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科学技術振興調整費による研究


8.国際共同研究(多国間型)


(1)アジア地域の微生物研究ネットワークに関する研究
 1)環境保全微生物の機能開発と育種に関する研究
 @有毒微細藻類の増殖制御と毒素分解微生物の機能制御技術の開発

〔担当者〕

化学環境部 彼谷邦光・佐野友春
生物圏環境部 渡邉 信・広木幹也

〔期 間〕

 平成10〜11年度(1998〜1999年度)

〔目 的〕
 アジア地域の産業活動の活発化に伴い,内海,湖沼は急速に富栄養化した。特に飲料水源である淡水湖沼では有毒微細藻類が大量発生し,藻類毒による健康被害が起きている。本研究のT期でアジア各地の飲料水源となる淡水湖沼に多種類の有毒微細藻類がおり,それらの毒素の構造や組成は地域によって異なることを明らかにしてきた。第U期ではこれらの成果を基に,有毒微細藻類の毒素生成に関与する水質や照度などの外的要因を明らかにしてきた。また,有毒微細藻類の増殖を制御する微生物の制御機能解明を行ってきた。本年度は毒素分解バクテリアと第T期で開発した藻類駆除剤であるリジンを用いた有毒微細藻類の駆除法の開発を行った。

〔内 容〕
 湖沼水からラン藻毒ミクロシスチンを分解するバクテリアを検索し,Pseudomonas sp.を分離した。ミクロシスチンを含む湖沼水にPseudomonas sp.を添加し,ミクロシスチンの減少を調べた。ミクロシスチン量は液クロで定量した。アオコを含む湖沼水にリジンを添加した場合のリジン濃度の変化を調べるためにリジンを定量した。定量はNQSを用いて行った。アオコ(Microcystis aeruginosa)の量は細胞数をカウントして求めた。
 前年度までは有毒生成に関与する環境要因の解析を行った。環境中の要因として溶存窒素と照度がもっとも毒素生成に関与した。従って,毒素の生成を抑えるには水質の改善とくに溶存窒素の削減が重要であるとの結論を得た。また,アオコの細胞を溶解する滑走細菌Cytophaga sp.を分離し,その作用を調べた。
 アオコの駆除を目的として,第T期の成果であるアオコ駆除剤リジンと毒素分解バクテリアを併用することによって,効果的な有毒アオコの制御が可能であることを明らかにした。
 微生物による有毒微細藻類の制御は原生動物と滑走細菌の同定が完了し,実用化試験の少し前の段階にある。しかし,法的な制約があり,フィールドでの実証試験は行うことができなかった。
〔発 表〕D-1〜5,9,10,21,22



 2)微生物の種の多様性及び系統保存ネットワークの構築に関する研究
 @微細藻類の種の多様性と系統

〔担当者〕

生物圏環境部 渡邉 信・広木幹也・河地正伸
化学環境部 彼谷邦光

〔期 間〕

 平成10〜11年度(1998〜1999年度)

〔目 的〕
 本研究では熱帯域及び亜熱帯域における微細藻類の分布及び多様性を把握するとともに,分離培養及び分類同定された各藻類株について各種遺伝子延期配列情報解析を行い,分子系統学的解析に基づく分類システムを構築するとともに,各種特性の生物学的意味あるいは系統学的意味を明らかにすることを目的とする。

〔内 容〕
 富栄養湖沼で水の華を形成するシアノバクテリアであるOscillatoriaの種多様性を明らかにするために,遺伝的形質として,16S rDNA(16S リボゾームRNA遺伝子)塩基配列の相同性とそれに基づく系統解析,並びにDNA-DNAハイブリダイゼーションに基づく全ゲノムホモロジー解析,DNA塩基組成の解析を行った。また,表現形質として脂肪酸組成,色素組成,補色適応,温度・塩分耐性,形態形質の解析を行った。その結果,水の華を形成するOscillatoriaは遺伝形質・表現形質において異なる6種類からなることが判明した。タイ及び中国から分離培養されたOscillatoriaはPlanktothrix pseudoagardhiiという新種に,我が国やタイから分離培養されたO. raciborskiiは新属Planktothrikoides raciborskiiの新属に所属させた。また,ミカヅキモの一形態種であるClosterium ehrenbergiiの交配群C及びHはベトナム等の熱帯地域にも分布することがわかった。
〔発 表〕H-16〜21,h-20〜23



 A微細藻類の系統保存とデータベースの構築

〔担当者〕

生物圏環境部 広木幹也・河地正伸・笠井文絵・渡邉 信
社会環境システム部 清水 明

〔期 間〕

 平成10〜11年度(1998〜1999年度)

〔目 的〕
 微細藻類は酸素発生型の光合成を行う微生物であり,水界生態系の第1次生産者として,農水産業や工業にも利用されている反面,赤潮やアオコのように水環境汚染に深く関連し,人間生活に著しい影響を与えている。特にアジア地域では微細藻類の利用あるいは微細藻類による環境汚染問題解決に対するニーズは非常に高い。以上のことから,微細藻類のカルチャーコレクションの構築及び整備は非常に重要視されている。しかし微細藻類の保存はほとんどの場合に継代培養法に依存しており,また,分類とリンクせずに系統保存されている例も多く,付随する情報も未整備のままであるものが多い。
 そこで本研究では,分離・培養された微細藻類の適切な長期保存法の開発,微細藻類培養株のデータベースの構築とその管理法の開発及び微細藻類の特定データ解析システムの構築を行うことを目的としている。

〔内 容〕
 前年度までの研究では,凍結保存した微細藻類株の解凍後の生存率の簡便な測定法としてFDA(fluorescein diacetate)染色法を適用することを試みてきたが,株によっては生細胞の染色率が低く適用できなかった。本年度はFDAで染色を行う前に超音波処理などを繰り返すことにより,染色率の増加が認められ,より広範な株に対しFDA法が適用可能であることが示唆された。
 凍結保存を行うことにより凍結耐性を持つ株が選択的に保存されるかどうかを検証するために,シアノバクテリア1種と緑藻類3種について凍結,融解,培養を繰り返し,生存率の変化を調べた結果,これらの処理により凍結耐性をもつ細胞が選択的に保存される可能性は低いと考えられた。
 凍結保存法よりも保存試料の維持が比較的簡便なL-乾燥保存法の微細藻類への適用を検討するために,L-乾燥した後,長期間(2年半後)を経たシアノバクテリア(14株)の生存率を調べた。その結果,L-乾燥直後には生存が認められた株でも2年半後の生存率は著しく低下したものがあり,保管条件などについてさらに検討する必要が認められた。
 保存株の保存状態の記録と監視,同定の効率化,分類学的知見の蓄積を目的とした微細藻類画像データベースシステムの構築と画像データの収集に着手し,CD-ROMをベースとした画像データソースの保管と画像データベースへの登録システムの構築,さらに画像データベースの一部の一般公開を想定したHTML出力の検討を行った。


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