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国立機関公害防止等試験研究
1.有用生物と資源を活用した汚濁水域の水質浄化・リサイクル・修復エコシステムの開発
〔担当者〕
〔期 間〕
平成9〜11年度(1997〜1999年度)
〔目 的〕
環境への負荷の少ない持続可能な社会の構築を環境基本法では基本理念としているが,その創造のためには「自立」「持続」「共生」の環境観に立った研究が必要とされる。それ故,汚濁負荷が流域内で生態系を保持しつつ,自己完結的に改善処理するリサイクル修復システムの確立は緊急を要する重要な課題である。しかしながら,大量生産・消費・廃棄型社会のもと,生活環境からは排水や廃棄物が排出され,河川・湖沼・内湾においては環境資源・生産性の著しい低下が引き起こされている。
各種廃棄物の中には地域特性に依存する有用な資源が存在するが,これらを効率的に水質浄化,汚泥処理・再利用資源化を図ることで循環型地域完結システムの確立が可能になっていくものと考えられる。本研究では,微生物の代謝機構により汚濁物である排水を原料とした有用資源としての生分解性プラスチックの生成と水質浄化を連動させる相乗効果条件の解明や,有用微生物付着担体としての高密度機能強化微生物固定化リアクターの開発,カキ殻を充てんした有用水生植物植栽法,有用資源としてのセラミックス資源を用いた護岸システム,有用資源としての繊維廃材を活用した浄化ブロック・ネットによる汚濁湖沼直接浄化システムなどを開発し,バイオエンジニアリング,エコエンジニアリングの効果的活用による高度水処理と余剰汚泥等の副産物の効率的活用を目指した総合的な水環境修復エコシステムを確立することを重要な位置づけとしている。
〔内 容〕
地域密着型環境研究としての本研究では,各地域における水質浄化に有効な資源や生物を活用し,水域の汚濁状況に応じた浄化プロセスを開発することをめざして,東京都,神奈川県,埼玉県,茨城県,福井県,広島県,広島市,岡山県の地方公設試験研究機関と,名古屋工業技術研究所,国立環境研究所との連携のもと推進してきた。特に最終年度にあたる本年度は,自然浄化機能の面からも有効と考えられている多自然型川づくりにおける礫等の配置,流速,接触材の空隙性と浄化能との関係を明らかにすることを目的に,延長30m,幅24cm,水深9cmの直線的な循環水路(1/830に相当)に礫状接触材,網状接触材を充てんし実験的検討を行った。その結果,有機物除去能については,流路の粗度係数によって左右し,接触材の接触面積が確保されているほど生物膜との接触により浄化能は高まるが,付着生物膜厚が厚くなるにつれ充てん層内の流速が低下し掃流性が失われることから,浄化能を維持するためには充てん層内の臨界流速を5cm/s以上確保する必要があることがわかった。一方,栄養塩類については,とくにT-Nに関して生物膜付着量の優れた接触材で生物学的硝化脱窒能に由来した浄化能が高まることがわかった。以上のことから,多自然型川づくりなどの流路の形成条件によって有機物除去機能,栄養塩類除去機能を制御でき,これらの組み合わせによる瀬や淵の創出など,多自然型川づくりに応用可能なことが明らかにし,地方公設試験研究機関との有機的連携のもと,自然環境共生型水環境修復システムに結ぶ有用な知見を明らかにした。
〔発 表〕b-22,35,71,85 |
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