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内分泌撹乱化学物質総合対策研究


3.野生動物の繁殖に及ぼす内分泌撹乱物質の影響に関する研究


〔担当者〕

地域環境研究グループ 森田昌敏・曽根秀子・春日清一・菅谷芳雄・多田 満
化 学 環 境 部 白石寛明・白石不二雄・彼谷邦光・佐野友春
生物圏環境部 畠山成久
     下線は研究代表者を示す

〔期 間〕

 平成11〜13年度(1999〜2001年度)

〔目 的〕
 環境ホルモン物質の多くは閉鎖的水域に流入し残留するため,魚類や多種多様な水生生物及び水鳥の繁殖機能に及ぼす影響をフィールド調査と室内実験により明らかとする。また,陸上の生物では,内分泌撹乱物質の影響が顕著に現れやすいと考えられるカエルの生物調査,比較的捕獲しやすいと考えられるネズミ類などに関し,生息密度,性比,体内の薬物代謝活性などに関した調査<CODE NUM=00A5>研究を行い環境影響について知見を得た。

〔内 容〕
 (1)内分泌撹乱物質と水生野生生物の繁殖異常に関する調査として,霞ヶ浦,東京湾等において,魚介類及び両生類の生息状態を明らかとするとともに,生殖組織の変化についての知見を得た。
 (2)内分泌撹乱物質等の汚染が水生試験生物の繁殖に及ぼす影響に関する研究として,いくつかの水生試験生物(メダカ,巻貝等)を用いた実験的研究を用いてフィールド観察結果と比較する。
 (3)内分泌撹乱物質と陸上野生生物の繁殖に関する研究としてマチネズミ等のほ乳類を中心に,環境ホルモンの影響の有無について調査する。

〔成 果〕
 本年度,霞ヶ浦において生物影響調査を行った結果,魚において漁獲量の大きな変動(一部の著しい減少),ウキゴリにおける性比の偏り(場所による)が見られ,またワカサギの性比全国調査における雌の卓越が見られた。底生生物の定期調査において,貝類の減少,アカムシユスリカの減少が見られており,今後内分泌撹乱との関連を明らかとする必要がある。
 17β-エストラジオール(E2)をヒメダカ成魚に暴露して生殖への影響を調べた。E2 1.0μg/l1週間暴露では産卵数・受精率には影響がないことがわかった。成魚への急性的影響は少ないものと考えられる。性成熟前のヒメダカにE2 0.1μg/lを暴露すると,成長速度・二次性徴発現が抑制され,同0.01μg/lでの成長(♂のみ)が抑制された。
 霞ヶ浦のメス化因子については課題2における17β-エストラジオールやノニルフェノール等の分析値と重ね合わせて考える必要がある。内分泌撹乱の1つとしてビスフェノールAを対象として,オオミジンコ,アオモンイトトンボ,セスジュスリカ,ヌカエビ,メダカについて暴露試験を行った。アオモンイトトンボの2世代繁殖影響試験においては,ビスフェノールAの10,100μg/l暴露区で成虫の生存期間が短縮し(特に雄),未受精卵の割合が多くなり,特に雌は70数日後に対照群と同時に羽化したが,大半は羽化直後から数日以内に死亡した。同様な減少はチカイエカでも見られており,また同種においてオスと同様の体重をもつ小型メスが出現した。
 陸上野生生物の繁殖に関する調査研究を北大の研究グループと共同で開始し,エゾヤチネズミをモニター動物に選定した。また野生化アライグマを捕獲し,サンプル収集を行った。並行してマウス及びラットの実験動物を用いて影響指標の検討を行い,エンドポイントとして精巣状態の重量変化やエストロゲン受容体のmRNA発現量の変動が有望な指標であることが明らかとなった。
 閉鎖性海域もまた,内分泌撹乱化学物質の影響が現れやすい環境と考えられ,本年度は東京湾の魚について雌性化を中心に予備的な検討を開始した。
 平成12年度以降への展開をにらんで影響評価のエンドポイントの1つとして実験動物を用いて脳神経への影響や行動指標の検討を予備的に開始した。また免疫系に対する影響についても予備的な検討を実験動物を用いて抗体産生能,Tリンパ球機能,インターロイキン2,4,5 ,表面抗原CD4,CD8の測定を行っている。さらにはコンピューター毒性学の可能性について検討を開始した。
 妊娠後半から離乳までプロピルチオウラシルを与え,甲状腺ホルモン低下の発生毒性について調べた結果,生長の遅延が認められた。その動物の行動について調べたところ,活動性の増加が認められた。
〔発 表〕B-53,54,F-33,b-170〜172,247,d-29,30


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