデルに関する研究
〔担当者〕 原沢英夫・青木陽二・高橋 潔
〔期 間〕 平成7〜11年度(1995〜1999 年度)
〔目 的〕 自治体において行われている環境保全活動の一環として環境マネジメントシステムの導入が進んでいる。環境基本計画や率先実行計画の推進に環境マネジメントシステムの考え方を取り入れることにより,環境目標を達成するための計画の継続的な改善が期待できる。本年度は,地域レベル,特に地方公共団体における環境マネジメントシステムについて導入の現状・効果・問題点を把握し,今後より効果的に環境マネジメントシステムの導入を推進するために必要な調査・研究などの取り組みの方向性について検討する。
〔内 容〕 地方自治体における環境マネジメントシステムの導入の意義,各地方自治体における取り組みの現状,について知見をまとめた。その結果,環境基本条例,環境基本計画などのこれまでの取り組みに環境マネジメントシステム的発想を取り入れながら充実させることの重要性が指摘された。その際,国際規格による認証は計画の透明性を高めたり,外部による評価やそれに基づいた改善など従来できていなかった部分を具体化したり,自治体自身そして波及効果として地域の企業などが自主的に取り組みを進めるために有効であることがわかった。環境科学会年会においてこうした点について,国・自治体職員,大学研究者,環境マネジメントシステムの認証団体職員を交えて議論を行い,今後の課題について検討した。
〔発 表〕 C-33

研究課題 7)地理・画像情報の処理解析システムに関する研究
〔担当者〕 田村正行・須賀伸介・清水 明・山野博哉
〔期 間〕 平成11〜15年度(1999〜2003年度)
〔目 的〕 地球温暖化や森林減少のように広域化,多様化している環境問題に対処するためには,観測点において得られる物理,化学,生物等に関する数値情報に加えて,人工衛星データ,地形データ,地図データなどの地理・画像情報を有効に活用して面的分布情報を得ることが重要である。本研究では,様々な地理・画像情報を利用して,環境を解析し評価するための手法及びシステムを開発することを目的とする。
〔内 容〕 本年度は以下のように地理・画像情報を用いた環境解析手法の開発を行った。@NOAA衛星データを用いた東アジアの植生分布及び純一次生産量の推定手法 A航空機搭載レーザースキャナーを用いた広域の樹高及びバイオマス分布の推定手法 B衛星データを利用した東アジアの森林・湿地の保全状況と生物多様性の観測方法
〔発 表〕 C-20,23〜25,c-25〜29

研究課題 8)環境評価のためのモデリングとシミュレーション手法に関する研究
〔担当者〕 須賀伸介・田村正行・清水 明
〔期 間〕 平成11〜15年度(1999〜2003年度)
〔目 的〕 環境を定量的に評価する立場から,環境問題に対するモデルの構築及びシミュレーションに関する基礎的研究を行う。本年度は特に,環境現象のモデル解析に関連する数値シミュレーション手法,統計的データ解析手法について検討を行う。
〔内 容〕 @境界要素法による音場のシミュレーションモデルを改良した。特に,複雑な形状の防音壁を想定した問題でも精度のよい数値計算が可能なシステムを開発した。また,A環境データの解析における確率解析的手法の有効性について文献調査を行った。

研究課題 9)人間社会的尺度から見た景観価値の解明
〔担当者〕 青木陽二・原沢英夫・藤沼康実*1(*1地球環境研究センター)
〔期 間〕 平成8〜12年度(1996〜2000年度)
〔目 的〕 景観評価という現象は,ある環境条件において得た視覚を中心とした刺激に対する,人それぞれの価値付けである。良好な景観を計画の対象として取り扱うには,この価値付けがどのように決まるのかを解明する必要がある。知覚によって把握される景観は,景域の気候や地形などの自然条件のほかに,社会文化や歴史的背景にも影響される。このような景観価値の人間社会的側面について明らかにする。
〔内 容〕 本年度は,江戸時代に来訪した外国人の日本の風景に対する評価を分析し,ランドスケープ研究に発表した。南アルプスの登山者の景観体験を調査した結果をまとめ環境情報科学に発表した。南アルプスの多様な植生景観の評価について中国杭州市で開かれたイフラの東アジア大会で発表した。また森林文化研究にも発表した。日本における八景の分布に関する研究を科学技術庁振興調整費の重点基礎研究に提案した。

