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地球環境研究センター


4.地球環境モニタリング業務



 地球環境研究センターでは,地球環境研究及び行政施策に必要な基礎データを得るために,世界各国の関係機関・研究所と連携しつつ,地球的規模での精緻で体系的かつ長期的な地球環境のモニタリングを実施している。

1 地球環境研究センターのモニタリング体制
 当センターのモニタリング事業は,図1に示す実施体制で推進されており,環境庁が実施する地球環境モニタリング事業として位置づけられている。
 衛星観測プロジェクト関連を除く事業は,事業の中核となる所内研究者(実施代表者),観測実務を分担協力する所内研究者(協力研究者),専門的見地から指導・助言を行う所外の有識者(指導助言者),事業実務を担当・補佐する民間団体(技術支援団体)からなる実施グループにより実施されている。そして,事業全体の企画調整・予算等は,地球環境研究センターの研究管理官(観測担当)・観測第一係が事務局となり,事業実施グループ・技術支援団体等と緊密な連携を図りながら管理・運営が行われている。例として,地上モニタリングにおける事業実務の連携関係を図2に示す。
 事業の成果は毎年,本研究所内に設置された地球環境研究センター運営委員会で評価され,幹部会議に報告される。
 なお,得られた観測データは検証・評価を経て,報告書,CD−ROMやインターネットなどの情報媒体で逐次公表している。

2 地球環境モニタリングの種別
 地球環境モニタリング事業は,(1)地球環境の諸事象に係る個別のモニタリング(個別事業) (2)地上ステーションモニタリング(波照間・落石岬) (3)衛星搭載観測機器のデータ処理運用システムの開発・運用等(衛星観測プロジェクト関連) (4)国際的なモニタリングネットワークへの参画・支援に大別される。
(1)地球環境モニタリング(個別事業)
 地球環境の諸事象に係る個々のモニタリングを対象としており,進捗状況などにより次の4段階に分類される。
  • フィージビリティスタディ(FS)−原則1年間とし,モニタリングの継続可能性・手法等の検討を行う。
  • 試験モニタリング−原則3年間とし,FSで検討された手法等を試行し,長期モニタリングとしての手法・体制を確立する。
  • 長期モニタリング−試験モニタリングで確立された手法で長期・継続的にモニタリングを実施する。原則3年ごとに事業を見直す。
  • 特定モニタリング−特定事象を期間を限定して短期集中的に観測する。
(2)地上ステーションモニタリング
 沖縄県波照間島・北海道落石岬に設置された観測局では,温室効果ガスなどの大気微量成分を継続して観測する事業を実施しており,個別事業と切り離し,独立した事業として位置づけている。
(3)衛星観測プロジェクト関連
 衛星観測プロジェクトの一環として,ILAS(改良型大気周縁赤外分光計)が取得したデータの処理及び再処理運用,並びに,ILASの後継機であるILAS−II のデータ処理運用システムの開発業務を担当している。
 本事業で得られたオゾン層関連データは,データ質の検証後,インターネット等によるコンピュータネットワーク,あるいはCD−ROM等の電子媒体及び印刷物で公表され,一般に広く提供される。
 なお,地球環境研究に係る本プロジェクトの必要事項についての検討は,本研究所「研究推進委員会」の下部組織である「衛星観測プロジェクト検討小委員会」において行われている。
(4)国際モニタリングプロジェクトへの参画・支援
 世界の関係機関と連携しつつ,国際的なモニタリングプロジェクトの一員として参画すること,かつ,プロジェクト自体の構築・強化への積極的な貢献も我が国の責務である。特に,東アジア・西太平洋地域における中核機関としての機能を果たすことが期待されている。
 現在,1977年からUNEPとWHOなどが推進している地球環境監視システム/陸水環境監視計画(GEMS/Water)に参画し,独自にモニタリングを実施するとともに,我が国のコアセンターとして機能している。


3 事業別活動概要
(1)地球環境モニタリング(個別事業)及び地上ステーションモニタリング
<成層圏オゾン層に係るモニタリング>
 当センターは地上ベースの遠隔計測器による国際的なオゾン層総合観測ネットワークであるNDSC(成層圏変動探査ネットワーク)に加盟している。
 (1)オゾンレーザーレーダーによる成層圏オゾン層モニタリング(長期モニタリング)
 1988年よりオゾンレーザーレーダーによりつくば市上空の高度10〜40kmの低中高度成層圏オゾン濃度の垂直分布を観測している。
 (2)ミリ波放射計による成層圏オゾン層モニタリング(試験モニタリング)
 (1)に加え平成7年度よりミリ波放射計による高度35km以上の高高度成層圏オゾン濃度の垂直分布を観測している。これらにより成層圏のほぼ全域における各高度での観測を行っている。
 (3)北域成層圏モニタリング(FS)
 日本におけるオゾン層破壊の状況を把握するため,北海道陸別町の町立天文台を利用した総合的な成層圏モニタリングとして,成層圏オゾン濃度の垂直分布,有害紫外線量の観測体制の整備を進めた。
 (4)有害紫外線モニタリング(試験モニタリング)
 成層圏オゾンの減少による有害紫外線量の増加を監視するため,東京・霞ケ関の第5合同庁舎屋上において,ブリューワ型分光光度計などにより有害紫外線量(UV−B)を試験的に観測するとともに,全国規模での紫外線モニタリングネットワークの構築を進めた。
<対流圏の温室効果ガスに係るモニタリング>
 (5)地上ステーションモニタリング
 人為的発生源の直接影響を受けない地点で大気中の温室効果ガス等の長期変化を監視するため,波照間島(沖縄県)及び落石岬(北海道)に無人観測ステーションを設置して,大気微量成分の高精度自動観測を行っている。
 (6)定期船舶を利用した南北太平洋上大気モニタリング(長期モニタリング)
 温室効果ガスに関する観測データの集積が少ない西太平洋海域における,温室効果ガスのバックグラウンド濃度(人為発生源の直接影響を受けない濃度)を観測するために,民間船舶(さざんくろす丸;大阪商船三井船舶梶jの協力を得て,日本−オーストラリア間の定期航路上で洋上大気を一定間隔(緯度で約3度)で自動採取し,温室効果ガス濃度を観測している。
 (7)定期船舶を利用した北太平洋域大気−海洋間ガス交換収支モニタリング(長期モニタリング)
 全球的な炭素循環において重要な位置を占める北太平洋海域の役割を評価するために,民間船舶(スカグラン号;ノルウェー船籍)の協力を得て,日本−カナダ間の二酸化炭素の発生源/吸収源として重要な北太平洋の定期航路上で,大気と海水中の二酸化炭素濃度・海水の水質などを観測し,二酸化炭素の大気/海洋間の交換収支に係る基礎データを収集している。
 (8)シベリア上空における温室効果ガスに係る航空機モニタリング(試験モニタリング)
 温室効果ガスの発生源/吸収源として重要なシベリア地域における,湿地からのメタンの発生や森林による二酸化炭素の吸収などの把握を目的として,航空機を用いた温室効果ガスの観測を行っている。
 ロシア連邦の中央大気観測所・凍土研究所の協力を得て,シベリア地域の3地点(スルグート,ヤクーツク,ノボシビルスク)で,チャーターした航空機を用いて大気を採取し,温室効果ガス濃度の鉛直分布(〜7000mまで)を観測している。
<海洋環境に係るモニタリング>
 (9)定期船舶を利用した東アジア海域海洋環境モニタリング(試験モニタリング)
 人為活動による地球規模の物質循環の撹乱を把握するために,東アジア地域の縁辺海域での海洋汚濁を,生物・化学的指標を用いて観測している。
 現在,大阪〜別府間を航行するフェリー(さんふらわああいぼり;関西汽船梶jの協力を得て,機関室内に設置した海水自動計測装置と自動採水装置により,我が国沿海の水質を高頻度に観測している。また平成7年度末に廃止になった大阪〜別府間航路における観測に代わり,一部航路を同じくする神戸〜香港間のコンテナ船(アリゲータホープ;大阪商船三井船舶梶jにより試験的な観測を行った。
 (10)イカを指標生物とした海洋環境モニタリング(特定モニタリング)
 有害化学物質による全球的な海洋汚染状況の把握を目的に,広範囲に生息するアカイカ科のイカを指標生物として,肝臓中に高濃度に蓄積された有害化学物質を分析し海洋生態系への影響を観測する海洋環境モニタリングを推進するとともにその手法・体制などについての技術的な検討を行っている。
<陸域生態系に係るモニタリング>
 =cd=E152=cd=72B4リモートセンシングによるアジア地域の植生指数分布モニタリング(試験モニタリング)
 東アジア地域の植生および土地被覆状況の変化を把握するため,NOAA衛星のAVHRRセンサ画像を用いて,植生指数モザイク画像を作成している。
(2)衛星観測プロジェクト関連
 地球観測プラットフォーム技術衛星ADEOS(1996年8月打ち上げ:打ち上げ後「みどり」と命名)に搭載されたILASのデータ処理運用システム(計算機システムおよびソフトウェアシステムを統合したシステム)の運用を継続した。1997年6月に太陽電池パドルのトラブルにより「みどり」が停止して以後は,得られた約8ヵ月分のデータ処理・解析を進め,オゾン及びオゾン層関連大気微量成分の高度分布が得られており,さらにデータ質の向上を目指して,アルゴリズムの改訂作業を進めている。また,平成11年度打ち上げ予定の後継機ILAS−Uのデータ処理運用システムの開発を進めている。
(3)国際協力・支援事業
<GEMS/Water支援事業>
 地球環境監視システム/陸水監視計画(GEMS/Water)
に参画し,参照研究室業務(分析精度管理のための標準試料作成及び内外関係機関への配布・評価等)及びナショナルセンター業務(国内観測点のデータの取りまとめ;現在21観測点)を担当している。
 また,従来から研究所の観測研究の一環として継続調査されてきた摩周湖・霞ヶ浦をGEMS/Waterの観測点として位置づけ,摩周湖は人為的汚染源の直接的な影響の少ないベースラインモニタリングステーション(平成6年度より),霞ヶ浦は水質汚濁の変化を調査するトレンドステーション(平成8年度より)として調査を継続している。


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