研究課題 10)2元クラスタリングと近傍法を併用した自由記述文の解析(奨励研究A)
〔担当者〕 須賀伸介
〔期 間〕 平成11年度(1999年度)
〔目 的〕 住民意識調査の質問あるいは回答形式は選択肢式と自由記述式に大別できる。前者については,種々の有効な手法が確立され,対応する解析用ソフトウエアが広く普及しているという意味でデータ解析は比較的容易である。一方,自由記述式の調査はデータ解析の困難さが伴うものの,回答者の意見が自由に反映されると言う点で非常に有効である。本研究では,長文による自由記述回答の解析に対して新しい解析手法を提案し,それを将来の東京湾について尋ねた意識調査結果に適用して手法の有効性を検証する。さらに,回答者が東京湾について抱いている関心事や意識を構造的に明らかにする。
〔内 容〕 本研究では,次のような質問に対する回答を解析する。
 質問 あなたは,将来における東京湾の生物や海産物について,どのようなお考えをお持ちですか。ご意見,ご感想などをどのようなことでも結構ですからお聞かせ下さい。
 調査対象者は東京湾の三番瀬に関心を持っている三番瀬フォーラムの参加者105人である。実際の解析では,回答原文に記述された単語をデータとする。
 本研究で提案するデータ解析手法は2段階に分かれる。まず,2元クラスタリングと呼ばれる手法を用いて回答者集団のグループ分けを行い,回答に記述された単語データによってグループの特徴づけを行う。第2段階として,2元クラスタリングによって分類された特徴的な回答者グループの回答文に対して,文脈を考慮して文章の構造を解析するための近傍法を適用する。これにより,回答者グループの特徴づけを詳細に行う。
 データ解析の結果,東京湾の自然の回復を積極的にとらえて将来の東京湾に希望を抱いているグループと,東京湾を死の海ととらえ,これ以上の開発に否定的なグループなどが見いだされた。

研究課題 11)地方公共団体における環境問題への対応について(奨励研究A)
〔担当者〕 青柳みどり
〔期 間〕 平成11年度(1999年度)
〔目 的〕 最近成立した環境関連法律では,国や産業界,国民の責務とともに地方公共団体の責務も明確に定められている。例えば,「地球温暖化対策の推進に関する法律」では,「地方公共団体の責務」として,都道府県および市町村は自らの事務および事業に関し,温室効果ガスの排出の抑制のための措置に関する計画を策定することが義務づけられた。しかし,実際の政策立案・実施については,個々の自治体の裁量に任されている。
 一般に,地方自治体においては,規模が小さいほど環境分野のみを担当する職員はほとんどおらず,予算的にも厳しい。こういった中で各自治体は,中央で立案されていく様々な法律にどのように対処していっているのであろうか。また,地方分権の動きの中で環境政策部門はどのような位置づけにあるのであろうか。地球温暖化のような地方においては比較的なじみの薄く,緊急性に欠けるととらえられがちな施策にどう対応していっているのであろうか。これについて,2000年1月に実施した郵送によるアンケート調査結果から考察する。
〔内 容〕 全国3302(都道府県や市町村,東京23区)の地方自治体を対象に質問紙を送付し,回答を分析した。内容は,自治体における一般的な課題,環境に関する条例,基本計画,率先実行計画,その他(ISO 14001対応,環境監視員制度,子供エコクラブなど)の施策の対応状況,地球温暖化防止計画の策定状況について,またその阻害要因について,地方分権の業務に与える影響,環境施策の情報源,研修制度の受講状況などについて環境部局の担当者に回答してもらった。送付3302の自治体のうち,1526自治体から回答があった(有効回収率 46.2%)。
 単純集計結果およびクロス表の分析から,@地方自治体の環境行政は,廃棄物処理,公害の監視など技術的な側面の強い事柄に限定されており,地球温暖化防止のような行政課題の様々な面にかかわる施策は従来の環境行政担当者の守備範囲を大きく超えていること。A自治体規模が小さいほど,環境部門すら設置されておらず,住民課,企画課の一部にすぎないことさえよくあり,また一人の職員には様々な業務の兼務がされており,新たな行政課題に対応しにくい体制にある。B兼務と代替要員がいないことの二つの理由から外部において様々な研修の場が用意されたとしても,受講もままならず,職員の政策立案能力の向上やノウハウの伝授の場でのアクセスさえ難しい場合が多い。C地方分権への対処では,不安を残しながらも,都道府県と市町村では,お互いの助けがあればなんとか乗り切れるのではないか,と感じているが,財源措置が伴っていないことの不満は大きい。
Dしかしながら,インターネット等による環境情報の獲得は30%を超え,首長の理解,住民の理解もすすみ,自治体側の体制が整えば,政策の立案等の環境は整いつつあることがうかがわれた。

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